月と太陽「ルカの髪の毛って綺麗だよね」
ふと、アイクがそんなことを呟いた。言われたルカはぱちりと目を開き、ぱちぱちと瞬きしている。
「そう? シュウの方が綺麗だけど」
「あ、惚気は間に合ってます」
「惚気じゃないって! 真実でしょ!」
それまで話を聞いていたシュウがぐいとルカに引きずり出される。
「ほら、よく見てアイク!」
「ル、ルカ…ぼくは別にいいから」
「僕もお腹いっぱいだよ」
二人の意見など聞き入れないルカは、シュウの髪の毛を掬う。黒く輝く髪に、紫のインナーカラーがさらりと零れた。
「質も凄くいいし、カラーのセンスだってあるでしょ。 シュウ、面倒臭がりで手入れだって雑なのになんでこんなに綺麗なの?」
「ルカ〜…」
顔を赤らめるシュウと、まじまじと見つめるルカを見ながら、アイクはエナドリを呷る。バカップルが近くにいるとこれだから…と思いながら、二人のやり取りを見つめていればピンクのメッシュも可愛いし黄色のバナナもチャーミングだなんだの言っていて、今日は晩御飯いらないかも…とひとりごこちた。
「まぁシュウの髪も綺麗だとして」
「アイクまで!」
「でしょ?!」
「シュウが月だとしたら、ルカは太陽だよね。 シュウは髪のベースが黒で黄色も入ってるから、夜空に浮かぶ月みたいだしルカは太陽みたいにキラキラした髪の毛だからね」
じゃあ、あとは二人で楽しんでとアイクはその場を後にする。残された二人がぽかんとしているのを放っておいて。