伝えたい言葉、言って欲しい言葉 時々、ふと思う。なんで恋なんてしてるんだろう。冷たい風が頬を撫でる。それがなんだか心地よくて、シュウのことを考えて暑くなってる体を冷やしてくれてるみたいだ。世はクリスマスで、俺とシュウは距離があるから会えなくて。街に飾られているクリスマスツリーの写真を撮り、シュウに送る。
『とっても大きくてPOGだよ、シュウ!』
スマホをポケットにしまうと、小さなバイブ音が手に伝わって。スマホを見るとシュウからの返信だった。
『ほんとだ、凄く綺麗だね』
なんてことないシンプルな言葉。それが嬉しくて踊り出しそうなくらい。会いたい、毎日会いたい、本当は今日だって二人きりでデートしたかった。会えなくて痛い胸が、シュウのことが好きって叫んでる。サンタさんに頼んだら、シュウを連れてきてくれたりしないかな?なんて。俺はシュウのことばかりなんだから、シュウも俺の事ばかり考えてたらいいのになんて欲が込上げる。あぁ、ダメだ。衝動的に、シュウに電話をかける。出てくれるだろうか。無機質になる呼出音がふっと止まり、愛おしい声が耳を擽る。
「Hi? ルカ? どうしたの」
「シュウ!」
にまりと口が弧を描く。じわじわと上がる熱で風が吹いているのに上着がいらないぐらい。すぅと息を吸い、思いっきり叫ぶ。
「シュウ! 愛してる!」
プレゼントなんて言えるかわからないけれど、俺だけがシュウに渡せる思いっきりをぶつける。通話先から返答はなく、数秒が流れた。どくりどくりと跳ねる胸がうるさい。もしかして、やりすぎた?愛してるは重かったかな。
「……ふ」
ぽつりと聞こえた、シュウの吐息。
「んははは! 何、急に。 うん、ぼくも好きだよ」
返された言葉に体温が戻る。嬉しくて周りなんて気にしていられない。
「シュウ、俺は愛してるんだけど?」
「ええ、もう仕方ないな。 愛してるよ、ルカ」