振れた指先の冷たさ「はぁ? コハクが熱を出した?」
ラボで設計図を書いていた千空は思わぬ知らせに声を荒げてしまう。ラボに入ってきたのはコハクの姉のルリで、不安そうにブルークリスタルの双眸を揺らめかせる。
「起きるのがいつもより遅いと思ったので、起こしてみたら体が熱かったんです。千空、診てもらえますか?」
「~ちょっと待ってな。おいクロム、ここまでできてっから羽京たちと最終確認してから作業に入っとけ」
「お、おう!」
「んじゃ行くか。つっても俺は医者じゃねえから治せるかわからねえぞ」
「それでもお願いします」
「わあーったよ」
普段近づくことはあまりないコハクとルリの家の階段を登り、かなり久しぶりに入った。
薄手の毛布を被っているコハクは息苦しそうに息を吐き、いつもの溌剌さは見る影もない。千空は傍に近寄り、傍らに膝をついて濡れタオルを取っておでこに触れた。指先越しでもわかる。かなり熱いようだ。
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