はじまりぷわぷわこんまい、ネザーランドドワーフのΩくん。
―――『君は僕らの宝物だよ』『大好きよ』
家は小さく貧しい暮らしだったけれど、両親からはたくさんの愛情を注がれて平和に育った。
しかし、16歳になると希少な”Ω”は城に呼ばれる。
王族か貴族のαたちの妻か、愛人として囲われるために。
そして、番となる”主人”が決まれば両親とは二度と会えない。
(やだよ、ずっと一人ぼっちだなんて…)
泣いて嫌がったけれど、Ωが抵抗すれば両親がいわれのない罪で罰を受けてしまう。
城の騎士に連れられるがまま、城内の長くて豪華な床を歩く。
気分はまるで処刑場に連れて行かれる囚人みたいだった。
(お父さん、おかぁさん…)
「…………ぐすっ」
「そんな顔をするな。本来なら庶民が一度も目にすることも叶わない、高貴な身分の方々ばかりだ。うまく取り入れれば贅沢もさせてもらえる」
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