2018みちる誕道タケ 去年、だって、めちゃくちゃ喜んでくれただろ。そう言って彼が台所に立ってくれた時は正直、ヒヤヒヤした。あまり過去を語りたがらない彼が「これでも、施設時代は回り番で料理係してたから」とまで呟いて、自分を安心させようとしてくれたのもわかっているが。それでも、だ。
そわそわしながら見守り続けて、なんとなくひと段落着いてきたことだけ察して、やっと息を吐いたのが今さっき。自分の空気が変わったことを察したのか、ふと振り返ってタケルは笑った。
「な、大丈夫だっただろ。出来ることは少ないけど、慣れてはいるんだ」
「そっか……いやあ、でも使ったことない台所だろ、わかりづらくなかったか」
「いつも円城寺さんが作ってくれるの、見てたから。あ、円城寺さん、ラップ……と、チンして良い皿、貸してくれ。深めのやつ」
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