ONES 序幕 無重力
揺れる宇宙船の中で、大柄で軍服を着た者が舵を握っていた。その隣の貧しい身なりの者はひっきりなしに船外の様子を探っては伝えている。宇宙船ぎりぎりを流星がかすめ、貧しい身なりの者が冷や汗を流す。限界を悟ったのか、彼は振り返った。
「『おい、神とやら! お前の力でどうにかならないのか』」
神と呼ばれた者はふん、と鼻を鳴らした。
「『もうやっている』」
舞うように、その指先が虚空で曲線を描いた。それに合わせてまた船の外で流星が落ちる。もうやっている、というのは本当らしいと悟って貧しい身なりの者はまた様子を探ることにした。そして舵を握る軍服を着た者に伝えて、星を避けてもらう。
船は今、流星群へ突入しようとしていた。三人と積み荷がいくつかあるだけの小さな船だ。流星群の中に進んでしまえばひとたまりもない。
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