エリオットの過激な悪戯「この話は平民には分かりにくかったかもなぁ?」
「ぐッ……!」
エリオットはニヤニヤと微笑みながらシリルの目の前まで詰め寄ると、シリルの胸倉を掴んだ。ブチブチとボタンの糸が切れる音がする。
「なッ……は、離せッ!」
「平民に合わせて平民式の仲直りってヤツをしてやってるんだよ。平民は、こうやって、暴力で決着させるんだろッ? なぁ!」
グッと力を入れてシリルの身体を持ち上げると、パツンと音を立ててシリルのシャツのボタンが二、三個弾け飛んだ。そのシャツの隙間から、シリルの薄い胸板が見える。
「……」
「離さんかッ!」
シリルが怒鳴って、エリオットの手をはたき落とす。エリオットは半目でシリルの胸元をまじまじと見つめ、大きなため息を吐いた。
「……本当に男だった」
「な、なんだ? どういう意味だ」
エリオットはシリルを一瞥してまた大きなため息を吐いた。
「ハァ……数パーセントくらいは可能性があると思ってたんだよ」
「?」
「お前の……男装の麗人説」
放課後の教室に、シリルの怒声が響き渡った。