あの景色を追いかけて。暑い、全身が痛い、でも、あと少し…
視界に映る景色は呆れるほどの田舎道で、一車線程の道路を除くと全てが自然に溢れていた。
徐々に足が地面から離れなくなり、焼けたアスファルトの熱が足に伝わる。
脇に東屋が見えたので、少し道を外れて木造の椅子に腰を下ろした。
視界は常に歪み、蜃気楼を捉えることすら難しい状態だ。
もう動きたくない…帰りたい。
こうして挫けそうになる度、朦朧とした意識でこの苦行の始まり、そして遠い昔の事を回想するのだった。
あれは今から二時間前、俺はクーラーの効いた部屋で何をするでもなく、いたずらに時間を食い潰していた。
我が家は取り立てて広いと言うわけでもない無難な一戸建て。
祖父の代からあるらしいが、扉や壁は一式新しい物に替えられている。
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