ひと夏に溺れる 僕は、必ず。
世界統べる、偉大な魔法士になる。誰にも馬鹿にされず、堂々と胸を張って生きられるように。
その為に、僕は———……
***
「これはこれは!ノーブルベルカレッジからはるばるお越しいただいた、ロロ・フランムさんではありませんか!」
その姿を見るや否や、僕は声のトーンを一回り、いや二回りほど高くする。花の街で見た豪華絢爛な制服では無く、見慣れたジャケットに身を包んだ彼は居心地悪そうに肩を震わせた。
「……あ、あぁ、君は」
「そうです!交流会では大変お世話になりましたアズール・ア—シェングロットです。いやぁ覚えていただいたなんて、なんと光栄な事か!」
彼が逃げる前に、その細い手をがしっと掴む。ぶんぶんと縦に振りながら、交渉で培ったトークスキルを遺憾なく発揮し相手に喋らせる隙を与えない。
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