恋の自覚は突然に「最近、楡井が俺以外の誰かが話しているのを見ると胸が苦しくなる時があんだよ……オレはなんかの病気なのか?」
相談があるといい桐生を呼び出した桜は、真剣な面持ちで質問を問いかける。
その言葉を聞いた桐生は、目を大きく見開いた。
「えと、桜ちゃん……それって嫉妬、なんじゃないかな……?」
「しっと……って、なんだ?」
聞き覚えのない言葉に、桜は桐生の言葉をそっくりそのまま聞き返した。
桜が高校に来るまでの成り立ちのせいで世間知らずなところがあるのはわかっていたが、「桜ちゃんは“嫉妬”という言葉の意味を知らないのかぁ……」と桐生は頭を悩ませていた。
「んー……簡単に言えば“桜ちゃんはにれちゃんのことが恋愛的な意味で好きで、にれちゃんと2人きりでいる人のことを心のどこかで羨ましいと感じている”ってこと、だよ 」
851