無自覚な執愛の芽吹き「五条さん。私、ちょっと出かけてきます」
その言葉に、ソファーで報告書に目を通していた五条がバッと顔を上げて発言主を見遣った。
「は? え、何、なんだって?」
「ですから、少し出かけてきますと」
「はぁあ 待て待て、何言ってんのお前、ダメっつーか無理に決まってんだろ!」
ローテーブルに報告書を放り投げ、大股で発言主である七海に歩み寄り、五条はちょっと怒ったように眦を吊り上げて見せる。
対する七海は、何がいけないのかと言った様子で五条を見上げていた。
「あのねぇ七海、お前、ついこの間ようやくベッドから起き上がれるようになったばかりなんだよ? リハビリだってまだ始まったばかりだってのに、そんな状態の身体でドコ行くって?」
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