赤色陸での商売の商談の最中、ヴィトは落ち着かない心を悟られないように手を組み、ベッジが話している内容に耳を傾けた。
今朝方、いつものように挨拶をした🌸の首元を思い出す。
一瞬しか見えなかったが、赤い痕があった気がする。気のせいか、それとも。
「ヴィト。どう思う」
ベッジに話を振られ、慌てて意識を商談に戻す。
「契約のココが気になるレロ、確認だが……」
確認はしたいが、今は仕事だ。なんとか意識を仕事に向けてヴィトは話を続けた。
船に戻り、ヴィトは船内を🌸を探して歩き回る。
見つけた時に、🌸は船員のソルジャーの男1人と楽しそうに立ち話をしていた。
「それって、あり得ないんじゃない?」
「あり得なくないんだって! 本当に食いながら寝てたんだぜ?」
「🌸」
声をかけると、🌸は視線を上げてヴィトを見上げた。
「え、あ、ヴィト?!」
グイッと、手首を掴みそのまま男から引き剥がすと、無言のまま自分の私室へと連れて行く。
ばたりと扉を閉められ、困惑する🌸にヴィトはやっと言葉をかけた。
「🌸、首のそれ、どうしたレロ?」
「首?」
急に部屋に連れ込まれ、不安そうな表情を浮かべていた🌸は、不思議そうに首に手を当てた。
「なにかある?」
「ココ、赤くなってるレロ」
するっと、手を添えられ、🌸はしばらく考えた後、あーっと声を上げながら笑う。
「お風呂の時、熱くて引っ掻いちゃって! 目立つ?」
「……引っ掻いた?」
「そう、クセで」
ヴィトの部屋のドレッサーに向かい、襟をひっ張りながら首を眺める。
確かに赤くなっている。
「あったまると痒くて……」
「そうだったレロ……」
はぁっと緊張が解けたように息を吐くヴィトに、不思議そうに🌸は振り返る。
「どうかした?」
「大丈夫レロ。ところで、引っ掻くって他の所もレロ?」
「あー、昨日は鎖骨周り引っ掻いたかも……」
あはは、と笑う🌸に顔を顰め、ヴィトは🌸のスタイに手をかける。
「ちょっと見せるロレロ」
「ぇ、そ、それは」
「🌸」
「……う、はい」
観念したようにヴィトがスタイを外して、ボタンを二つほど外すのを見守る。
そっと襟口を広げると、鎖骨の下あたりに指でガリガリ引っ掻いた痕があった。
「わ、思ってより赤くなってる」
自分で見下ろしながら、🌸が声を上げるのをみてヴィトはため息を吐いた。
「肌をこんな傷付けたらダメレロ」
「ごめんなさい……」
縮こまる🌸を見て、ヴィトは赤くなった肌をそっと指先でなぞる。
ピクリと🌸が震えたが、構わずヴィトはそこを撫で続ける。
「んっ、ちょっ、くすぐったいよ」
身を捩り逃げようとする身体を抱き寄せ、ヴィトは🌸の首筋に顔を埋める。
「ヴィト?……ッ?!」
🌸が驚きの声を上げた瞬間、ヴィトはその赤い痕の上を強く吸い上げた。
ビクッと身体が跳ね上がり、🌸は思わずヴィトにしがみつく。
強く吸われた痛みはすぐに消え、代わりにじんわりとした熱が広がる。
「今日は一緒に風呂に入るレロ」
「えー!や、やだよ、恥ずかしい!」
「だーめ、じゃないとまた引っ掻くレロ」
「…んんん」
結局、渋々ながら承諾し、その日は一緒に入ることになったのだった。