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    ゲニー

    ZL小説
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    POIPOI 15

    ゲニー

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    【現パロ/同棲ゾロル+エー兄】
    ・ゾロル愛の巣(笑)に突撃エース兄ちゃん
    ・エー兄はゾロルが地雷です(笑)
    ・大晦日→元旦の話
    ・今年も宜しくお願い致します!

    #ゾロル
    zolu

     『卯年だけに』


    「やっぱ来年の元日も帰るのか……?」
    「うん! おれ実家に帰らせていただきます!!」
     どーーん。
    「はいはい、兄貴の誕生日だからな……」
    「エースのなっ!! ひっさし振りだな~楽しみだっ!!」

     と、言うような会話をしたのが数日前。
     クリスマスはたっぷりイチャイチャしたので忘れていたが、ゾロは恋人のルフィと二人きりでお正月を過ごしたことがない。
     1年以上も前から同居(と言うか同棲)しているので年末年始くらいお互い実家へ帰れよ、という話なのだが、ゾロ的問題はルフィの実家へ帰る理由にあった。

    「兄の誕生日がそんな大切なもんか……?」

     1月1日はルフィの兄、エースの誕生日なのだ。
     実家に帰るのは決して悪いことではない、むしろ自分達は滅多に帰省しないでベッタリなのだから、正月くらいは帰るべきだとも思う。
     そう思いながらも去年ゾロはルフィとの年越しを望んだし、それは一応実現したのだけれど、ルフィは兄の誕生日を思い出すや否や実家に帰ると言い出したのだ。
     自分とのヒメハジメよりいやゴホゴホお正月よりも、兄の誕生日を優先した。
     その辺がどうにも納得できないゾロなのだった。

     が――。
     翌年、元旦。
     ゾロはルフィと二人きりのお正月を過ごしている。

    「すまんルフィ……わざとじゃねェから」
    「わざと? わざと熱出したんか!?」
    「だから違うっつってんだろうがっ!! ……ごほごほ!」
    「あははは、わざとじゃねェのはわかってるって。だから気にすんな!! それよか早く風邪治せよ!?」
    「あぁ……。けどお前、エースに会えるの楽しみにしてただろう?」
    「そりゃそうだけどさ、おれは病人のゾロのが大事だぞ?」
    「……じゃあ、」
     病人じゃなかったらどっちが大事なんだ?とうっかり聞きそうになって、兄にまで嫉妬する自分はどうかと思いやめた。
     一年の計は元旦にあり。と言うし、こんなことでは一年嫉妬して過ごす羽目になってしまいそうだ。
     目下ルフィは自分のモンなのに、この余裕のなさって……。
     熱のせいか。弱気になってんのかおれは。

    「ゾロのほっぺた熱ちぃ」
     ルフィが言いながら自分のほっぺたをゾロの火照った頬にくっつけ、すりすりしてきた。
     冷たくて気持ちいい。いつもはルフィの方が熱いのに。
     ベッドで寝ているゾロの傍らに座り腰を屈めて甘えるように乗っかってきたルフィは、本当にさほど残念がってはいないようでゾロはホッとした。
    「ルフィ喉が渇いた」
    「あ、んじゃアクエリ持ってくる」
    「いや待てねェから……」
    「ん? 飲まねェの? はたして??」
     当惑して顔を覗き込んできたルフィのうなじをゾロは片手で捕え、目の前にある唇にちゅうと吸い付いた。
     思惑通り口の中に舌をすべりこませ、柔らかなルフィの舌に絡めたらその口の中まで冷たく、心地よさから夢中になって貪った。
    「ん、ぷぁ、ん…っ」
     ルフィの甘い唾液で十二分に喉と心の枯渇を潤し、ゾロは満足したものの今さらハッとする。
    「わり、風邪移したかもな……」
     唇を離して言えばルフィがとろんとした面でせつなげにハァ、と息を吐いた。
     そのルフィの赤くなった頬も唇もうまそうで、思わず下唇を甘噛み。まさに舌の根も渇かぬうちにというやつだ……。
    「んぁ…おま、口ん中すげェ熱ぃじゃんか! もう寝てろバカ!!」
    「バカって……」

     言いつつそのまま寝落ちしてしまった自分をゾロが大後悔することになるのは、それから数時間後、ある来客のせいだった。


     誰かが、ルフィと話しをしている。
     ゾロはまだ覚醒し切らない頭で必死に耳を澄ませ、話の内容を追おうとがんばってみる。
     その男のハスキーな声には聞き覚えがあった。
     去年、ルフィについて初めて彼の実家に行ったときに、初対面した人物……。

    「エース、ダメだって……」
    「いいじゃねェかちっとくらい。ゾロ寝てんだしわかりゃしねェって、な?」
    「もし起きたらどうすんだよ! 怒られんのはおれなんだぞ!?」
    「兄ちゃんが一緒に怒られてやるよ。だから……」
    「ちょ、ダメだぞ! それ以上近づくな!!」

     ……!?

     この会話は一体どういう意味だろうか。
     目を開けたいのにちっとも開けられない。意識はおかげではっきりしたというのに、体が動かない。
     もし……もしもだけれど、ルフィがエースに迫られているとしたら!?

    「なんだよルフィ~、せっかく兄ちゃんがはるばる来てやったってのに、サービスなしかぁ?」
    「そりゃおれだってしてェけどさー」
    「じゃあいいだろ。実家にいたころはよくこっそりやったじゃねェか」
    「な、なに言ってんだエースが無理やり付き合わせたくせに!!」
    「お前すぐ真っ赤になるから可愛いんだよな~~」
    「可愛い言うな!!」

     ──!?!?

     こりゃ決定的か……。ルフィてめぇ、おれが初めてだっつってなかったかぁ!?

    「今日はこのお兄様の生まれた日だぜェ? しかもお正月! ダブルめでたい日!!」
     ドドン!!
    「そ、そうだけど! ん~~どうしよっかなぁ。でもそうだよな、ちょっとくらいだったらゾロだって……」

     許すかーっ!!
     動け起きろおれの体……!!!

    「ルフィ、じゃあこっちに」
    「エース……う、うん」

    「うんじゃねェー!! 早まるなバカルフィーーっ!!!」

     ガバァ!!

    「ゾ、ゾロ!?!」
    「この浮気も………あ?」
     突然起き上がったゾロに二人が目を点にした。
     そしてルフィとエースが挟むように手にしている或る物に、ゾロは自分の早とちりを知ったのだった。
     どうやらルフィが死守しようとしていたのはゾロの酒瓶だったらしく……。

    「酒かよっ! そんなオチかよありきたりな!!」
     やるってのは酒盛りのことか!?
    「おおゾロ!! なんか元気になったんじゃねェ!?」
    「おかげで熱が吹っ飛んだ」
     なにはなくともこれ以上ルフィをエースに近づかせまいと、ゾロは後ろから自分の恋人を抱き込んだ。
     そんなゾロににやぁりしたエースが、
    「なーにを早まるのかなぁ? ゾロ君ー??」
     とかしたり顔で言うので、こりゃあすべてこの男の策略だったのだ、と悟るほかない。

     し、仕返しか……そうなのか。
     正月までルフィを独り占めしたおれへの復讐なのか!!

    「……あけましておめでとうございます、お兄さん」
    「それから?」
    「本年もよろしく」
    「それとぉ?」
    「……酒盛り、やるか?」
     誕生日おめでとう、とは、やはり言いたくないゾロなのだった。


    「よっし! 3人で飲みあかすぜェーっ!! ルフィ、グラス3つ持ってこ~い!!」
     兄がゾロ秘蔵の酒瓶をかかげ、上機嫌に言い放った。
    「えーっゾロはまだ病人なんだぞ!? ダメだダメだ!!」
     元旦に突如ゾロの見舞いに来た~とか言って訪れたエースに、ルフィは正直喜んだが今日の兄はちょっと変だった。
     しかも兄と自分の恋人が険悪ムードなのは気のせいだろうか、いや間違いないと思う……。
     でもなんで??
    「心配いらねェぞルフィ、勝負させろ」
    「なんの!?」
    「ゾロもこう言ってることだし、弟よ」
     ガシ、と右手をエースに掴まれる。そしたら左手をゾロが掴んでくる。
    「ちょ、なんだよお前ら……」
     怖い顔をしたゾロとどやり顔のエースを交互に見て、ルフィは思わずタジッとなった。
     だから何の勝負なんだ!?
     年明けから大好きな二人に囲まれ自分はご機嫌になってもいい筈なのに、新年早々なんでこんなことになってんだ……。
     しかもその二人が見つめあい、フッフッフッフッとか笑い始めたのである。
     こ、こえー!
     新年初ホラーなんですけどーっ!!
    「お、おれは飲まねェぞ! なんか嫌~な予感がするっ」
    「なにぃ? 兄の祝い酒が飲めねェと?」
    「そうじゃなくて、酔ったらヤベェことになりな……」
    「ルフィ大丈夫だ。酔っぱらっても兄貴には指一本触れさせん!!」
    「は? 弟に何するってんだっ。てめぇと一緒にすんなゾロ!!」
    「そっちこそ一緒にすんな! おれはこいつに何してもいい立場なんだよ、悪しからず」
    「き、貴様……! 人の弟をもてあそびやがって!!」
     「ゾロ……、エース……」
     彼氏と兄貴がとうとう自分をめぐって口喧嘩をおっ始めてしまった。
     ルフィはいやいや何でもされたら困るし別にもてあそばれてねェと思うけど、と言いたかったが聞いて貰えそうにないのでやめとく。
    「あんたこそ、いつまでも弟が自分のモンでいると思うなよ? そんなだからいつまで経ってもルフィが兄離れしねェんだろうが!!」
    「ルフィは兄ちゃん大好きなんだよーだ! ざまーみろっ!!」
    「ハッ、おれなんざルフィとキスしたり〇〇したり××しまくりだぜ羨ましがれ」
    「兄貴が羨ましがったらビョーキだろっ」
    「たく、なんでルフィはおれとのヒメハジメより兄の誕生日なんぞを優先すんのか……」
    「つーか二人ともおれの存在忘れてるよな、うん絶対忘れてる」
    「だ、誰がヒメハジメなんぞやらすか! おれは今日帰らねェ!!」
    「帰れ弟バカ!!」
    「帰らんと言ったら帰らん! だいたいどうしておれの弟なんだ? 他の弟でもいいだろぉ!?」
    「いやいやダメだろ」
    「じゃあ他のルフィとか」
    「おれァこのルフィしか興味ねェ!」
    「とにかくおれの弟は諦めろ!!」
    「断る!!」
    「断るなっ!!」
    「ルフィはぜっってー渡さねェー!!」
    「か・え・せーーっ!!!」
    「か・え・さ~~んっ!!!」

    「もういい加減にしろお前らっ!! うるっっせェーー!!!!」

     どーーん!!!

     とうとうぶちキレたルフィの怒声にゾロとエースの言い合いがピタリと止んだ。
     そしてルフィはそんな二人をキッと睨み付け、「二人で勝手に飲んでろ!」
     言い捨てると自室へ飛び込んだのだった。
     もちろん、施錠も完璧。


    「ルフィ~~! 出てこーいっ! 兄ちゃんが悪かったよー」
    「おれも悪かったよルフィ……もう喧嘩しねェから出てきてくれ。こんな兄と二人きりなんざ間が持たん……!」
    「なんだよつれねェなぁゾロ君。こうなったらルフィなんかほっといて二人で飲み明かそうぜ!! ぐーーっ」
    「寝たぁーー!!」

    「ハァ…また漫才やってるよあの二人……。おれしばらくアイツらと口利かねェもんね」
     ルフィ、新年初決意。
     ゾロがドアの向こうで「今年はウサギ年だぞ。ウサギは寂しいと死ぬんだぞ。ルフィも一人だと死ぬかもしんねェぞ?」とか言い出すので、「おれはウサギじゃねェから死なねェ」と言い返してやった。
    「おれは寂しくて死ぬぞ……」
    「エースがいるだろっ!」
    「ダメだ。おれはお前がいねェと、いつでもどこでも独りぼっちなんだ……」
    「~~~っ、この、卑怯者!!!」

     ガチャっと鍵を開けてルフィはドアをばーんと開け放った。
    「ルフィ!」
     両手を広げたゾロの広い胸に遠慮なく飛び込み、ぎゅうっときつく抱きつく。あーやっぱここが一番落ち着く〜。
    「ゾロにはおれがいるからなっ!! 死ぬなよ!?」
    「あぁ。出てきてくれてありがとう、ルフィ」
     因みに病み上がりで踏ん張りの利かないゾロがルフィごと後ろへぶっ飛んで、ごつーんと壁に後頭部を打ちつけたがルフィは気づかなかった。
     ゾロがどうしてそんなにエースに敵愾心を持つのか解らないけれど、自分を世界一必要としてくれているのはゾロだと知ってるから、ルフィもずっとそれに応えていくのだ。
     何よりおれも、一番必要な人だから。

    「ルフィ、今年もよろしくな」
    「こちらこそよろしくなーっ!!」

     そんな二人のやりとりを横で眠りこけていた筈のエースが口元をにんまりさせて聞いていたことなど、知らない二人はやっと年が明けたんだな~としみじみ実感するのだった。


     後々聞いた話しによると。
     エースはあの日、ある人と喧嘩して腹いせに弟たちをからかいにきたらしい。全く迷惑な兄だ。
     それでも会えて良かった、とゾロに言ったらまたまた拗ねられて大変だった(おれの体が)。全く困った恋人だ。

     でもま、エースお誕生日おめでとう!

     そんでもってゾロ!
     明けましておめでとう~~!!
     今年もいっぱいイチャイチャしようなっ!!

     大好きだぞ、二人とも!!!



     (あけおめでしたー!)

    そして今年はもう一人の兄の存在を聞かされて更なる試練がゾロにふりかかるんだろうよ(エー兄より手強そう)


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    ゲニー

    MOURNING【現パロ/リーマンゾロ×喫茶店員ルフィ】
    ・2018年超GLCで配布した無料ペーパーのデータが出て来たのでまたどっかいかないうちに収納させて下さい(汗)
    ・書いたのは大昔なのでもうないかもしれないですツンデレ喫茶……(本当にありました)
    ・店員ルフィにゾロが落ちるまでの話
    ・女装に非ず
    ・何でも許せる人向け
     『あのコはツンデレ』



    「そりゃまたマニアックなとこに……」
     と、電話口で聞いた同僚の言葉の真意を、ゾロはだいぶん後から知ることになった。
     気に食わない金髪頭を思い出しながら、一体誰のせいで……と内心ぶつくさ、「さっさと来いよ」と念を押す。
     同僚は頷き「ああそれなら」と続け、ゾロにあるひとつの名前を挙げた。
    「絶対ェお前のタイプだから」
     そんな、確信に満ちた声音を残して。


     ゾロは今、『ボア』という喫茶店の前にいる。
     同じプロジェクトを担当しているさっきの同僚、名をサンジというのだが、彼と得意先へのプレゼン帰りだ。
     結果は大勝利。サンジは大口の契約がとれたせいかたいへん機嫌がよく、「おれちょっと行く所あるから、お前先に帰ってていいよ」とゾロに言った。が、ゾロは極度の方向音痴である自覚が残念ながらなかったので、まんまと道に迷ってサンジに泣きつく羽目になる。
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