「おいで立香」
甘く蠱惑的な声に誘われるように、立香は椅子に座ったシャルルマーニュの前にやってくる。そうして指示されたすぐ手前の床へと腰を落とす。
立香の期待に潤んだ青い目はシャルルマーニュの庇護欲を刺激した。
シャルルマーニュが手を伸ばせば何も言わずとも立香はその手に頬を寄せて甘えるように頬ずる。
何度かそうした後、立香は熱い息を吐きながらねだる視線をシャルルマーニュに向けた。
「立香」
シャルルマーニュの手が離れ、自分の太腿を叩く。
立香はよろよろと腰を上げると目の前の腹に抱き着くように倒れ込んだ。
その時こぼした鼻から抜けるような声は、しっとりと湿ったような色香を纏ってシャルルマーニュの耳から脳へと抜けていく。
その誘惑にやられそうになるが、まずは良くできた事を褒めなければいけない。
シャルルマーニュはうっとりと腹に顔を埋めている立香の頭に手をやり、抱きしめるようにしながら柔らかく撫でる。
「いい子だ」
立香の喉から「ひぅ」と呻くような声が漏れた。それを聞き逃さずシャルルマーニュは続けた。
「良くできたな。本当にいい子だ、俺の立香」
頭から首筋、肩へと撫でる指先を動かしていき、もう一度首を通って立香の顎を掬い上げる。
堪えきれなかった涙は零れ、可愛そうなほど真っ赤になった頬を伝う。
顎を支えていた指先で顎から喉をくすぐるように撫でると、唇の端から唾液が零れた。
その唾液を拭きとるように撫でて指を口元へ持っていくと、汚した手を清めようと立香は舌先でチロチロと舐める。
熱に浮かされたままでは綺麗になるどころかますます指先は濡れていくばかりだが、シャルルマーニュはもう片手で立香の頭を撫でて言う。
「いい子」
熱に浮かされた紅い眼を、にんまりと歪めて笑った。