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    投稿テストはるグレ
    葵壱さんには「消えたがる君を引き止めたかった」で始まり、「そんな怖い顔しないでよ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば8ツイート(1120字程度)でお願いします。

    ##ボ

    一年越しの約束投げつけ 消えたがる君を引き止めた。
     男女の差、それも闘いから身を引いて久しい者と長期間の戦闘経験を積んだ者では、もちろん後者が勝つ。反射的に握った細腕は、限界まで引き伸びたところで止まった。否、止まる外無かった。
    「な、によ」
    「これ、チョコレートですよね……?」
     腕を握っていない方の手、そこにある小さな箱を見る。リボンでラッピングされた薄めの箱からは、ほのかに甘い香りが漂っていた。
     始果が口にした語に、グレイスの身体がギクリと強ばる。再び地を蹴り駆け出そうとするが、未だ己を掴む少年によって阻まれた。
    「……だったら何よ」
     告げる声は細く硬い。羞恥、はたまた怒りを孕んでいるのか、可愛らしい声は震えていた。
     必死に顔を背けていた彼女が振り返る。白いかんばせは朱に染まり、まあるい瞳の端にはわずかに涙が溜まっていた。
    「あんたが『くれ』って言ったから作ってきたんじゃない! 悪い」
     廊下全体に響かんばかりに少女は叫ぶ。怒りが見て取れた。それも全て照れ隠しなのは、その顔を見れば明らかだ。
     グレイスの言葉に、少年はふと口元を緩める。
     チョコレートが欲しい、とねだったのは昨年のことだ。それを忘れずにいてくれた。しかも、律儀に守ってくれた。それだけで、胸の内に温かなものが広がっていく。心が何かでぎゅうぎゅうに満たされる。彼女といると、いつもこうだ。不思議と、苦しさはなかった。
     どこか悔しげに歯を食いしばりこちらを睨めつけるグレイスに、始果は眉端を微かに下げる。細められたイエローが、マゼンタを正面から見据えた。
    「そんな怖い顔しないでください……。ありがとうございます」
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    aoino_a0

    MOURNING筆が乗ってしまったので書いた地雷。あり得ない時空のあり得ない未来のあり得ない話。
    うちの新司令×うちの新3号。名前があるので注意。
    朝ご飯を食べる「よしっ」
     魚焼きグリルで焼いただけのトースト。二つ一気に割り入れてフライ返しで切り分けた目玉焼き。一袋全部フライパンに放り込んだウィンナー。冷凍野菜とコンソメキューブを煮ただけの野菜スープ。全てを器に盛り終えたところで思わず声が漏れる。大したものではないが、たまに作るには十分な料理である。二往復して運んで、折りたたみテーブルの上に並べていく。ちゃちい机は食器を四つ置いただけでギチギチになってしまった。
    「……シャワーありがと」
     金属の小さな音とふて腐れたような小さな声。視線をやると、水場に続くドアの向こう側から黄色い頭が覗いていた。ぱちりとあった青い目はすぐにふぃと逸れる。シャワーを終えて帰ってきたコイビトは、わざとらしく背中を向けながら部屋に入って戸を閉め、俯きがちに歩んでテーブルの前に座った。いつも通り――昨晩の情事が忘れられず、昨晩の自分の痴態が忘れられず、それでも普段通りに過ごさねばならないと思い込んでいる、いつまで経っても変わらない姿である。可愛らしくて仕方が無い。
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    aoino_a0

    DONEパトロール帰りのシェリーさんとDDさんの話。

    『OZONEのジャケの話を』というリクエストをいただき仕上げさせていただきました。この二人の関係性が好きなので楽しく書けました。エアスケブご依頼ありがとうございました。
    走り行く街街 ガラスの向こう側に街並みが流れゆく。広いネメシスの世界は、普段よりもずっと早足に去っていった。
     抱えた紙袋に手を入れ、パッケージに入ったフライドポテトを探し出す。高速道路に乗る直前に買ったそれは少しだけ萎びていた。ふにゃりと柔らかなポテトを一本つまみ、口へと運ぶ。なめらかな白い歯で長い黄色を噛み切ると、すぐさま塩気と油気が口内に広がった。食べ慣れた味をどんどんと口に放り込みながら、シェリーは身体のすぐ隣、車の窓の外を眺める。透明なガラス越しの街並みは、相変わらず速度を出して後方へと流れていった。
     視線を街から運転席へと移す。ちらりと見た横顔は落ち着いたものだ。合成革のカバーで保護されたハンドルを操作する手付きはブレなど無い。スラリとした長い足はヒールの高い窮屈な靴に包まれているというのにアクセルペダルを器用に操っている。外装に反して古い型式のメーターは法定速度内であることを静かに示していた。安全運転そのものだ。開け放した窓に腕をかけ、片手でハンドルを操る姿勢は『安全』の文字には程遠いが。
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