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    ぎの根

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    ぎの根

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    コントのコトゥ仁ルート、できるまで(?)

    #コトゥン仁

    こうしてふたりで飲むのも、幾度目か。今日の仁はひどく落ち込んでいた。コトゥンを前に悪酔いし、ぐずぐずと泣き言を漏らして管を巻く。どうやらまた竜三に振られたらしい。いい加減、どちらかが諦めて決着をつければ良いものを。思い切れずに毎度揉めては、仁はこうして塞ぎ込んでいる。
    「りゅうぞうの、ばか」
     テーブルに載せた腕の中に顔を伏せ、仁がぐすりと鼻を鳴らして罵る。黙って手を伸ばし、仁の髪をくしゃりとかき回す。この前は、竜三に会うという仁の発情を誘発してやったはずだが。
    「噛んでくれと、言ったのに」
     まさか発情した仁を前にしても、竜三は拒絶したのか。さすがにコトゥンも思わずため息を吐かずにはいられなかった。
    「俺には、無理だって」
     ぐす、とまた仁が鼻を鳴らす。竜三め、せっかくお膳立てしてやったと言うのに。それとも、単にもう限界だったのか。あれは仁よりも脆いところがあった。どうやら現世でもそれは変わっていなかったらしい。
    「そうか」
     優しく髪を撫でる手の下で、仁が小さく震える。
    「やっぱり、駄目だった」
    「ああ」
     竜三も仁に気持ちはあるだろうに、前世の記憶に苛まれて仁の手を取れなかったのか。こじれた執着は諦念に変わり、仁に望まれても応えるのが怖くなったのだろう。臆病者め。もう少し。あと一歩手を伸ばせば、届いたものを。しかし、竜三は仁を諦めてしまった。コトゥンの漏らしたため息に仁がひくりと肩をふるわせ、鼻をすする。
    「あいつとは、やっぱり」
     無理だった。消え入るような声でそう呟く仁の髪を繰り返し撫でつける。結っていた昔とは違い、短く切り揃えられた黒い髪。性根を表すかのように黒く真っ直ぐな髪を指ですき、酔いのせいか熱い頭皮をそっと指先で撫でる。
    「そうだな」
     はあ、と大きく息を吐き、仁がようやく顔を上げた。 
    「あんたに惚れてれば、良かったのに」
     潤んだ目でコトゥンを見上げ、くしゃりと顔を歪めて呟く。今にも泣きそうなその顔に、ひどく庇護欲をそそられる。前世で出会った仇敵で一度は力ずくで我が物としたが、偶然再会した現世では良き友となった。それだけの関係に過ぎなかったはずが、いつからかコトゥンは仁に惹かれている。最も前世でも惹かれてはいなかった訳ではないのだから、当然と言えばそれまでだ。
     仁も再会した当初はコトゥンを前に緊張して気を張っていたのに、今やすっかり懐いて何の警戒も見せずに甘えてくる。それが愛しくて、可愛くて堪らない。伯父の志村が仁に甘いのも、今では良く理解できる。最も志村のそれは飽くまで親子のような情で、コトゥンとはまた違っているのだが、仁の手引きで志村と会った際はすっかり仁の保護者として互いに意気投合してしまった。それでなくてもコトゥンは前世では仁を無理矢理番にして、竜三から引き離したのだ。現世でも仁が竜三に惹かれていることを知り、甘やかしても手を出さぬと誓ったはずが、当の仁本人がこれだ。ため息も出ようというものだ。しかし竜三が仁を諦めたのであれば、もう構うことはない。
    「今からでも、遅くはないが」
     抗いがたい誘惑から思わず漏れた本音に、濡れた目をきょとんと瞬かせて仁が首を傾げる。
    「今の俺はただのΩに過ぎないし、何の得にもならないぞ?」
     だめだ。これは、本気で分かっていない。コトゥン自身が今まで仁の保護者に徹していたのだから仕方がない。しかし一度誓いを破って噴き出した欲望は、真っ直ぐに仁に向かう。もう抑えることはないのだと、αとしての本能がΩを、仁を求めている。
    「そうだな。今のお前は冥人ではない、境井仁と言うただのΩの男に過ぎん。だがな」
     言葉を一度切り、意識的にαの圧を強める。ぶわりと一気に増したフェロモンに、仁がふるりと体を震わせた。
    「あっ!?」
     決して折れなかった前世とは違い、あっさりとαの、コトゥンの圧に屈した仁の体から力が抜け、くたりとコトゥンの腕の中に倒れ込んでくる。仁の体を受け止めて支えながら、その耳許で囁く。
    「お前は十分、俺に見合うΩだ」
     素直にコトゥンに預けた体を震わせた仁の顔が、ぶわりと赤くなる。
    「だから、俺を選べば良い」
     今度は自分の意志で、な。そう告げたコトゥンの腕のなかで、仁が戸惑ったようにうろうろと視線をさ迷わせる。その顎を持ち上げ、そっと口づける。仁は逃げもせず、目を閉じてコトゥンの唇を受け止めた。軽く食んだだけですぐに離れると、無意識だろうが名残惜しそうな表情すら浮かべるのだから、困ったものだ。
    「今すぐ答えを出せとは言わん。お前が自ら噛めと言うまで、気長に待ってやる」
     仁の唇を指先でなぞり、にこりと微笑む。コトゥンに体を預けたまま、仁は抗う気配もなく真っ直ぐにコトゥンを見つめている。その潤んだ目に、番を得る日も早そうだとコトゥンの中で獣が舌舐めずりしていた。


     一度覚悟さえ決めれば、仁の思い切りの良さはいっそ気持ち良いほどだ。コトゥンの予想通り、俺を選べと言ってから仁が答えを出すまでにはそう長くはかからなかった。
     その後何度かふたりで会って飲んだが、コトゥンは殊更にαの圧を抑え込んでいた。あの夜のことに触れないコトゥンに対して仁は微かな戸惑いと安堵を見せたものの、それだけだった。今まで通り何も変わらずに保護者のように接するコトゥンと同じように、仁も相変わらず何の警戒もなくコトゥンに甘えてくる。むしろあの夜から、より素直にコトゥンに甘えるようになった気がする程だ。それはそれで悩ましいものだったが、今まで鍛え抜いた自制心は伊達ではない。仁への、番を望む欲望はおくびにも出さず、ただ仁をひたすらに甘やかしていた。
     そして、その夜。送り届けるために乗せた車の中でコトゥンの肩に頭を預けてもたれ掛かり、コトゥンの手をぎゅっと握りしめた仁に、コトゥンは重くため息を吐いた。対して酔っていないことは、互いに知っている。
    「……覚悟はできたのか」
    「ああ」
     こくんと頷き、顔を起こした仁が間近からコトゥンを見つめる。酔いのせいか、緊張を滲ませた仁の目許はうっすらと赤く染まっていた。ふっと微かに漂う、甘い花の香。仁の匂いに誘われるように指先でするりと顎を撫でると、仁の手がコトゥンの手を掴み、手のひらに頬を擦り寄せた。濡れたように煌めく黒耀が、コトゥンを映している。その目を覗き込むように顔を寄せ、そっと唇を押し当てる。目を閉じた仁の唇が微かに震え、コトゥンの唇を優しく食んだ。コトゥンが触れるだけで唇を離すと、仁は目を開けて訝しげな視線をコトゥンに向けた。もう触れないのか、とでも言うような仁の唇を指の腹で優しくなぞりながら、運転手に声をかける。
    「私の家に」
    「はい」
     運転席から短く返った声に、仁はびくりと体を揺らして目を丸くした。どうやら運転手の存在を忘れていたらしい。道理でらしくもなく他人のいるところで誘いをかけてきたわけだ。酔いのせいか、頭がコトゥンのことで一杯だったせいか。忙しなく瞬いた仁の顔が、みるみるうちに赤くなる。込み上げる愛おしさに、頬に触れていた手を伸ばしてくしゃりと髪をかき回してやると、その手が仁に払い除けられた。仁は寄りかかっていた体を起こして座り直し、赤くなった顔をコトゥンから逸らしたが、しっかりと繋がれた手はそのままだった。コトゥンも仁とは反対の窓の外に視線を向けながら、車が着くまで握りしめた仁の手の甲を指先で繰り返し撫でていた。
     一際強く握りしめ、仁の手を離して止まった車から降りる。仁は黙ったまま、コトゥンの後ろを着いてきた。コトゥンから目を逸らし、触れそうで触れない距離を保つ仁の姿に、やはりまだ早かったかと嘆息しつつ部屋に向かった。コトゥンの開けたドアの隙間から、猫のようにするりと仁が入ってくる。ドアを閉めるコトゥンの背中に、とすんと仁が抱きついてきた。腹に回された手が、ぎゅうぎゅうとコトゥンにしがみついている。苦笑しながらその手を叩く。
    「仁、離せ」
     顔を背中に押し付けたまま、仁の腕が緩む。その腕を取ってくるりと向きを替え、仁と向かい合ってもう一度腕を腰に回させる。促されるままに抱きついた仁が、俯けていた顔を上げた。
    「何て顔をしてる」
     頬を染め、眉を下げた仁の顔は、今にも泣き出しそうに歪んでいた。潤んだ黒耀が、艶々と光ってコトゥンを映す。
    「コトゥン」
     甘えるような仁の声が、コトゥンを呼ぶ。その顎を掬い上げて身を屈めると、目を閉じた仁が伸び上がった。唇が触れ、すぐに離れる。柔らかく啄みながら仁の腰を抱き寄せると、爪先立ちになった仁の両腕がコトゥンの逞しい首にぶら下がるように回された。顎から滑らせた手で、仁の後頭部を掴む。
    「ん、っう」
     薄く開いた仁の唇の隙間から、舌を捩じ込む。ねっとりと歯列を舐め上げたコトゥンの舌を、仁が大きく口を開けて招き入れる。仁は小さく喉を鳴らし、自ら舌を伸ばした。
    「ふっ、く」
     差し出された舌を絡め取り、じゅう、と吸い上げて甘い蜜を啜る。こくりと飲み下した蜜が、胃の腑からじわりと体に染み込んでいく。Ωのフェロモンに誘われるように、コトゥンから抑えていたαのそれが滲み出る。それを感じたのか、仁の体がひくりとコトゥンの腕の中で戦慄く。
    「あ、んう」
     くたりと力の抜けた仁の体が、ずしりと首からぶら下がる。その体を片手で支えて持ち上げ、口づけたまま部屋の中を進む。寝室まで辿り着くと、ベッドの上に仁の体を放り出した。
    「っあ」
     どさりと投げ出された仁の体を俯せに返して短い髪を掴み、ぐっと頭を引き上げる。小さく呻く仁の項に舌を這わせ、その耳許に顔を近づけて囁く。
    「このまま続ければ、どうなるか分かっているのか」
     仁がふっと息を吐き、コトゥンに手を伸ばした。仁の指先が、コトゥンの頬に触れる。
    「ああ、俺はあんたを選ぶ。だから」
     噛んでくれ。吐息のように続けられた甘い囁きに一度大きくため息を吐き、、コトゥンは仁の項へとしっかりと歯を立てた。
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    「そうか」
     優しく髪を撫でる手の下で、仁が小さく震える。
    「やっぱり、駄目だった」
    「ああ」
     竜三も仁に気持ちはあるだろうに、前世の記憶に苛まれて仁の手を取れなかったの 4106

    ぎの根

    DOODLE現代AUオメガバコントのコトゥ仁できてるルート。中の人のあれでとちくるったから書いたったん。ひたすら甘い。「甘い、な」
     散々貪られた仁は息も絶え絶えだと言うのに、平然とした顔でコトゥンが呟く。ソファに座っていた体からはすっかり力が抜け落ちていて、支えになっていたコトゥンの体が離れた途端にずるずると座面に倒れ込んでしまった。震える手を持ち上げて、べとついている口許を手の甲でぐいと拭う。味わっていたはずのチョコの味もすっかり薄れて消えてしまった。
    「あたり、まえ、だ」
     むう、と唇を尖らせてコトゥンを睨む。
     たしかに最後に残ったひとつをコトゥンの承諾なしに食べたのは、仁の落ち度だ。とは言えテーブルに置かれた高級そうなチョコレートの箱に興味を示した仁に、貰い物だから食べても良いと告げたのもコトゥンなのだから、仁は悪くない、はずだ。
     しかしコトゥンは仁が食べたと知った途端、いきなり仁に口付けて口のなかのチョコを奪ったのだ。重ねられた口のなかでチョコがすっかり溶けてなくなってもコトゥンに解放されることはなく、唇から舌、喉までも余すところなくしつこく舐めつくされた。抗議しようにも唇は塞がれていたし、コトゥンの大きな手に顎を掴まれた上に後頭部も掴まれてのし掛かられては、身動ぐことすらできなかった。 1775

    ぎの根

    DOODLEコントのコトゥ仁と伯父上。できた報告。短いよ。志村はぽかんと口を開けたまま、見事に固まっていた。
    「伯父上?」
     どうしたんです、と仁が声をかけても、志村は何の反応も見せない。コトゥンは目を瞬かせる仁の肩に手を載せてため息を吐いた。
    「仁、だから俺が話すと言っただろう」
    「だって、他に言い様がないだろ」
     振り向いた仁がコトゥンを見て不満そうに眉を寄せて唇を尖らせる。
     志村にコトゥンと番ったことを話すと決めたのは、仁だ。どうせ番を持ったことはすぐにばれるのだから、自分から話したい。番って早々にそう告げた仁にもちろんコトゥンも同意したが、志村には仁ではなくコトゥンが話す、という条件を付けた、はずだった。が、しかし。ふたりで志村の家を訪れ、志村を前に並んでソファに座った途端、仁はいきなりコトゥンと番になったと告げたのだ。
     腰を下ろしたところで仁の言を聞いた志村は、そのまま石と化した。目に入れても痛くないほど可愛がっている甥に、いきなり前世で敵だった男と番ったと告げられたのだ、さぞかし衝撃だっただろう。さすがに志村の心情を思いやり、重々しいため息を吐く
    「いきなり俺が仁の番だと聞かされる志村のことも考えてやれ」
     コトゥンから聞かさ 1461

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     ぐす、とまた仁が鼻を鳴らす。竜三め、せっかくお膳立てしてやったと言うのに。それとも、単にもう限界だったのか。あれは仁よりも脆いところがあった。どうやら現世でもそれは変わっていなかったらしい。
    「そうか」
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    「やっぱり、駄目だった」
    「ああ」
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     どうしたんです、と仁が声をかけても、志村は何の反応も見せない。コトゥンは目を瞬かせる仁の肩に手を載せてため息を吐いた。
    「仁、だから俺が話すと言っただろう」
    「だって、他に言い様がないだろ」
     振り向いた仁がコトゥンを見て不満そうに眉を寄せて唇を尖らせる。
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     コトゥンから聞かさ 1461