no name僕とルカの関係に名前をつける事はできないんだ
友人で、同僚で、兄で、弟で、親で、子で
ルカにはずっと好きな子がいるのは知ってるし、本気で応援してるんだ。
好きな子の話をキラキラの笑顔で話すルカが好き。
そこには嫉妬も何もなくて、本当にルカがあの子と幸せになって欲しいって心底、思っているんだ。
別にその優しい眼差しを僕にむけて欲しいと思った事もないし、嫉妬もなく、ただただ、ルカの幸せだけを願っている。
僕たちは、友人だからいっつも一緒に遊んだ。
ルカの運転で目的もなくドライブして、一日中遊んだ。
気がついたら夜もすっかり更けていて煌めいて流れる夜景をハイウェイから眺めたりした。
僕たちは、同僚だから仕事で落ち込んでる僕を海に連れ出してくれた。
普段砂浜なんて歩かないから足を取られてすっ転びそうになる僕の手を引っ張って歩いてくれた。どんくさいなーって笑いながら砂浜を手を繋いで歩いた。
僕は兄だから、ルカの恋愛相談に乗ってデートに着て行く服を一緒に選んであげちゃうんだ。
ルカのクローゼットをひっくり返す勢いで服を出して何パターンもコーデを考えてしまうんだ。
ルカのカッコよさを1番理解してるのは僕だからかなりのイケメンが出来上がるんだ。
僕は弟だから、僕が眠れなくて困っていると寝落ちするまでずっと通話を繋いでくれる。
ルカの方が先に寝ちゃって、ルカの寝息に安心して僕もやっとで眠れるんだ。でもホントはそれが寝たふりで僕が寝たのを確認したらそっと通話を切るのはルカなんだ。
僕は親だから、ルカが仕掛けてくる可愛いイタズラについつい微笑んで許してしまうんだ。
イタズラを仕掛けている時の本当に楽しそうな笑い声を聞くと全部許せてしまうんだ。
僕はルカの子どもだから、ルカに構って欲しくて何度もルカの名前を呼ぶんだ。
何度も呼んで、振り返ってくれた時の穏やかな目が大好きなんだ。
恋人なんて、終わりがあるかもしれない不安定な関係より絶対的な立場に僕はいる。
だから僕はルカの恋を本気で応援しているんだ。
あの子と上手くいって、もっと幸せそうに笑うルカを見たいんだよ。
ルカの幸せだけが、僕の幸せなんだよ。
僕のことを悲しいねって言う人がいるけど。
僕のことをさみしいねって言う人がいるけど。
僕はひとつも辛くないんだけどね。
こんなに深く愛せる人を見つけられた僕は世界一の幸せ者だと思うんだけどな。
あの日、僕たちの関係が変わってしまったのは
確実にあの日だった。