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    umi_scr

    @umi_scr

    どこにも行けなかったSS置き場 GKとMP100のみ(たぶん)

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    umi_scr

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    劇的な再会でもなんでもなく 半年ぶりに律くんが霊幻さんの前に顔を出した、っていうだけの話。
    内容的にお蔵入りにしました……
    カゲヤマリツこういうことしそうなんだけど、だからこの話書いたとは思うんだけど、自分の中の倫理委員会がアウトにしたっていう。

    #MP100
    #律霊
    ruling

    再会「よぉ、久しぶり」
    「すみません、ここの所忙しくて」
    「ほんとだぞ? 丸半年も顔見せねえで、なんかあったか? 律?」
     なんかあった、か。
     そもそもひと月に数回は何らかの依頼で呼びつけられていたのだが、「今、ちょっと余裕がなくなりまして」とメールを打ったのが霊幻が言うように半年前のことだった。何の詮索も追及もせずに「わかった」と一言だけ帰ってきた返信に、かえって色々をお見通しなんだろうと律は軽く絶望した。
     十七歳の恋心なんて霊幻にとっては除霊するまでもないささやかな呪いみたいなものなのだろう。けれど自分にとっては悪霊に重たく憑りつかれたようなものなのだ。悪霊、と口にして実際におかしくはなったが、そもそも霊幻新隆という人物にも問題があるのだろう。まるで浮遊霊みたいなよりどころのなさのくせにひどくまとわりついてくる。
     けれど、恋心ごと除霊したいといった話でもなかった。律が霊幻から距離を置こうとしたのは、自分の経験値を上げたかったからだ。ありとあらゆる誘惑を投げかけてくる異性のうち、一番縁遠くて年の離れたひとを選んで。
     そもそも好奇心のみで誰かと付き合うだなんてありふれた話だし、律の友人関係でも無い話でもなかった。高校生はそういう世代だ。おとなのように将来でがんじがらめになることもないし、子供みたいに健全でもない。律としてはそれに倣ったつもりであったが、しかし彼の性質からひどいストレスを巻き起こした。かつて人を陥れたときのように。こういうことは楽しいことのはずなのだが、全く楽しくはなかった。わりに綺麗に別れられたことだけが、律にとって救いだったが。
    「まあ、色々ありましたけど、カタが付いたというか」
    「ほぉ……まあ良かったんじゃねえの?」
     霊幻はいつもみたいに、ぽんぽん、と律の肩を叩いた。とても半年ぶりの対応とは思えなかった。その表情も、何一つ変わらない。

     おそらく、霊幻は女性関係だと決めつけているだろう。まあそうだろうな、と律は思う。学業やバイトで苦労するとは思われていないはずだし、それだったらきちんと理由を添えているだろうから、と。
     その推測は間違ってはいないのだが、さて、どこまで気が付いているんだろう? そして戻ってきた自分に霊幻は何を思ってるんだろう? まるで分からないことばかりだ。経験値を上げようとしてかえって迷路に迷い込んでしまったのか。
    「僕がいない間、忙しかったですか? 兄さんに聞いても、普通って言うばかりで」
    「あぁ、確かに普通だったな。俺と芹沢で大体事足りて、たまにモブに来てもらって」
    「そうですか……」
    「おぉ、律くん拗ねてる? お前がいないと駄目だ、とか言ってほしかった?」
     ひどい。まさかたちの悪い冗談のつもりで言ってるわけではないのだろうが、霊幻の反応が前と変わらな過ぎて律は眩暈がした。余計な武者修行だったのか。そもそも自身の中では、何をしたところで霊幻に対する気持ちがまるで変らない、というこれまた辛辣な結論を導いてしまっただけに。
    「そういうのはいいですけど……じゃあ、僕の半年間の話聞きます?」
     律はやけくそになって言った。けれど言ったそばでそのことを後悔したりしたのだが、霊幻はそんな律を見て曖昧な笑いを見せた。
    「聞きたくねぇかな」
    「え?」
    「なんかつまんなそーな話だし?」
     霊幻はそれだけを言って律のもとから離れると、給湯室のほうへ姿を消した。まさか、あの霊幻がストレートに妬いてくれるとは思えないが、何らかの化学反応は起きたのだろうか。
    「霊幻さん、お茶なら僕が淹れますから!」
     律は慌てて霊幻の後を追った。今、霊幻がどんな顔をしているか確かめたくて仕方なかったのだ。
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    umi_scr

    DONE付き合って別れてまたすぐにくっつく芹霊のしょーもない話。
    性描写はないので年齢制限入れませんがわりに不穏です……。
    芹沢さんが女と付き合ったり倫理観がアレだったりするので何でも許せる方向けです。
    どうかご注意ください。

    バレンタインな話にするつもりがほぼ無関係などうしようもない話になりました。自分の性癖に忠実にごりごり書きました。こんなめでたい日にほんとすみません!
    別れても好きな人 何かの間違いで部下と付き合って別れて、もう半年になる。付き合った期間はもっと短く、たった四か月だった。けれど密度は数年にわたるお付き合いって程に濃ゆくて、しかしそれは別れたことの原因でもあった。

    「好きです……好き、みたいです……多分好きなんだと思うんです」
     始まりは飲みに行った帰り道だった。ずいぶん歯切れの悪い告白で、けれど「好き」という言葉を連呼しただけっていうのが実に芹沢らしいなと思いながら、俺はなぜかその告白を受け入れてしまったのだ。

    「ちょっと待て、あの夜は俺は酔っていたんだ……つうかお前酔って告白なんてベタなことやめろよ、ノーカンだからなノーカン」
    「霊幻さん往生際悪くないですか? 覚えていない、ってことはないんですよね? へにゃって笑って、『俺も好きだよ』って言ってくれたことを」
    6982

    umi_scr

    MOURNING支部にあげた「恋の話」(霊幻さんは芹沢と律どっちを選ぶのか?っていう話)
    プロット立てないで何も考えずに文章書いたらどうなるのか? っていう実験を芹沢一人称でやってみたら、導入で二万字行ったので驚愕したよね……
    このノリでやってたら永遠に終わらなかった。危なかった。

    勿体ないのでここに供養させてください。内容は支部に上げたものに近いので真新しいところは少ないです。導入なので中途半端に終わります!
    恋の話(リライト前) 影山君から家を出る、って聞いたとき俺は単純にすごいなあと思った。将来を定めた決然とした姿は、中学生当時の影山君とはまるで違っていた。あの頃から自分の考えをしっかり持った子供ではあったが、霊幻さんに選択肢をゆだねる頼りなさは年相応だった。いつの間にか成長していた姿を目の当たりにして、年月の重みをぐっと感じた。
    「芹沢さん、霊幻さんを頼みますね」
     はにかみながら俺にそう言った影山君もあの頃とはかけ離れて大人びていた。わかりました、と神妙に答えながら俺はふと霊幻さんのことを考えた。師匠と弟子、という単純な言葉では測れない絆みたいなものを日ごろから強く感じてはいるが、だとするとこの状況は彼にとってどうなのだろうか。まるで子供が巣立ったあとの母親のように、抜け殻になってしまうのではないだろうか? 俺だって影山君の姿に寂しさを感じなくはないのだから、霊幻さんならことさらだろう。
    21020

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    えのきたけ

    DONE2021/9/25 ワンドロお題「赤い糸」
    2022/7/21 加筆修正
    14×29

    運命の赤い糸とは、本来『赤縄』と呼ばれていました。指ではなく、互いの足に結ばれるものだったそうです。冥界の神にこの縄を結ばれると、必ず運命の相手となってしまう。恋に落ちてしまったことを、このある種呪いのようなもののせいにしてしまえば楽になれるのでは? と少年はひとり思うのでした。
    無色透明の赤「赤い糸って、目に見えないのにどうして赤いと分かるんでしょうか」
     あかい、いと?
     霊幻は思わず、傾けた急須を落としそうになった。なみなみと注がれてしまったお茶の入った湯呑を丁寧にお盆にうつしながら、その言葉の意味を反芻してみた。今までの会話の流れが何だったのか思い出す必要があるほど、それはあまりに唐突な発言だったからだ。
     ええと、たぶん、天気の話をしていたような気がする。それか、今日の宿題の話とか。たしか、その程度のことではなかったか。
    「不思議じゃないですか、可視化されていないものを形容して」
     律から文脈に応じた返事はない。霊幻は、あかいいと、から思考が動かない。最近流行りのなにかか、昔流行ったホラーテイストのなにかか、それとももしかして、いわゆるの"運命の赤い糸"の話をしているのか。ひとり、掴めないでいる。イメージも、相槌も、糸口も。
    2205