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    @umi_scr

    どこにも行けなかったSS置き場 GKとMP100のみ(たぶん)

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    付き合って別れてまたすぐにくっつく芹霊のしょーもない話。
    性描写はないので年齢制限入れませんがわりに不穏です……。
    芹沢さんが女と付き合ったり倫理観がアレだったりするので何でも許せる方向けです。
    どうかご注意ください。

    バレンタインな話にするつもりがほぼ無関係などうしようもない話になりました。自分の性癖に忠実にごりごり書きました。こんなめでたい日にほんとすみません!

    #MP100
    #芹霊
    Serirei

    別れても好きな人 何かの間違いで部下と付き合って別れて、もう半年になる。付き合った期間はもっと短く、たった四か月だった。けれど密度は数年にわたるお付き合いって程に濃ゆくて、しかしそれは別れたことの原因でもあった。

    「好きです……好き、みたいです……多分好きなんだと思うんです」
     始まりは飲みに行った帰り道だった。ずいぶん歯切れの悪い告白で、けれど「好き」という言葉を連呼しただけっていうのが実に芹沢らしいなと思いながら、俺はなぜかその告白を受け入れてしまったのだ。

    「ちょっと待て、あの夜は俺は酔っていたんだ……つうかお前酔って告白なんてベタなことやめろよ、ノーカンだからなノーカン」
    「霊幻さん往生際悪くないですか? 覚えていない、ってことはないんですよね? へにゃって笑って、『俺も好きだよ』って言ってくれたことを」
    「だからノーカンだって芹沢!」

     あくる日のそんな抵抗もいまさらの話だった。俺は既知の通り酒がめちゃくちゃに弱くて、サワー抜きのレモンサワー(ってなんだこれレモン水じゃないか)で酔ってしまうほどの特異体質なわけだし、そんなとこで告白してくること自体卑怯だとは思った。芹沢にしてはずいぶん姑息なやり方だったな、と二日酔いの頭を抱えながら思ったりもしたのだが、しかし口から出てしまった「好き」という言葉はどうあがいたって腹の中には戻ってこない。
     俺は実際に芹沢が好きだった。
     あいつの不器用なところも、俺より一回りデカいガタイも、気の弱さと紙一重な優しさってやつも。控えめなくせに妙に失礼な言動も、鈍感なところも、全て引っくるめて好きだった。何よりも一緒にいると楽だった。知り合ってからさほど経たないうちに芹沢は俺に馴染み、芹沢にも俺は馴染んだ。人間的な相性がいいのかもしれない、と思っているうちに距離が近くなった。
     これは物理的な話だ。
     若い女子ならともかく、アラサーのおっさんがべたべたとくっつきあって喋る様は傍から見たら相当に気持ち悪いと思う。けれど至近距離にやって来る芹沢を止める言葉は俺は持たなかった。指摘したら傷つくだろうし、それに何よりも嫌ではなかったのだ。プライベートでも食事やら飲みやらで一緒に過ごすうちに、あっけなく俺は芹沢を好きになっていたのだ。
     そして芹沢のほうも、芹沢が言うように、俺のことを好きになった、らしい。告白されたくせにこんな歯切れの悪い言い方をしているのは、これも既知の通り、芹沢は恋をしたことがないからだ。
     あいつに言わせれば俺が「初めて好きになった相手」ということになるらしいが、その好きが恋愛が絡む好きかどうかは疑わしい。人間として好き、上司として好き、という可能性は極めて高い。恋をしたことがなく、恋をしてみたい芹沢がこれは恋だと思い込みたいバイアスがかかっているだけの話なのかも知れない。
     けれどそれを確かめるより前に、「俺も好き」などと口をついて出てしまった。本当に酒って言うのは最悪だ。翌日の抵抗もむなしく、「お互いに好きなんだからお付き合い出来るっていうことですよね」と妙に強気に出てこられた。その瞬間が最後の断りを入れるチャンスだったとは思うのだが、俺は芹沢に屈した。シンプルに言ってその時の芹沢に、男としての魅力を感じてしまったのだ。
     それからはもうなし崩しだった。芹沢の学校が終わった後、お互いの家に入り浸るようになり、同棲か、ってくらいの時間を共有するようになった。プライベートでの逢瀬が夜限定、っていうのもまずかった。家に直行しても飲みに行っても結局やることはひとつで、わりに芹沢は執拗な性質だったから、一日が気だるくなるくらいにはやり込んでしまったのだ。
     一か月そんな日々が続いた。そろそろ飽きるだろう、と思ってるうちにもうひと月が経ち、そろそろスローペースになってくれないかな、という思いも空しく芹沢はしきりに俺に触りたがるのだ。別に嫌だったわけではない。愛情を寄せられるのは嬉しいし、実際にそういうことがあるからには「恋」の裏付けになる。というより、その確証が欲しくて、芹沢の好きにさせていたのかもしれない。
     けれどいくら好きな相手とはいえ、そればかりな交際が健全だとは思えない。初めてだから過剰なのは分かるし、それも含めて受け止めてやろうと決めていたつもりだったが、限界を感じてしまったのだ。
    「少し距離を置かないか」
     苦渋の決断だった。
     芹沢はああいう性格だから真正面から受け止めて傷つくのは分かっていたし、現にこう言った瞬間、人生が終わったような絶望的な表情をされた。
    「何が不満なんですか」
    「いや、さ……お前うっかり俺なんかと付き合っちまったけどさ、やっぱりさ、女相手とも付き合った方がいいと思うんだ」
     俺は畳みかけるように口にした。
     女を知らない、というのは人として生きる上で不自然な状態だし、そもそもお前は俺と一緒にいる時間が長すぎたから単純にこんなことになっただけだ。視野を広く持ちたいから学校に行ったんだろ? だったら他の世界の人間にも目を向けるべきじゃないのか、まだ三十過ぎたばかりで狭い人間関係に埋没してしまうのは勿体ないんじゃないか? と。
     そんなようなことをぺらぺらと喋った。能面のような無表情に移り変わっていく芹沢のことは正直かなり恐ろしかったが、それでも俺はこの別れ話を全うした。「まぁ、お前のことは凄く好きだったよ」と口にしたときはその言葉の持つ力に号泣したくなったのだが、何とかこらえた。芹沢は何も言わなかった。承諾も反論もせず、けれど、俺の思惑通り、次の日には元の上司と部下に戻ってくれた。
     納得してくれたのかどうかは分からなかった。めちゃくちゃな言い分だってことも自覚していたし、芹沢の気持ちが本物だったことも重々知ってる。けれど別れたいという意思は汲んでくれた。そこもまた芹沢の優しさって奴だろうな、と思いながら俺は一つの恋に終わりを告げた。
     そして季節は変わり、年も暮れた。俺たちの関係性は何も変わらずに新年を迎え、相談所の方も細々と続けながら、表面上は平穏に過ぎてはいた、ある日。
    「あの……霊幻さん。今度の火曜日、お休みいただいてもいいですか?」
    「あ、いいけど。平日に珍しいな」
    「実は旅行に誘われてしまいまして。一泊なんですけど」
     昼休みが終わった瞬間、芹沢は淡々とそんな話を切り出した。寝耳に水だった。そもそもあれ以来仕事以外の会話を交わすこともなく、表面上だけを取り繕って半年間を過ごしてきたのだから。
     いや、これもまた業務連絡ってやつだから、仕事の延長っていうやつか。……そうなのか?
    「大丈夫だけどさ。誰と行くんだ?」
     明らかに業務を踏み越えた質問に、即座に芹沢の顔が陰る。「霊幻さん、そういうこと聞くんですね」とさらりと冷たい声で口にされ、言外に答えを滲みださせてきた。
     あー、そう言うことか。
     成長したよな、芹沢。
     あれだけ空気読めなかったやつが空気読むこと強要してくるんだもんな。そうか、彼女出来たのか。言ってくれればいいのに、って、俺相手には口にしにくかったってやつか。つうかこれが事実上の報告ってやつか。はは、洒落たやりかたしやがって。つうかお前のその態度、俺に対する復讐? いや、まさかな。執念深い性格はしてるとは思うが、人を恨むような性格はしてないもんな。俺の勘ぐりすぎだな。
     そうか、彼女出来たのか。ちょっと待て、来週の火曜日って言ったらバレンタインじゃねえか。ベタだな、そんな日に旅行だなんて。つうか訊くまでもなく彼女確定ってやつだったな、失礼した。失礼致しましたよ芹沢くん。
     しかし芹沢と付き合う女ってどんな奴なんだろうか。いや、想像は付く。すげー美人って可能性は低い。派手目のギャル、という可能性はなくはないが、それよりも歳上の女説を推したい。芹沢みたいな男を好きになる女は、どこか疲れていて、優しさに飢えていて、そして何よりも自己肯定感が低い、そんな女だろう……と思う。俺の経験上。いや俺は歳上でも女でもないけど……まあそれはそれで。
     だけど芹沢はこう見えて面食いな部分もあるから、そこそこには美人なんだろう。乳の大きさは問わないはずだ。家で一緒に海外映画見てた時も反応が薄かったし、「胸がデカいのって微妙じゃないですか?」とか口にしていた。一瞬俺に対する気遣いかと思ったのだが、際どいシーンの時実際に目を背けてたから、いわゆる豊満な女性を選んだ、という可能性も極めて低い。貧乳寄りの地味な美人。そして少し歳上。これが俺の推測ってやつだ。
     けれど……女と付き合ってる、ってことはすでにやることやってんだろうな。当たり前か、旅行行くって話が出るくらいだし。お互いに三十路過ぎ(推定)なんだし。プラトニックってほうが考えにくいよな。
     あーあ。芹沢は女とやってんのか。俺だってずっとやってねえのに。芹沢と別れてからそんな気分になることもねえし、到底考えられないってのに。無理だし。お前にさんざんやられてから思考回路すっかりそっちだし。けれど男相手に、ってのもあり得ないし。男相手だったらお前以外、考えられないし。
     つうか芹沢って女相手にもああなのかな。俺が一応男だから容赦なかったってだけで、ある程度セーブするんだろうか。それともやっぱり女の方がいいから、余計にのめり込んでたりするんだろうか。そのケースだと芹沢より相手の女の方がやばいよな。芹沢としてたら身体、おかしくなるし。つーか旅行ってむしろそっちが目当て的な匂いしかしないっていうか……
     あーあ、いいなあその女。俺も一度だけ出張先で芹沢と一緒だったことあったけど、いまだに色々を覚えてるし。自重しろ、って言い聞かせたけれどまったく聞く耳もってくれなくてさ、「浴衣ってえろいですよね」って部屋に入るなり腕を掴まれてさ、せめて風呂くらいは入らせろって言ったけどこれも無駄な抵抗だったし。まぁ風呂の中でも弄りまわされて散々だったし。仔細は省くけどさ。
     今にしてみれば、楽しかった思い出ってやつか。荒っぽく扱われるのも嫌いじゃなかったし、むしろ甘ったるく触られる方がしんどかったけどその辛さってやつも含めて、全て激しいセックスに持ってかれた。旅館ってこういう目的のために存在してるんですよね、ってあいつが口にすると冗談だか本気だか分からなくて怖くて、けれどその恐怖感すらも前戯の一環だった。声を抑えるために噛んでいた帯が唾液でぐしゃぐしゃになって、これは絶対バレると思うと恥ずかしさに居たたまれなくなって、けれど芹沢はそんな俺の気持ちに無頓着を貫いてきた。霊幻さん、恥ずかしいのも好きですよね、すぐにいやらしくなるの、俺、分かるんですよ、と追いつめるような言葉すら吐いて。
     けれどそんな部分も含めて、俺は芹沢とするのが好きだったのだ。そもそも男にやらせてるっていう時点で性的志向はひっくりかえってるところで、雑なくせにねちっこい、とても上手いとは言えないやり口になぜだか何度もいかされて、ぐしゃぐしゃになった情緒に刷り込むように芹沢の動きをリピートされて、それで俺はすっかりおかしくなったんだった。
     忘れたかった。けどこんなの忘れようったって無理だし。正直に言えば、死ぬほどよかった。じゃなかったらあんなに身体が馬鹿になるほどやらせたりしないし、セクハラすれすれの暴言を許したりもしない。けれどあのままやり続けたらきっと廃人になるだろう、って思ったから俺は芹沢から逃げたのだった。

    「霊幻さん、何考えてます?」
     走馬灯のように巡る過去を持て余してるうちに、芹沢がちらりと視線をよこしてきた。冷たくて残酷な、けれど俺の大好きなまなざしだった。確信的にやってるのかどうかは分からない。けれど俺も突き放すように「そんなこと聞いてどうするんだ?」と返した。
     視線が、絡み合う。すっかり半年前の記憶が蘇ってきたところに半年前の芹沢のまなざしが帰ってきて、俺は懸命に無表情を貫いていたのだが、結局は屈してしまった。指先が震え出し、呼吸が荒くなり、極め付けにはぼろぼろと涙がこぼれた。まるで最中の時のような、無防備な涙っていうやつが。
    「芹沢……これは条件反射ってやつだ。ノーカンだ、ノーカン」
     俺は机の上のティッシュを何枚も抜き取り、ぐしゃぐしゃになった顔を拭い、ついでに鼻もかんだ。芹沢は俺をじっと見ている。呆れたような、軽蔑したような、この上なく辛辣な視線を投げかけて。
    「霊幻さんは……本当に往生際悪い人ですね」
     やがてため息交じりに芹沢はそう言い、けれど休みは貰いますからとご丁寧に付け加えて来た。なんだそれ、やっぱこれ復讐ってやつかよ。はは、効果てきめんだよ芹沢。俺の心臓が、ものの見事にぐしゃりと潰れてるぜ。
     しかしこのデリカシーのなさって言うのはもはや天然っていう言葉じゃ許されないだろ。目一杯の体で強く睨みつけると、芹沢はもう一度深くため息をついた。
    「女と寝ろ、って言ったの霊幻さんですよね」
    「はは、お前結局ゲロってんじゃねーか」
    「聞きたいならいくらでも説明しますが。猥談は趣味じゃないですが」
    「お前散々俺のこと抱きつぶしといてよく言うよなあ?」
    「霊幻さんが全部教えたんでしょう? 童貞の俺を一から調教するの楽しかったんじゃないですか?」
    「マジかよ……お前そんな事思ってたのかよ」
    「あんな別れ方されたらそうとしか思えないじゃないですか」
    「すげえな、お前よっぽど自分のセックスに自信持ってるんだ」
    「あれだけ乱れてくれたら自信持つなという方が無理だと思うんですが」
     堰を切ったようにあふれ出すあけすけな会話に、半年前にこういう話をすればこんなことにならなかったんだと今更に気が付いた。俺は芹沢の冷静さに気おされるように黙り込む。するとようやく、芹沢の表情が少しだけ緩んだ。
    「旅行行ったら、ちゃんと別れてきますから」
    「……え?」
    「俺なりにきちんとお付き合いして来たんですが、仕方ないです。けれど旅行はもう約束していたのでキャンセルは出来ませんが」
     どくり、と心臓が跳ねた。身勝手に喜ぶ心が騒ぎ出すのを何とか宥め、俺は芹沢に聞く。
    「お、おい芹沢? お前それでいいのか?」
    「まあ、もともとはそのつもりだったわけですし……ことのほかいい女だったので、惜しくないって言ったら嘘になりますが」
    「それ俺に言うのかよ」
    「霊幻さん相手だから言うんですよ。よかったじゃないですか、あなたの思惑通り経験値を積んだ男が返ってきて」
    「あれは言葉の綾っていうやつだろ……つうか旅行とか行ったらなし崩しになるんじゃねえの?」
    「大丈夫だと思います。相手は人妻ですし。まあ、セックスはしてくるとは思いますが」
     ぱりん、と何かが割れた音がした。
     それは芹沢に対する幻想ってやつだったのかもしれないし、自分の浅はかでか弱い心が折れた音だったのかもしれない。だけどそれでも嬉しくないと言ったら嘘になるのだ。ここまで無神経極まりない言動をされても。
     笑いたいのか泣きたいのかどっちつかずになった顔がゆがむのを感じながら、だけどこれだけはきっぱりと口にした。
    「なぁ芹沢、不倫ってのはクソだぞ」
    「分かってますよ。けど、こればっかりは霊幻さんに責任があると思うんですが」
    「どういうことだよ」
    「俺だってめちゃくちゃ傷ついたんです。だから少しは苦しみってのを味わってください」
    「は? 俺別に浮気も不倫もしてねーだろ」
    「他に好きな人が出来たとかじゃないのに振られるっていうのも、無茶苦茶しんどいんです」
     芹沢の手が、俺の肩を掴んだ。あっという間に引き寄せられ、あっけなく抱きとめられてしまう。これもまた半年ぶりの抱擁であったが、懐かしさと心地よさが一緒くたになって、一気に涙があふれて来た。芹沢は自分が思うような綺麗な人間でもなかったし、むしろ最低な部類に入るのかもしれないけれど、だけどたまらなく好きだと思った。この男をこのまま肯定してやるって時点で相当に最悪なのは俺も一緒だ。だけどいいよな、そもそも人間なんて、そんなお綺麗に出来てるものでもないのだし。
    「なぁ……やっぱ女とセックスするのか?」
    「しますよ。しなかったら失礼でしょう」
    「お前そんな礼儀正しい人間じゃないだろ? 単にやりたいだけだろ」
    「大丈夫です、霊幻さんそういうのきっとお好きだと思いますよ。……全て、きっちり報告しますから」
     芹沢の身体が離れる。深々とお辞儀するなり、颯爽と相談所を後にした。首尾よく終わったら改めて連絡します、と、それだけを言い残して。
     俺はすっかり力の抜けた身体を来客用のソファーに埋めながら、ぼんやりと虚空を眺めた。
     何あいつ俺に寝取られ属性付与するつもりかよ。逆に調教するっていう話かよ。つうか芹沢って底が知れない怖さってのがあるなと改めて恐怖を感じながら、それでも好きな気持ちに変わりない自分に呆れ、そして誰もいないことをいいことに己を思い切り笑い飛ばした。
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    umi_scr

    DONE付き合って別れてまたすぐにくっつく芹霊のしょーもない話。
    性描写はないので年齢制限入れませんがわりに不穏です……。
    芹沢さんが女と付き合ったり倫理観がアレだったりするので何でも許せる方向けです。
    どうかご注意ください。

    バレンタインな話にするつもりがほぼ無関係などうしようもない話になりました。自分の性癖に忠実にごりごり書きました。こんなめでたい日にほんとすみません!
    別れても好きな人 何かの間違いで部下と付き合って別れて、もう半年になる。付き合った期間はもっと短く、たった四か月だった。けれど密度は数年にわたるお付き合いって程に濃ゆくて、しかしそれは別れたことの原因でもあった。

    「好きです……好き、みたいです……多分好きなんだと思うんです」
     始まりは飲みに行った帰り道だった。ずいぶん歯切れの悪い告白で、けれど「好き」という言葉を連呼しただけっていうのが実に芹沢らしいなと思いながら、俺はなぜかその告白を受け入れてしまったのだ。

    「ちょっと待て、あの夜は俺は酔っていたんだ……つうかお前酔って告白なんてベタなことやめろよ、ノーカンだからなノーカン」
    「霊幻さん往生際悪くないですか? 覚えていない、ってことはないんですよね? へにゃって笑って、『俺も好きだよ』って言ってくれたことを」
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    umi_scr

    MOURNING支部にあげた「恋の話」(霊幻さんは芹沢と律どっちを選ぶのか?っていう話)
    プロット立てないで何も考えずに文章書いたらどうなるのか? っていう実験を芹沢一人称でやってみたら、導入で二万字行ったので驚愕したよね……
    このノリでやってたら永遠に終わらなかった。危なかった。

    勿体ないのでここに供養させてください。内容は支部に上げたものに近いので真新しいところは少ないです。導入なので中途半端に終わります!
    恋の話(リライト前) 影山君から家を出る、って聞いたとき俺は単純にすごいなあと思った。将来を定めた決然とした姿は、中学生当時の影山君とはまるで違っていた。あの頃から自分の考えをしっかり持った子供ではあったが、霊幻さんに選択肢をゆだねる頼りなさは年相応だった。いつの間にか成長していた姿を目の当たりにして、年月の重みをぐっと感じた。
    「芹沢さん、霊幻さんを頼みますね」
     はにかみながら俺にそう言った影山君もあの頃とはかけ離れて大人びていた。わかりました、と神妙に答えながら俺はふと霊幻さんのことを考えた。師匠と弟子、という単純な言葉では測れない絆みたいなものを日ごろから強く感じてはいるが、だとするとこの状況は彼にとってどうなのだろうか。まるで子供が巣立ったあとの母親のように、抜け殻になってしまうのではないだろうか? 俺だって影山君の姿に寂しさを感じなくはないのだから、霊幻さんならことさらだろう。
    21020

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