季節のかわり目アラームの音とともに決められた時間に規則正しく目を開ける。自室の中はいつもより一際肌にひやりと冷たく、季節の移り目を感じさせた。
───今日中にでもまとめて衣替えをしようか
あれこれ計画を立てながら慕情はベッドから起き上がり、二段ベッドの上段で気持ちよさそうに寝息を立てるルームメイトを起こさないように準備を整えた。
三十分程経つと自分と同じアラームのデフォルト音が部屋中に響き渡る。以前に爆音でうるさいとクレームを入れたが当の主は「この音量じゃないと起きられない」と全く聞き入れる様子もなくそれが原因で以前、寮内の学友に無理くり止められるまで取っ組み合いになったこともある。
布団の中でモゾモゾと揺れた芋虫は以前より幾分マシになったアラームを止め、梯子を降りながらこちらに向かう。
776