Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    chunpepyun

    @chunpepyun

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 25

    chunpepyun

    ☆quiet follow

    ヘル光?
    もしも87IDで🌟が死んでいたらの話。未推敲プロット。サブクエのキャラがでます。
    いつものうちのヒカセン。

    無題 それはカイロスの誤作動から数日後の事。ヒュペルボレア造物院はアーモロートでの検査を終えたヘルメスが帰還をし、内部での損傷箇所の調査、被害を受けた創造生物の確認、造物院内の修理と多くの職員が駆り出されていた。

    「所長、あの…!!」

     一人の職員が慌てた様子で指揮を取るヘルメスの元へと駆けてくる。何か問題があったのだろうかと呼び出された場所へと着いていく。
     案内されたのは造物院内の創造生物評価室だった。見つかったのは創造大陸観察区だったが移動をさせたと職員は話す。
     小さな布がかけられた膨らみ。複数の職員が周囲に集まっている。大切な観察中の生物に何かあったのだろうかと近付くと職員たちは顔を見合わせて目を伏せる。

    「あの、造物院内で、彼女が」

     彼女、と言われてヘルメスの脳裏に浮かんだのはメーティオンだった。自分が未熟なせいで命を散らせてしまった大切な使い魔。まさか無事だったのか、いや、そんな筈は、と駆け寄る。けれどもそこにいたのは全く知らない、メーティオンよりも少し大きな獣人型の少女だった。

    「この子、は……?」
    「所長、やはりこの子の事も記憶が…」

     職員たちはヘルメスの反応を見て言葉を詰まらせた。

     金色の髪に同じ金の獣耳、灰の模様が浮かぶ頬。皆と同じローブを着た小さな女の子。けれども肌から色は消えて、瞳は固く閉じられ、そこに命が無いことはすぐにわかった。

    「アゼム様の使い魔で、エメトセルク様たちと同じ頃エルピスにやって来たんです。何かの調査でここに訪れていたようで、メーティオンとも所長とも仲良さそうに一緒に過ごしていて……」
    「あの日、造物院にエメトセルク様達が入る時この子もいました。だから、カイロスの事故に巻き込まれしまったのかも、しれません」

     自分とメーティオンと彼女が?
     ヘルメスは色の無い小さな生き物に目を向ける。肉体の構成エーテルは薄く、とても脆い生き物だ。アゼムは何を考えてこんな使い魔を……。

    「そう、なのか…すまない、やはりあの数日間の事は何も記憶が無いんだ。アゼムの使い魔、なのだろうか。それならばまずアゼムに連絡を取ろう。今ならまだアーモロートにいる筈だ」
    「わかりました」

     一人の職員がアゼムへと連絡を取るために駆け出した。なんと言ってもあのアゼムだ。数分後にはどこか知らない世界の端に行ってしまってもおかしくはない。先日の事件で親友であり同じ委員会の同僚、同じく親友であり創造物管理局局長、自身の前任者と錚々たるメンバーが記憶喪失になったと知り、調査地での仕事を大急ぎで片付けた彼女がアーモロートに飛んで帰ってきた事をヘルメスは知っている。今ならまだ捕まえられる。

    けれども本当にこの子の事は何もわからない。あの数日間を思い出そうとしても日に焼けた本のように、まるで眩しい光の中にいるように、何も浮かんでこないのだ。何かその間、自分にとって大切な事があったような気はするのにそれが何だったのかすらわからない。

    「すみません、ここにアゼム様の使い魔の子がいると聞いて来たのですが、」

     集まる職員とヘルメスに声をかけて二人の女性が息を切らせてやってきた。どうやら急ぎ、走ってきたようだ。

    「君達は、」
    「アナグノリシス天測園のカルミオンです」
    「ポイエテーン・オイコスのマイラです」

    二人の女性は床に横たわる少女を見て息を呑む。

    「そんな、」
    「どうして、コレー…」

    二人は膝をついて小さな遺体の前で項垂れた。どうやら二人は使い魔と親密な関係だったようで大きなショックを受けているようだった。

    「私、まだあなたの使命を聞かせてもらっていないのに」
    「あなたは、まだこんな形で還るべき子じゃなかった…」

    二人は肩を寄せ合い小さく呟いた。周囲の職員達も、その小さな使い魔を知っているのか仮面越しにもわかる沈痛な面持ちで目を伏せた。
    それがヘルメスにはとても衝撃的で言葉を失ってしまった。必要がないと判じられた創造生物達を星に還すことも淡々とこなしていた職員でさえ、その使い魔の死に何かしらの悲しみを滲ませるものだから。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭🙏❤💘😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    chunpepyun

    MOURNING87ID光死亡IF(支部に上げてるやつ)の続き
    めちゃくちゃ短い
    使い魔の遺骸を引き取りに来たアゼとヘル
    ヘル光のつもり
    プロットレベルよ

    「やぁ、先日ぶりだね、ヘルメス」

     強く真っ直ぐに、焼き尽くしそうな瞳だといつも思う。

    「忙しい所すまない、アゼム」
    「いや、いいんだ。早速だが私の使い魔の元へ案内してくれるだろうか」

     ヒュペルボレア造物院内で見つかった使い魔の遺体。その使い魔はアゼムの使い魔を名乗っていたが為に他の魔法生物達と同じ様に土塊に還す事もできず本人を呼ぶ事となった。

    「そう、この子が、」

     小さな獣人型の女の子。その肉はもう固くなり色はない。

    「ありがとう。この子は私の方で引き取らせてもらう」
    「…本当に、すまない、誰も記憶がない為に詳細はわからないのだが、おそらくあの日の事故でその子は」

     エルピスの職員達が口々に語ってくれた使い魔。よく手伝い、聡明で、不思議な生き物。きっとあの日も共にいた。メーティオンとも、ヘルメスとも親しかった。それなのにその記憶は焼け爛れて、真っ白い光の中で、何も、何も思い出す事はできない。ただ心に残るのは痛みと後悔や苦しさだけで、その生き物を見る事すら苦しくなる程で。
    864