窓絵 縁側に花びらが散る。
曇り空にうっすらと陽がにじんで、あたりの景色をぼんやりとさせる。
庭の木々からこぼれた赤い花弁も、広縁に腰かけたひとの背も、だからだろうか、どこかうそごとめいていた。
わたしは縁を隔てて座敷に膝をついている。
風はなくて、あたりはしんとしていた。
陽射しは広縁のなかほどでとぎれる。敷居からすこしさきにある薄い光と、その境をかたちづくる影とをわたしはみつめる。
「そもそも炎と氷がくっつけば最強なんて小学生みたいなこと考えるの、あなたつくづくばかよね」
縁側にいるひとはふりかえらないまま、その背がわずかに震えた。
「わたし言えばよかった」
応えはないから、わたしは好きなことを口にする。
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