会番 ワンライ「手ックス」「思ったよりも時間かかりましたね」
「だね〜」
用事を終え、珍しくバス移動をすべく後方2人座席に並んで座った。
時間帯によるものなのか、路線によるものなのか車内には人の姿はまばらだった。
普段よく使う電車ではなくバスを選択したのは出発地から加賀美と番井の自宅付近まで上手い具合にバスが通ることがわかったからだった。
バスの座席は二人で座ると少し狭く、いやでも身体と身体が触れ合った。
(……やっぱ、大きいよね……)
こうして座ると体格の差を意識してしまう。
肩やももが相手に触れ、赤の他人なら居心地悪く感じるはずなのに、番井が相手ではその体温が少しくすぐったい。
こうして近くにいるということに、もうすっかり慣れてしまって、いまではどこか安心感すら覚える。
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