【🍫🦇と🦊✌️】
「お前ってやっぱ、アイツの生まれ変わりなのかねぇ…。」
もごもごと口を動かしながら、背の高い一本の木を見つめ彼は言った。
そのアイツ、とやらがきっとそこに居るのだろう。
私はまだ姿を見たことがないのだが…。
「でもなー、お前はなーんか素直?純粋?アイツと全っ然ちげぇ。」
「まあ、私は私…だからな。」
「そうだなお前はお前だわ、アイツと違って初だし。」
「あ、あの時のことは…!仕方がない!」
「おーおー、そんで反応も面白い!」
思わず声を荒げながら反論すれば、彼は愉快そうにケラケラと笑い声を上げた。
どうにもこの狐様には敵わない…少し火照った頬を冷ますように息を吐き出す。
不意に、先ほど彼が眺めていた木の方からカサリと音が聞こえた気がした。
「……アイツもお前くらい素直なら、可愛げがあんのにな。」
暇だし昼寝するか!と彼にされるがまま、私はその腕の中に閉じ込められる。
その顔に悲しさが見え隠れしてるように思えた。
【🍪🍎と🍂🍎】
「狸くんは、本当に大王様が好きなんだね。」
そう言うと照れ臭そうに頬を染めながら、彼は強く頷いた。
「僕に生きる道をくれた人だから…とっても大切なんです。」
「そっか、でも凄いや狸くんは…こんな風になるまで毎日頑張ってるんでしょう?痛くないの?」
ソッと手をとり僕は労るように傷跡をなぞった…柔らかくて優しくて暖かい手だ、それに不釣り合いな傷跡が幾つも残っている。
きっと辛いこともあったんだろうな…そう思ったら、自分のことのようにキュッと胸が痛んだ。
「今は大丈夫です!それに僕が痛い思いをするだけで…皆がそんな思いをしなくて済むのなら、それ以上に嬉しいことなんてないですから。」
だから大丈夫…そう言いたげに彼は僕の手を今度は優しく包み込んだ。
「でもそれは、僕はとても悲しいことだなって…思うよ。」
「フフ、ありがとう。僕を心配してくれて…だからこそ僕は守りたいんです。皆も、君も。それにバンダナくんだって頑張り屋さんなんだから少しは僕を頼ったって良いんですよ?」
そう微笑んだ彼はとても眩しく見えた。