ひっそりこっそりやってられん!柴八戒の証言
最近、タカちゃんに恋人ができた。――と、思う。
たしかにタカちゃんはいい男だ。誰もが憧れて、尊敬して、愛するに値する人だ。
けど、最近はオレがないがしろにされている気がする。
現に今も、普段なら苦手だからと言ってあまりしないメールを一生懸命カチコチと打っている。
「ねえ」
「んー?」
「……ねえってば!」
「……なんだ?」
ようやく顔を上げたタカちゃんが、きょとんとしてこっちを見上げた。
気に食わない!
「それ、カノジョ?」
「……へぁ⁈」
裏返った声で返事をして、その場で三センチくらい飛び上がったタカちゃんを見て確信した。これはクロだ。やっぱり彼女だ。
どこぞのぽっと出のオンナにタカちゃんとの貴重な時間を奪われるなんて許せない。たぶん、とんでもないワガママだってわかっているけど、そこは末っ子なので許してほしい。
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