目が覚めた瞬間、嫌な腹痛に気付く。マシになるわけでもないのに、布団にくるまったまま身体を縮こめてみる。
予定日が近かったからナプキンはつけていたけれど、我儘を言っていいなら昼間に始まってくれたらよかった。出血してすぐ薬を飲めればいくらか楽なのに、もう痛くなってしまっては薬も効きづらいのだ。
「ううううう」
勝手に溢れそうになる涙を引っ込めるため、ぎゅっと目を閉じて、深呼吸。だめだ、泣くな、泣くな。
枕元のスマホで時間を確認した。ルカはもう帰ってきているだろう。ぽちぽちメッセージを打ち込む。
生理…、はじまっちゃった…、悪いけど…、薬と…、水、もってきて…、もらっても…、いい…?
送信。外で何かしていたのだろうか。バン!と玄関を開く音がして、ドタバタ階下で大きな音がする。とりあえず家にいてくれてよかった。…急いでくれるのはありがたいけど、頭に響く音が嫌で目を閉じる。
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