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    mugi_desu_

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    ヒラ~カを最新刊まで読んだので記念に供養

    映画のデクサンの「雄英で待ってる」発言についてのお話(題名)「おいクソデク」

    心地良い海風に吹かれる中、かっちゃんは嫌に不機嫌だった。なぁに、なんてのんびりと答えれば2人分くらい空いた距離が意味を成さないくらいに感情が伝わってくる。「どういう意味だ」なんて、聞いてこなかった。かっちゃんは賢いから。僕達の怪我についても、口頭で確認するようなことはしなかった。かっちゃんは、賢いから。

    「僕はオールマイトが大好きでね、」
    「……んなこた知っとるわ」
    「だから、だよ」

    いつも通り、笑えただろうか。

    ワンフォーオールは僕にとって無期限じゃない。僕なんかで終わらせちゃいけない、大事なものだ。オールマイトが師匠から受け継いだように、僕がオールマイトから受け継いだように、更に次へ、繋げる義務が僕にはある。後継者を探すために雄英教師になったオールマイトのように、有能な有精卵の中から選ぶのが一番合理的だとは思う。……なんて、僕自身がオールマイトにとってアクシデントだったわけだけれど。

    「別に、プロヒーローを辞めるわけじゃない。相澤先生やプレゼントマイクのようにヒーローやりながら“先生”やってみせるよ。この前も言ったけど、オールマイトだって残り火で僕達を守ってくれた。僕も、オールマイトのように、……ッ」

    ここまで口走って、やっと我に返った。かっちゃんは戦った時の記憶が無い。どのように失くしているのかは本人にしか分からないし、独特すぎる怪我のせいで全てを察しては居るのだろうけど。恐る恐る表情を伺えば、かっちゃんは気にしていないのか会話を覚えているのか分からないけれど僕の言葉を全部聞かなかったことにするみたいにハッ、と興味無さそうに笑った。

    「てめぇの人生計画なんざこれっぽっちも興味ねぇが」
    「あ、うんそうだよねごめん僕」
    「俺はオールマイトをも超えてNo.1ヒーローになる男だ」

    俺の目の前に居ときながら終わった時の話すんじゃねぇよクソデクが。

    そう言ってフェリーの中へ入ろうと僕に背を向けるかっちゃんを思わず呼び止める。何を言おうかなんて、考えてなかったけど。

    「……ぁんだよ」
    「ありがとう」
    「は?」

    そうだよね、今は、とりあえず。
    前だけ見ることにするよ。
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    目覚めると真っ白な天井と微かに鈍い音を立てている業務用エアコン。少し視線を右に移すと腕に繋がれた点滴がある。薬品と消毒用アルコールの香りがここがどこかをぼやけた視界でも嫌でも理解させる。病院。視界とは相反するようにハッキリとした意識は私だけが生きているという事実を突き付け絶望させるのに十分だった。一瞬で愛する両親を失った。突っ込んできたトラック。間抜け面で寝惚けていた運転手の顔をありありと思い出していくと心の奥が沸き上がる黒々とした負の感情で支配されていった。返して、私の大切なお父さんとお母さんを。こんな醜い世界に一人ぼっちにしないで。死が救済だというのなら今すぐ私を殺せ。ろくに動かない左腕を伸ばして点滴を引き抜く。死んでやる。死んでやる。死んでやる。すぐに看護師が駆けつけて私のむなしい抵抗は止められた。
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