Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    芦緖(あしお)

    @futa2ai

    20↑shipper。 ふたあい(二藍)はイーベン小説中心に活動中。M:I(イーベン)、 TGM(ハンボブ、ルスマヴェ)、忍たま(こへ長)の話題多め。字書きですが、絵を描くのも好き。
    通販(基本イベント開催前後のみ公開)→https://2taai.booth.pm/

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    芦緖(あしお)

    ☆quiet follow

    マーヴェリック・イーサン双子設定話②
    前回の続き。前回はイーサン視点が多かったので今回はマーヴ側メイン。自分的にはマーヴが兄。そこらへんの解釈はTwitterにあげたりしてます。
    映画版と小説版の設定と自分の解釈をごちゃ混ぜにしています。

    #TGM
    #M:I
    #イーベン
    eben

     イーサンと話しながら、マーヴェリックは昔母親と一緒に墓地に行ったことを思い出していた。たくさん並ぶ墓石の中にあった『バーニー・ミッチェル』と書かれた小さな墓に花を手向けに行ったことを。
    「ピート、ここにはあなたの弟がいるの」
    「弟?」
    「そう、双子の弟。生まれてすぐ空に上がってしまったけれど」
    「じゃあ父さんを空の上から探してくれてるかな」
    「……そうね。あの人の子供だもの、きっと上手に飛びながら探してるわ」
     父親が行方不明になって引きこもりがちだった母親が珍しく外に出ようとマーヴェリックを連れて訪れた場所が墓地だった。弟がいたこと、そしてすぐに亡くなったことは驚きだったが、それ以上にその時は父親が飛行機に乗って消えたことがまだ信じられなくて、弟の存在はすんなり受けていれてしまった。
     本当はもう少しマーヴェリックが大きくなってから伝えるつもりだったのだろう。精神的に不安定なっていたことで、死んでしまった弟にも縋りたい気持ちがあったのかもしれない。その後次第に母親とは会話することができなくなって、実際のところはわからなかった。



    「僕達って双子なのかな」
     イーサンがポツリと呟いた言葉で、記憶を辿っていたマーヴェリックは意識を会話に戻した。
     双子の弟は死んでいる。しかしイーサンとマーヴェリックは双子にしか見えない。他人の空似とは言い難いほどに瓜二つで、目が合った瞬間も直感的に繋がりを感じた。こういった時のマーヴェリックの勘は大体当たっている。
    「……実は僕には双子の弟がいて」
    「その人も似てる?」
    「わからない。生まれてすぐ死んでしまったそうだから」
    「そう、か。すまない」
    「いや、別に。ただ兄弟なんて弟のこと以外聞いていないし、婚外子だって考えづらい。父もアビエイターで様々な地域に行ってはいたけど、その……そういう人ではないし、そもそも異母兄弟でこんなに似るなんてないだろう?」
     無くなってしまった家族の繋がりをずっと求めていたマーヴェリックにとって、イーサンの存在は期待であり恐れでもあり、言葉では言い表せられない気持ちが心の中に渦巻いていた。そんな気持ちの表れなのか、矢継ぎ早にいろんな考えが口をついて出てくる。
    「確かに。……僕も父については記憶がないから何とも言えないけど、君が言うならそうなんだと思うよ」
     イーサンも異母兄弟よりは何か事情のある双子と考えているようだった。機密機関のエージェントをしている男だ。頭の回転も直感力も並大抵ではないだろう。
    「僕達の関係について気になるなら知ることはできる。彼はそういうことが得意なんだ」
     少し考え込んでいたイーサンが何かを決めたようにマーヴェリックに告げた。彼というのは先程紹介されたベンジー・ダンというイーサンの同僚だ。既にルースター達と馴染んでいるベンジーは人の良さそうな顔をしているが、二人のような職種の人間はさまざまな顔を持っているものだ。
    「僕は知りたいと思ってる。君は?」
     イーサンの、自分と同じアースカラーの瞳が真っ直ぐ向けられる。その視線を受けながら自分はどうなのか、マーヴェリックは自身に問いかけた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏☺☺💕💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」
    たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
    帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
     大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
     学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
    2987

    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
    4107

    recommended works