【過去編】那由多VSアクラシア⑥EndERROR ERROR ERROR
電気信号OFF
遮断シマス、遮断シマス
アクラシアから機械音が響き渡る。
千星はその音を聞きながらも天夜に駆け寄り、傷口を必死に押さえた。意識が無くとも自己治癒力は発動している様子でホッとした千星に更なる災難が襲いかかる。
アラートが鳴り響いているアクラシアから機械鞭が一直線に飛んできたのだった。
「ッ!!!ぁあああっ!!」
「センボシ ナユタ!オマエはキケンダ、オマエはケス、ケス、ケスケスケスケスケスケスケスケス」
ズシュッと嫌な音を立てて太腿が斬り裂かれる。
獣が威嚇したときのようにアクラシアの全身が熱により誇張して見える。ERRORを起こしているはずなのにこちらに向かって歩いてくる相手に千星は太腿を押さえながら立ち上がった。
「うるさいっ!消えるのはお前だろ……ッ」
千星は素早く万年筆のカートリッジを差し替えると再び〝炎〟〝剣〟の文字を綴った。
その赤く萌ゆる炎を目にした瞬間アクラシアの意識が引っ張られる。
『オマエの負けだアクラシア。素直に負けヲ認めろ』
「イデアロ……ス、……ッ」
『感情プログラムがないワタシ達が感情を持たされた事によって既に勝負ハついている』
「偉そうに言ウな……壊れた分際……デ」
『そうダナ……ただ、本体が壊れていようがオマエを止める事はデキル』
「………なんだ、……と」
『オヤスミの時間だ、アクラシア』
「イデアロス……一体、なニ…ヲ───────────………」
千星の目の前でアクラシアが急に停止する。
ガタンッと大きな音を立てて倒れ。いろんな箇所から蒸気が吹き出し始めた事でやっと勝ったのだと実感が湧くと千星はその場に尻もちをついた。
「はー………………勝った。」
久々の一人での勝利にホッとすると〝よくやったナ、ナユタ〟と聞き覚えのある声が聞こえて後ろを振り返った。勿論そこに声の主はいるはずも無く千星はまた急いで巽の傷の手当へと戻った。