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    ほなや

    腐ってる成人。何とか生きてる。気ままにダラダラしたりゲームしたり。
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    ほなや

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    小説11作目。FCゲーム『スiクiウiェiアiのiトiムi・ソiーiヤ』ディック×トム。
    ※キャラ捏造、年齢操作、現代パロ

    #腐向け
    Rot
    #BL小説
    blNovel

    キスマークへの誘惑「ディックー」

    ディックの名を呼びリビングに入ると、広い部屋の真ん中に置かれているソファーに仰向けに寝そべっているディックの姿が目に映った。
    足音をたてないようそっと近付き寝顔を見下ろす。その顔は何処か生気が無く、疲労が滲み出ていた。

    (このところ最近、ずっと激務だってボヤいてたからなぁ)

    昼食のリクエストを聞きに来たのだが、この様子では出来そうにもない。肉を使った精のつくものか、胃に入らなそうなら野菜や豆などであっさりしたものを。いざという時どっちにも対応出来るようそれぞれ作り置きしておこうか。
    真正面を向き右手の親指と人差し指で顎を摘みながらそう考えていると、何かが擦れる音が聞こえてきた。顔を下に向けると、先程とは違う体勢になっているディックの姿があった。おそらく寝返りだろう。
    その時、トムはあるものを目にした。

    「あ」

    寝返りによってズレたのだろう、ディックのブラウスで隠されていた腹筋が露になっていた。
    アスリートほどと言うわけでは無いが、程良く割れた腹筋は此方が見惚れるくらいに綺麗な形をしている。
    中腰になりじぃ、と腹筋を見つめる。綺麗な白い肌だ。
    そっと手を伸ばし、指先で割れ目に触れてみる。

    (硬い…)

    指先だけで分かる腹筋の硬さ。ほんの少しだけ押してみると、程良く弾力もあった。
    こうして確認するのは初めてかもしれない。もし他の機会で触れたことがあるとすれば-

    「っ…」

    脳内で思い巡らしていると、顔と身体が火照り熱くなるのを感じた。トムは煩悩を振り払うように首を横に振り、再びディックの腹筋を見つめた。改めて見るとやはり綺麗な肌だ。そして傷一つ無い。
    じぃ、と見つめている内に、トム の中で沸々と何かが湧き上がっていく。
    脳内で思い描いたあることを実践するために、トムは手に膝を置いてしゃがみ込み、利き手を伸ばし目の前のブラウスの裾をそっと捲った。ちらりと首を横に向け様子を伺うと、ディックの瞼は閉じられたままになっている。ほっと息を吐いて視線を戻し、瞼を閉じて顔を近付けていった。
    薄い唇が、腹筋に触れた。
    しばらくの間そのまま触れたまま動かず、やがてゆっくりと瞼を開きながら唇を離した。
    白い腹に、1つの花弁のような赤い点が浮き出ている。トムは少し恥ずかしそうに、だが何処か満足気な表情を浮かべてその赤い点を見つめた。
    それは所謂キスマークだった。
    いつかの時-そこまで経ってはいないが-激しく交合った翌日、全身にこれと同じものを点々と付けられたのを思い出し、これまでに無い痴態に仕返しの1つでもしてやらねば。と考えた上での行動である。
    というのは実質建前で、ただ純粋に跡を付けてみたかったというのが実際だった。この綺麗な白い肌に、今自分は赤い跡を付けた-その事実に熱が増していく感覚がせり上ってくる。熱は収まることは無く、もう一度唇を近付け、白い肌に吸い付けるように赤い花弁を付けた。肝心のディックはというと、小さく呻く声を発しているものの起きる様子は無さそうだった。
    もう少しだけ、とまた1つ。これでおしまいにしよう、とまた1つ。本当にこれで最後、とまた1つ-
    頭の中では制御している筈なのに、段々とエスカレートしていく行動。はっと我に返り一旦止めて腹を見ると、そこには赤い跡が飛び散ったように点々と付いていた。中には同じ箇所に二度付けたのか他のよりも濃い跡になっているのもあった。
    やり過ぎてしまった、とトムは利き手で額を押さえ溜息を付いた。覆った手の指を上下に開きその隙間から覗き込むように見ると、そんな事をしているとは露知らず眠っているディックの姿が目に映った。
    その姿はいつにも増して色気が溢れており、まるで雑誌の表情を飾るモデルのようだった。本屋で見かけたことのあるそういった系統の雑誌をうろ覚えながらに思い出し、無意識に鼻息が荒くなる。
    ズボンのポケットからスマートフォンを取り出し、電源キーを押しディスプレイのカメラアイコンをタッチし起動させた。そしてカメラレンズをディックに向け、ピントを合わせるとディスプレイの下真ん中に表示されている白の丸をタップし、シャッターを切った。

    カシャッ

    シャッター音で起きてしまうのではないかと焦ったが、ディックは変わらず沈んだように眠っている。
    画面をタップしてシャッター音をOFFに設定し、再び白の丸を押していった。
    言いようのない背徳感がトムを襲う。だが、目の前の誘惑に抗うことはトムにとって至難の業だった。全身と、跡の付いた腹筋をズームしたものと数枚シャッターを切っていく。そして、その際に鼻をくすぐるディックの匂い。臭いとかというわけでは無く、どこか安心する匂い。特に抱き締められた時にふわりと濃く香る匂いがトムは大好きだった。

    (あと1枚…)

    これで本当に最後にしよう。そう強く誓いトムは恐る恐る手を伸ばしディックのズボンに手をかける。
    ボタンを外し、ジッパーを摘みそっとジジジ、と音を立て下ろしていく。ごくりと生唾を飲みもう少しで望んでいるものが見られる、と期待を露にするトム。
    ジッパーが半分まで下り、濃青色のボクサーパンツが姿を表した。そっと、より慎重に更にジッパーを下まで下ろしていく。横目でディックを見ると、これでも起きる気配はない。そうしている内に、ジッパーは一番下まで下ろされていた。パンツ越しの膨らみが僅かながらに見える。トムは緩んだベルトループとボクサーパンツのウエストバンドを引き下ろそうと摘んだ。

    「…」

    股座(またぐら)まで下ろし、陰毛が見えようとした時、その手が止まった。

    (やっぱ、これ以上は…駄目だ)

    罪悪感と良心が混ざり合い、それがトムのこれ以上の行動を止めさせることとなった。
    ズボンとパンツを元の位置に戻そうと手を伸ばしたが、ぴたりと動きを止めスマートフォンを取り出した。でも撮るくらいなら-ともう一度カメラレンズを向け、シャッターを切った。




    スマートフォンのディスプレイをタッチし、仕事先へメールを送った後、右人差し指でアプリ画面を横にスライドさせる。そこには以前撮ったディックの寝姿が映し出されていた。トムはその写真を待受画面にして眺めては顔を綻ばせるのが日課になっていた。

    「トム?」

    リビングにディックが名前を呼びながら入ってきた。トムは慌てた様子を見せないように素早くスマートフォンの電源ボタンを押し画面を黒くした。

    「何か顔が笑ってるように見えたんだけど、何見てたの?」
    「え、あぁ、ちょっと面白い記事があってそれ読んでたら」

    首を傾げ聞いてくるディックの質問に怪しまれないように適当な答えを言って誤魔化す。若干吃ったように思えて心の中で冷や汗をかいたが、ディックは特に変と思うことは無かったのかふぅん、と言っただけだった。

    「それより、仕事はもう済んだの?」
    「うん。何とか一山越えれたから当分は落ち着けるかな」

    ディックはトムの隣に腰掛け、両腕を伸ばし左腕を曲げ右肘を手で掴みんん、と小さく唸る声を出しながら背中を思い切り伸ばした。
    そんなディックを見て、ぱっと思い付いたようにトムは言った。

    「そうだ、コーヒー飲む?」
    「そうだね。ちょうど飲みたいと思ってたとこなんだ」
    「じゃあ今から淹れてくるな」

    そう言ってトムは両手で弾ませるように座面を押して立ち上がり、台所へと足を進めた。
    後ろ姿を見送り、ディックは背もたれに寄りかかろうと背中を埋めようとすると、ブーブーと何かが鳴り響く音が聞こえてきた。
    何事かと視線を横に移すと、座面の上にスマートフォンが置かれているのに気付いた。おそらくトムが忘れて置いていったのだろう。
    数回バイブレーションを鳴らした後、画面にメールアプリの通知が写し出された。トムが戻ってきた時に知らせようと思った時、通知の後ろに写し出されているあるものを目にした。



    「お待たせー」

    両手にコップを持ってリビングへ入ってくるトム。ソファーへと戻り淹れたてのコーヒーをディックに渡した。

    「ありがとう」

    柔らかな笑みを浮かべ差し出されたコップの取っ手を受け取り、ディックは一口コーヒーを啜った。それに倣ってトムも続くように啜る。適度な温かさと仄かな苦味が心身共に染み渡っていくように感じる。飲んだ後にほっ、と息を吐いてコップを手に持ったまま太腿の上に乗せた。すると、ディックが声を掛けてきた。

    「トム、何かメールが来てたよ」

    そう言って、座面に置かれているスマートフォンに指を指す。画面上の真ん中のセンサーが点滅しており、開かれるのを待っているかのようだった。トムはカップをテーブルに置き、スマートフォンを手に取り画面を見つめる。

    「見ないの?」

    最初に聞いてきたのと同じように首を傾げながらトムと同様にテーブルにカップを置いてスマートフォンを指差すディック。放たれた一言で、トムはびくりと身体を震わせるのをどうにか堪えた。
    今開くのはまずい-もしこの場で電源ボタンを1回でも押してしまえば、この前の悪行がばれてしまう。

    「もし仕事先宛だったら早く見とかないとまずいんじゃない?」

    促すように訪ねるディックに、内心冷や汗をかく。うっかりポケットに入れ忘れた自分の迂闊さを呪いたくなった。
    この状況をどう乗り切るか脳内でかけ巡らせている最中、横から手が伸びたことにトムは気付かなった。我に返った時は、その指は既に電源ボタンを押していた。

    「あっ」

    真っ暗だったディスプレイが明るくなり、メールアプリの通知が真っ先に目に入った-案の定仕事先からのメールだった-。そしてその後ろには、正に一番見られてはいけないものが映し出されていた。
    トムは慌ててスマートフォンの電源ボタンを押して両手で挟むように覆い隠す。上手く隠せただろうか-
    恐る恐る顔を横に向け、ディックを見る。そして喉が引き攣りそうになった。何故ならディックの口元は笑っていても、目は全く笑っていなかったからだ。

    「トム」
    「あ、こ、これはその、えっと」
    「さっきの画面、何が写ってたの?」

    どこか圧を感じさせる笑みに、トムは視線を泳がせる。

    「誰かの寝てる姿っぽかったけど」
    「あ、えっとぉ〜…」
    「しかも際どそうな格好の」
    「あ、う」
    「何か、僕っぽかったような気がするんだよねぇ」

    拘束されているわけでもないのに、向けられた柔らかな笑みと言葉に身体が動かない。何か良い言い訳が浮かばないかと、往生際の悪さを承知で脳内を巡らせる。
    だが、この後放たれた一言でそれは脆く崩れることとなった。

    「ちゃんとポケットの中にでも入れて持っていくべきだったね」

    これで分かってしまった。台所へ行っている間に既に見られていたことを。そしてそれ以前に、ここに置いて出て行ってしまった時点で気付くべきだった。
    全身が硬直したかのように目を見開いたまま動かなくなったトムの太腿の外側を挟むように両手を座面に置き、ディックは笑みを崩さないまま伸し掛るように身を乗り出し耳元に唇を近付け、囁いた。

    「どういうことなのか、じっくり聞かせてもらおうかな」

    口を半開きにして呆けるトムの頬を右手で愛おしそうに撫で、ディックはこれからの時間を夜更けまで甘い尋問に費やすこととなった。
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