【曦澄】クリスマスまで五日【腐向け】「……勿論、藍家だよ」
握っていた手を、子供のように大きく振り回して歩き出す。
それがどこかぎこちないのは、藍曦臣は子供の頃にこういうことをした事がなかったのだろう。
姉と義兄が、江晩吟を挟んで似たように歩いてくれた事がある。
その後ろを、友人が静かに追いかけていた。
江晩吟が帰りたい場所は、あの頃だ。
それを、藍曦臣も察していた。
江晩吟は、寂しがり屋だ。苛烈な性格に隠された優しさと寂しがり屋な青年だ。
本当は江家に帰したほうがいいと解っていたけれど、
家出のように出てきてくれた事を裏切るような事はしたくない
「……迷惑じゃないのか?」
「迷惑じゃないよ」
「本当に?帰っていいのか?」
寒さからなのだろう、ズビッと鼻を啜る音がして横目で見る。
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