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    ねりアメ

    @neririame

    主に三次創作を載せさせて頂く予定デス

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    ねりアメ

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    「ワレモノ注意」
    陛下ちゃんが○○のネジを抜いた話

    三笠山さんのDバ三次創作
    捏造オンパレード注意 メイン🐤・📺

    シリアスにならないよう頑張ったけど一部注意





    ここはDDDバース、森の中。
    あらゆる時間と空間に通じるエレベーター前。


    今日もいつも通りのこの場所で、
    ⚒️は大きな幹に背を預け
    たくさんのひみつ道具を広げていた。

    …そのうちいくつかは、少し壊れている。

    ひとつひとつ手に取って動作確認をしていると、
    いつものように🐤が駆けてくる音がした。


    「あっ居たスマデちゃん!!あれ…何してるデ?
    …道具の整理と整備?へ〜色々あるんだな……コレとかどうやって使うデ……いや今はそれどころじゃなかったデ!!!えっと…あの………また陛下ちゃんに追われてるんだデ、何言っても聞く耳持ってくれないんだデ!!!」


    それを聞いた⚒️は無駄の無い所作で立ち上がり、いくつか使える銃火器類を拾い上げ懐にしまいながら歩き出した。彼に声があったなら「またいつもの事かい」とこぼしたに違いない。🐤もその後を大人しくついて行った。今日はどこかバツが悪そうだ。


    2人が居なくなったその場所には、いくつかひみつ道具が残されたまま。…そしてそこに📺が、すぐさま入れ違いで別の道からやって来た。


    「どこ行ったぞいっっ!!!……って…何ぞいこの散らかっとるのは。この辺りは…いつもヤツが見張っとる場所かぞい……ん?」


    辺りに散らばるモノを見渡した📺は
    足元に落ちていた「道具」にふと目を向ける。

    「……………」

    無言で拾い上げた。










    数分後


    「…………」
    (しばらく歩いたあと少し立ち止まり、
    今度は何を?という顔で🐤を見る⚒️)

    「う…うん、実はオレさまうっかり陛下ちゃんの……」

    「オイ、待つぞい」

    どこか面倒くさそうな表情の📺が
    2人の背後からのそりと現れた。

    「っっ追いつかれちゃったデ!!!
    スマデちゃん早く早く陛下ちゃんを落ち着かせて!!!」

    「……、………?」
    (何か取り出そうとしたが、
    📺の顔をまじまじと見て手を止めた)

    「…あれ、スマデちゃん?」

    「僕ちゃん聞いとるのかぞい」

    「ハッハイ!!何だデ?!!」

    「もう気にしてないぞい」

    「……え?」

    「別にもうどうでもいいぞい」

    「……え、え??」

    「だからもうこの話はおわり。とっとと帰るぞい」

    「えぇ…!?へぇえ…!?さ、さっきまであんなに怒ってたデ……!?」


    📺はびっくりして固まっている🐤にツカツカと歩み寄ると、首根っこを掴んで引きずり出した。

    「うわっ、うわっ…ちょっ…」

    「ったく本当に手のかかるヤツぞい」ズリズリズリ

    「さっきと言ってるコト違いすぎだデ…って、助けてスマデちゃぁーーん!!!!」ズリズリズリズリ

    「…………」


    ⚒️はそのやりとりをぽかんと立ち尽くして
    見ていたが、二人が行ってしまったのを見ると
    辺りをキョロキョロ見渡して歩き出した。



    🐤を引きずる📺の、王冠の中央部分が赤い。









    そのまま時刻と場所は移り、
    大王たちが暮らす家。




    玄関を開けた📺は到着するなり
    🐤をペイっと投げ入れた。

    リビングで揉めて家を飛び出した二人を
    初めから見ていた🍙と🏰が出迎える。

    「おぉ、一緒に戻ってきたのか?おかえり、僕ちゃん」

    「…た…ただいまだデ……」

    「陛下ちゃんもおかえり……おっと」

    🏰が声をかけようとしたが、📺はその辺に置きっぱなしだったスマホを拾うと足を止めないまま自室に篭ってしまった。

    「…まだご機嫌ナナメの様だな」

    「アイツ兄さんの声掛けをスルーしやがって…」


    「おかえりじゃい。…その様子を見るにまだ仲直りは出来ておらんようじゃな。一応飛び散った欠片は全部見つけておいたじゃい」

    リビングのちゃぶ台の上では✋が、欠けた「陛下」の湯呑みとその破片の隣で座っていた。




    少し前。
    スマホを片手に寛いでいた📺、散歩から帰ってきた🍙と🏰が居るリビングに、部屋で遊んでいた🐤と✋が駆け寄ってきた。

    そして🐤がはしゃいだ弾みで机に足をひっかけ、空になったばかりの「陛下」の湯呑みがバランスを崩して転がり、そのまま床に落ちてしまった。落ち方も当たり所も悪かったらしく、嫌な音と共に飲み口が欠けてしまったのだ。

    粉々にはならず欠けたのも一部だったが、目の前でそれを見た📺が…ものすごくキレたのだ。🐤も流石に咄嗟に謝ったが聞く耳を持たず、烈火のような圧に怯えて逃げ出した🐤を📺が追いかけて、両者は家を飛び出した。
    そのまま冒頭に繋がる。


    欠けたのは小さな一片だったが、ワレモノは
    欠けてしまう前の状態に戻す事は出来ない。


    「もうどうでも良いなんて言ってたけど…初めあんなに怒ってたんだからきっとすっごく落ち込んでるデ…」

    「は?陛下ちゃんそんなふうに言ったのか?…どうでも良いって??」

    「うん……もう気にしてないって」

    「アレは気にしてない奴の態度じゃねェだろ…」

    「割れちゃったものは仕方ないじゃい。新しいのを一緒に選んでやるじゃい」

    「うん…でも……このままコレを捨てちゃうの、嫌だデ……」

    「…僕ちゃん。それならとっておきの案があるぞ」

    「「「え?」」」

    「『金継ぎ』と言うんだが」


    🏰が話したのは、欠けてしまった食器を再び使えるように修復するという古き良き伝統の技術。道具と材料を揃えれば初心者でもやれるぞ、と話す。


    「大きな欠片も全部揃っているようだし、上手くやれば多少の隙間も全部埋められるはずだ」

    「へぇえ、それいいデ!直せるんならきちんと直してあげたいデ!!」

    「よし!ならさっそく調べよう。まずはいろいろ揃えなければな。ただ、工程の中には数日乾かしたりするのもあるから完成までに結構時間がかかってしまうはずだ。それまでに陛下ちゃんが新しく取り寄せてしまうかもしれないし、何日も内緒で作業するのも難しいだろう。やるなら早く伝えに行った方がいいぞ」

    「うん、わかったデ!!さっそくオレさま行ってくる!!」

    「じゃあ、そのついでにもう1回ちゃんと謝るべきじゃい。今度はわがはいも一緒についててやるじゃい」

    「…う、うん……!」

    「………また陛下ちゃんが理不尽な怒り方したら僕ちゃんが気の毒だし…オレもついて行ってやるよ」

    「だ、旦那ぁ…ありがとうだデ…!」

    「あまり大人数で押しかけるのも良くないな。ワシはここに残ってこのまま必要な物を調べておくよ」

    「わかった、頼んだデおじさん!!」

    「仲直りできるといいな!」



    🏰がリビングに残り、3人を見送った。






    部屋のドアの前に立ち、遠慮がちにノックをしたが、すぐには返事は帰って来なかった。

    「…うぅ、どうするデ?」

    「う〜〜む…中にいるのは解っとるんじゃが…」


    🐤と✋がどうしよう…と顔を見合わせていると。


    「だァーーーーオラァーーーっっっ!!!」

    業を煮やした🍙が返事を待たずにドアを蹴破って無理やりドアを開けた。かかっていたカギは理不尽にも粉々になった。

    「おう聞けや陛下ちゃんコラァ!!」

    「わーーーっっなんてことするデ旦那!!?」

    「なんでカチコミみたいなことしたじゃい?!」

    「うるせェ知るか!!いくらヘソ曲げたからって、返事もしねェワガママは何度も許されねぇぞ陛下ちゃん!!」

    そうビシッと言い切った🍙は
    中にいた📺の正面に向かい立った。



    「……ギャアギャアやかましいぞい。
    揃ってわざわざ何の用ぞい」


    部屋の中央、少し不自然な場所で立っている📺が、至って普通を装って返事をした。


    窓が少し空いている。





    ベッドの端に座った📺に向かい合う形で🐤と✋が並び、その斜め後ろに🍙が立っている。


    さっき決めたばかりの事を🐤が頑張って伝え、適度✋や🍙がフォローを入れる。📺は黙って聞いている。


    色々説明したあと、最後の締めくくりとして
    🐤は心からの謝罪の気持ちを伝えた。


    「……ごめんなさいだテ、陛下ちゃん。次から気をつけるし、あの湯呑みもぜったいまた使えるようにして返すから…ちょっとだけ待ってて欲しいデ」



    そう言い終えた、一生懸命な🐤の言葉に対し、

    📺は口をひらいてこう言った。




    「…話はさっき終わったはずぞい、何度も言わせるな。もう気にしてないと言ったぞい。そんな面倒なこと、わざわざしなくていいから…

    さっさと捨てとけぞい、“あんなもの”」


    本当に興味無さそうに。
    目線は取り出したスマホに向けられ。
    軽く軽く言い放った。



    ここでしばらく暮らすと決めたとき、
    みんなお揃いで用意した湯呑み。

    仲間が増える度に増やしていって。
    使わない時はキレイに並べて。

    みんな大事に使ってた。

    …それは陛下ちゃんも同じだったはずだ。


    それを、いま、
    “あんなもの”と言ったのか?




    あっ…うん…と目に見えて落胆する🐤を横目に、話はそれだけかぞい?と言いながら立ち上がって部屋を出ようとした📺のガウンを、🍙が掴んで引き止めた。📺も振り返って🍙の方を見る。


    「…おい待てよ」

    「何ぞい」

    「…っ、オマエ急に一体どうしちまったんだよ!!!なんでそんなに……!!」


    とその時

    バァァン!!!とドデカい音をたててドアが吹き飛んだかと思うとハンマーを抱えた⚒️がズカズカ突入してきた。先程🍙が蹴破った弾みでただでさえ緩んでいたドアは今度こそ粉々になった。…ドアだけでなく部屋に漂う雰囲気も吹っ飛ばすかのような勢いだ。

    「ウワーーっっ何だ何だ!!??」

    「うぉおおおおおなんじゃい何事じゃい!?」

    入口に背を向けていた📺以外は突然の来訪者に驚き目を丸くした。🍙もガウンを掴んでいた手を思わず放す。


    「スマデちゃん!?何だデ!?敵襲も無いし火も焚いてないデ!?」

    「……今度は何ぞい、さっきからずっと騒がし…」


    そう言いつつ📺が後ろを振り返り、
    正面から⚒️を見たその時。


    ⚒️は📺のアタマに向けて、
    構えていたハンマーを力の限り振り降ろした。


    バゴォーンッ!!!!! 『カチッ』


    かなり撃墜力が高そうな横スマ…いや、かなりの衝撃と破壊力に、その場にいたものは思わず一瞬目を覆ってしまったが、すぐさまその目を開けた時…予想外の光景に呆然とした。


    アタマをカチ割られたはずの📺は
    その場から姿を消していた。

    そしてハンマーを下げた⚒️の足元に、
    小さな「人形」が落ちていた。

    その「人形」はつんつるてんののっぺらぼうだが、真っ赤なボタンがひとつだけついている。

    …その頭部はバキバキにひび割れていた。


    「…んなっ……え?え?何だよコレ?
    いま何が起きたんだよ……!?」

    「へ…陛下ちゃんが消えたじゃい??」

    「あれ、ソレ確かスマデちゃんの…」


    「…………」
    ハンマーを下ろした⚒️は
    床に転がった人形をしゃがんで拾い上げると
    懐にしまい込んだ。

    「それさっき森で見たデ!やっぱりスマデちゃんの道具だったのか」

    「………」(頷く)

    「じゃ、じゃあ、さっきまでここに居たのは…
    陛下ちゃんのニセモノだった…って事か?」

    (🍙の問いに再び頷く⚒️)

    「な…なんじゃい…相変わらずスマデちゃんの持ち物は不思議じゃい…」

    「え、じゃあ本物の陛下ちゃんはどこにいるんだデ!?」

    「…………」
    (すっ…と部屋の奥を指差す)

    「「「ん?」」」


    3人の視線が一斉に指の差す方へと向いた。

    …窓が少し開いている。


    🐤がトタトタと走り寄って勢いよく窓を全開に開き、そこから身を乗り出して見回すと、

    家の壁に背を預けながら地面に座り、こちらを横目で見ながら焦った様子の📺がそこにいた。何故かハンマーを握りしめている。

    「あっ!!いた!!」

    「……………な…何ぞい」


    ✋と🍙も窓から身を乗り出して話しかける。



    「陛下ちゃん?!何でそんなとこいるじゃい?!」

    「…本当はもっと早く…ゲフン、あー…たまたまサルマネ人形を拾ったから、キサマらの反応でも眺めて笑ってやろうとしただけだぞい!!」

    「いやいや嘘つけよ、ちっとも面白くなさそうな顔してんぞ」

    「もしかしてオレさまたちの話、そこで全部聞いてたデ?」

    「……………」

    「…それにしてもさっきのニセモノ。見た目は確かに陛下ちゃんそのものじゃったけど、今思うと中身は全然似てなかったじゃい」

    「うん、いつもと違いすぎて正直オレさまめちゃめちゃビビっちゃったデ」

    「いやマジで何事かと思ったぜ…オレ、ニセモン相手に真面目にキレるとこだったじゃねーか…」

    「…フンッ!!ワシだってまさかこんな事になるとは思ってなかったぞい!!」

    「陛下ちゃんが差し向けたんだろーが!!?」

    「まぁまぁまぁ、もういいじゃろ。陛下ちゃんも一旦ウチに入ってくるじゃい。そろそろメシの時間じゃい」

    「…言われなくてもそのつもりぞいっ」

    そう言いつつ立ち上がると
    📺は玄関の方へ向かっていった。


    …3人が窓越しに📺と話している間に、
    ⚒️も部屋から出ていた。


    (ちなみに入ってきた時は⚒️がいきなりハンマーを担いで玄関から入ってきてリビングを突っ切って行ったので🏰が死ぬほどビビっていた)



    ⚒️が玄関から外に出ると、ちょうど入ろうとしていた📺と鉢合わせ、向かい合う形で立ち止まった。


    「むっ……」

    「…………」


    すると⚒️はおもむろに、
    手袋をした右手をゲンコツにして振り上げると、
    📺の頭を軽〜く叩いた。

    ポコッ


    「いたっ、急に何する……う、うむむ…」

    「……………」


    真っ直ぐ無表情でこちらを見る視線の圧に
    思い当たる節がありすぎて目をそらす。

    …彼が声を出すことができたなら、
    いまなんと言ってくれるのだろうか。


    「…だーーーっわかったわかった、こんなこともうしない二度とせんぞい!!!…これでいいのかぞい!?」

    「…………」

    ⚒️はそれを聞くと、
    今度は懐から先程の割れた「人形」を取り出して片手に持ち、ソレを指差したあと手のひらを出した。

    「はぁ?今度は何ぞい……………あ」

    📺は始めその意図が解らなかったが、
    ひとつ思い当たってポケットをごそごそと探る。

    …そして小さな「ネジ」をひとつ取り出すと、
    ソレと⚒️を交互に見やった後
    差し出された手のひらに雑に置いた。


    「“こんなもの”ワシが持ってるだなんてキサマよく見抜いたぞい……ホラ返したぞい、今度こそ充分かぞい?」

    「…………」(コクリ)


    小さく頷いた⚒️は歩き出し、
    振り返らず今度こそ森へと帰っていった。

    …その背中を見送りながら、📺はひとり呟く。



    「…………………借りはそのうち返す…ぞい」



    …もしも彼が来てくれなかったら。
    何もかも吹き飛ばしてくれなかったら。

    さっきの状況を自分で打開するなんてできなかっただろう。まさかこんな事にまでなるなんて、思ってもみなかったから。








    (あの時、エレベーター前で)



    辺りに散らばるモノを見渡した📺は
    足元に落ちていた「コピーロボット」に
    ふと目を向ける。

    「……………」

    無言で拾い上げた。



    のっぺらぼうな「人形」のようなそれは
    何かの弾みで破損したらしく、
    赤いボタンの付いた頭部にひび割れがあり
    内部の基盤が少し見えていた。


    どこかで聞いたことがある。
    これはボタンを押した者の記憶や性格を引き継いで一寸の狂いもない完璧なコピーを作る道具。

    オリジナルの指示には従うように出来ているが、あくまでオリジナルの模倣なので知能や言動、取れる行動には限界がある。

    元に戻す時はオリジナルと異なる赤い箇所、
    スイッチ部分を押せば「人形」に戻る。


    どこかが動作不良を起こしていると、オリジナルと少し違うコピーができあがる。言動が違ったり考え方が違ったり、故障具合によってエラーは様々だ。精巧であればそのぶん繊細でもある。バネひとつ飛んだだけでもどこかに必ず不具合が出るだろう。


    誰も語ることが無いのでこれは知る由も無いが、この人形や他の道具が破損していた理由は、⚒️が「何者か」を退ける際に使っていたからである。



    この「人形」の割れた頭部、
    一部むき出しになっていた基盤をよく見ると
    「ネジ」が1本飛び出していた。

    「……………」

    ふと思いついた。試しに。
    どうなるのか。だって思いついたから。

    おもむろにその「ネジ」に指を伸ばし、
    力任せに半ば無理やり回して抜き取って…

    そのままボタンを押してみた。

    …『カチッ』


    少し割れていても道具としての機能はまだ無事だったようだ。あっという間に本物と寸分違わないコピーが目の前にできあがった。

    頭に被った王冠の中央が赤くなっているが
    この道具の性質上、持ち主でもなければ
    見た目で見極めることはできないだろう。


    「……ん?何ぞいキサマ」

    「ワシの代わりに僕ちゃんを追いかけに行けぞい!!」

    「はぁ!?なんでわざわざワシが」

    「やかましい!!いいからとっとと行って、
    ……………な、な…仲直りしてくるぞい」

    「ワシから逃げたのはあっちぞい。ったくキサマも大袈裟ぞい。“あんなもの”コワれただけで」

    「……………」

    「ったく仕方ないぞい、とっとと僕ちゃん見つけて、さっさとこの話を終わらすぞい。それで仲直り。ぜんぶ元通りぞい」


    そう言って渋々歩き出したコピー。ぶつぶつ言いながらも🐤の元へ向かったようだ。コピーの独り言が聞こえなくなるまで呆然と立ち尽くしていたが、ふと我に返ると握ったままだった「ネジ」をポケットに突っ込み、後を追いかけた。



    …ついカッとなって言いすぎた自覚はあった。
    だから、……代わりに謝ってもらおうとして。

    けれどそのまま自分のコピーを作ったところで何も変わらなさそうなので…試しに「ネジ」を1本抜いてみたのだ。

    してその結果は。

    見た目は全く同じでも中身はだいぶ違いそうなコピーが出来たのは、間違いなさそうだったが。


    『“あんなもの”コワれただけで』


    …「人形」とはいえ頭部(アタマ)の「ネジ」を
    抜いたのは流石にやり過ぎだったかもしれない。


    「…“こんなもの”抜くんじゃなかったぞい」




    やはり止めるべきか…そう思った時には、
    コピーは既に🐤に追いついていた。






    (場面は戻り、玄関)



    玄関に入ってきた📺を、
    駆け寄ってきた🐤が出迎えた。


    「いま外でスマデちゃんと何か話してたデ?」

    「…フン、別に大したことじゃないぞい。
     ……あー、その……僕ちゃん」

    「?」

    「………こちら、こそ……・・・・・・・ったぞい」

    「え?」

    「何でもないぞい!!!
    そんな事よりさっきの話ぞい、…僕ちゃんがそんなにやりたいって言うんなら好きにするぞい」

    「…あっ!うん!任せて、おれさまめっちゃ頑張るデ!!…ありがとうだデ陛下ちゃん」

    「ばっ、勘違いするなぞい!新しいの注文するのが面倒くさいから仕方なく待ってやるだけぞい、あんまり長いこと待たせたらタダじゃおかないぞい!!!」

    そう言いつつ🐤を置いて普段よりかなり早足でキッチンへと向かっていった。
    中では既に📺のクソデカ大声が響いている。


    「今帰ったぞい!!
    腹が減ったからとっととメシ出すぞい!!」

    「はいはいお帰りなさいもうすぐ…ってアレ?
    さっきお部屋にいらっしゃったような…」

    「やかましい、ワシが帰ったって言ったら
    帰ってきたんだぞい!!!」

    「あ〜ハイハイわかりましたでゲス…あっ、
    つまみ食いはダメでゲス!!ってかそもそも外から帰って来たんなら手ェ洗ったでゲスか!!?」

    「これからやろうとしてたところぞい、あ〜あやる気無くしたぞい」

    「それじゃ意味無いでしょうが!!!」




    ひとり残された🐤。

    「……えへへ。うん、いいデ」



    “言いすぎてわるかったぞい”



    本当はちゃんと聞こえていたので、📺の後に続き、嬉しそうな足取りでキッチンへ向かったのだった。










    抜いただけなら元に戻せる「ネジ」と違って、
    ワレモノは元の状態には戻らないけど。

    その割れ目を誰かが丁寧に埋めてやれば、
    前よりも素敵な物になる…かもしれない。





    「ワレモノ注意」

    陛下ちゃんが人形のネジを抜いた話

    おわり



    以下おまけ







    その1
    その日の夜



    「金継ぎを?ほぉ〜…陛下ちゃんの湯呑みをねぇ。結構なことやないか。材料はどこで揃えるんや?」

    「おじさんが、セットになってるヤツを選んで明日注文してくれるって言ってたデ」

    「セット?…それってもしかしてお手軽初心者キット、とかそういうやつちゃうか?」

    「さぁ?」

    「あー、別にそれを悪く言うつもりはないねん。せやけどどうせやるんなら、合成樹脂やのうて上等な生漆(きうるし)でも取り寄せようや。それに仕上げの金粉も拘らなアカン。色だけ金に似せた金属粉と比べりゃ仕上がりの輝きが段違いやで。
    Amaz○nは分かりやすいし届くのも早くてエエけど…わがはいの知っとるスジなら、本来ネットじゃ売ってへんようなええトコのモンでも即日取り寄せられる。…ぼんはどうしたい?」

    「それならオレさまもそっちがいい!!たしかにやるなら良いものでやりたいデ!!」

    「お〜そうか。なら早速大将に伝えてきぃや」

    「ハーイ!!」バタバタ…バタンッ


    「…ほんまはだいぶ高くつくけど。今回だけはそのやる気と熱意に免じて黙っといたるわ」




    お揃いの湯呑みを大切にしたい気持ちを
    ちゃんと尊重したい🍡







    その2
    あれから数日後



    「…なぁ旦那。この間スマデが家に来てたっていう日。そのとき陛下ちゃん、ずっと外にいただろ」

    「あ?確かにいたけど…あん時のことワンちゃん見てたのか?」

    「あぁ、少し離れたとこからな。
    陛下ちゃんと僕ちゃんが帰って来た後、陛下ちゃんがもう1人帰ってきて。そっちの陛下ちゃんは玄関に行かずに窓から中を覗いたりなんかコソコソしてた。一回、窓から入ろうとしてたけどなんか慌てて隠れてからはずっと外から覗いてた。覗いてる間もあたふたしたり頭抱えたりしてたな」

    「……あー…まさか…部屋にいる間にこっそり入れ替わろうとして、オレが突撃したから間に合わなかったんだろうな……ってかワンちゃんはその状況に疑問のひとつも持たなかったのかよ」

    「…そうこうしてたら、森の方からスマデがハンマー担いでズンズン歩いてきててよ。家の前まで来た時、外にいる陛下ちゃんの方に気づいてちょっと立ち止まってから、直ぐに玄関から入ってったんだ。…ちなみに陛下ちゃん、僕ちゃんたちが窓を中から開ける直前、窓をハンマーでカチ割ろうとしてたぞ」

    「……ヘぇ、そんな事が…………ところでワンちゃん、気を逸らそうったって無駄だぜ。いいから諦めろ。逃げんな。ホラ行くぞ。風呂」

    「……………わう」




    色々見てた🍖と色々聞いた🍙




    今度こそおわり
     
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