付けるカ所で意味変わるなんて知らない「見て見ておにーちゃん」
可愛くない!?と見せられたのは細長い色鮮やかな紐だった
「え、何だそれ…髪紐?」
「ミ サ ン ガ!!」
ちゃんと見てよ!と渡された髪ゴムもといミサンガは、水色を基調とし、薄緑とオレンジが控えめに主張をしていた
葵が通う高校で流行っていて、友人たちと編んだらしい
「こんな細いの編むなんて器用だな…」
「でっしょー!」
ふふんっと得意げに胸を張る葵に半笑になってしまうが十分高校生活を満喫している様子に安心する
「で、それお兄ちゃんの分だからあげる」
「えぇ?いや、お前がつけろよ」
「私はこっちがあるもーん!」
じゃーん!ともう一組ミサンガを取り出す
葵が新たに取り出したのは、薄緑が基調の水色とオレンジ柄だった
「私はこれ付けるからソレ、ちゃんと付けてよ」
「えええ…」
無くしたら許さないからね!そう釘を刺し自室に戻っていった葵にならい旬も自室に戻り、さてどうするかと手にしたミサンガを一瞥する
「ミサンガか…」
身につけ、自然に切れると願いが成熟する
たしかそんな願掛だったはずだ
(俺は何を願う…?)
平穏な暮らし?母親の回復?行方不明の父親の帰還?
色々と浮かぶがどれも夢物語過ぎて鼻で嗤ってしまう
願った所でどれも叶わないのは疾うの昔に思い知っている
それでも旬の為にと編んでくれた物だ、叶おうが叶わかろうがそんなのは関係無い
このまま自室に飾っておきたいのだが、あぁ釘を刺されては付けるほか無い
ハンター故に刃物を振り回すため無くすリスクはとてつもなく高いので別の意味で頭を悩ませる
結局無難な場所として左足に解れないようにしっかりと結ぶ
家族の元に帰ってくる…そんな願いをかけて
「…お兄ちゃん左足にミサンガの意味しってる?」
「…え?」