冷たい花大規模侵攻で、通信室のオペレーターが6人亡くなった。
さほど親しかったわけでもないが、みんな顔見知りだった。
喪服は持ってなかったけど、オペレーターの制服でよいとのことだった。葬儀用のバッグや数珠は母親に借りた。借りる時に、
「あなたは大丈夫なの」
と聞かれた。
『大丈夫』と言うのも、『心配かけてごめん』と言うのも違う気がしたから、
「これでも役に立ってるんだよ」
と言った。答えになっていない気もしたけど、それでも一応、納得してくれたようだった。
追悼式はボーダー内でひっそりと行われた。
外部でやるとメディアの人たちが来てしまうので、ご家族をお迎えに伺って、ボーダー本部までご足労いただいたそうだ。
ご家族の皆さんは悲しみが溢れ出さないようにするので精一杯で、周りを見る余裕などなさそうだった。基地で働くということで、危険が伴うことはあらかじめ説明されていたし、そういう契約をしていた。もちろん危険手当もついていた。でも、本部基地で前線に立たない職員が、こんな風に危険にさらされ、命を奪われるなんて、それこそ想定外だったろう。
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