換装してるか、してないか!〜コロ編〜早朝散歩を始めてから、おれは早く起きられるようになった。
起きて待ち合わせ場所に行かないと、嵐山が支部まで迎えにくるからだ。
朝食の仕込みや早朝トレーニングしてるレイジさん以外、だいたいみんな寝てるっていうのに、遠慮なくやってきておれを起こしにかかる。
レイジさんも止めようとしない。むしろ温かい目で見られる。
一度で懲りた。いつものことだが、この支部にはおれの味方がいない。
でも、タイミングの悪い時もある。散歩の前の日は早く寝るようにしてるけど、予定外の任務が入るとどうしても睡眠不足になる。ある時、どうにも体が辛かったので換装して待ち合わせ場所に行ったらと、コロの態度がおかしい。
「おーい、コロ、コロー?」
いつも体全体で会えた喜びを表現してくれるのに、困惑した顔でおれと嵐山を交互に見上げている。
「お前、換装してるだろ。換装解けよ」
ちょっと体しんどいけど、コロが困っているのだから仕方がない。換装を解くと、
やっぱりじんくんだった!やったー!うれしい!
とばかりに飛びつかれて、舐めまわされた。
「コロ〜、ごめんな、びっくりさせて」
軽く抱きしめる。あったかい。眠気がふわりと立ち上り、まぶたが下がる。
「あー……コロあったかい……」
布団を彷彿させる温もりだ。
「おーい、寝るなよ?」
おれがふらふらになってしまったので、散歩をやめ、嵐山とコロが玉狛支部まで送ってくれた。
ちょうど外に出てきた陽太郎が、コロと話をして、どんなに驚いたか教えてくれたらしい。
「じん、かんそうしないでさんぽしろ。コロがこまるだろ」
と怒られた。
「これから気をつけるよ」
散歩の時は換装しない。迅了解。
「しんどいなら行かないって連絡してくれればよかったのに」
「コロに会いたかったんだよ」
「無理させたいわけじゃないんだぞ」
返事になってない。嵐山くん、おれのいうこと聞いてます?