煩悩は尽きない。「寒ぃ~!!!」
「...流石に寒すぎだろ。」
あまりの寒さに莇と九門は二人して声をあげた。
夜の冷えきった風がビュウビュウと吹き付け、これでもかと服を着込んだはずの二人の体温を下げていく。
年末、莇達は二年参りをしに二人で住んでいるマンションから一番近い寺に来ていた。
寺は同じ目的の人々でごった返していて、年が明けるのを今か今かと待ちわびて空気がどこかそわそわとしている気がする。
いつもであればシンデレラタイムを過ぎているので莇は寝ている時間だが、今日は特別だ。
列に並び早々にお詣りを済ませて時間ができたのでボーン、ボーンと除夜の鐘が響く中、思い出話にでも花を咲かせてゆっくりと年明けを待とうと思っていたのだが正直それ所ではなかった。寒い。めっちゃ寒い。
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