君が夢中 この冬一番の寒波が襲来した週末、暖を取るために面堂の家へ行くと水乃小路の嫡男がいた。通されたリビングは面堂不在で、広いソファに居心地の悪そうに一人ぽつんと肩を縮こませている。
「おまえ、ひとりか?」
珍しいこともあるもんだな。そう続けて、向かい側のソファに腰を下ろすと、重ぼったい前髪の隙間から飛麿が大きな瞳を覗かせた。人よりも眩い光を放つその瞳は、まるで光源みたいだ。竦むなんてことはしないが、目が合った瞬間にばれないように少しだけ身構える。
「…けっとうを申し込むつもりが、ここまで連れて来られた」
あたるの動揺とは裏腹に、飛麿はがっくりと項垂れてみせた。
「決闘?」
「うん。終ちゃんに」
「…ああ、なるほどね」
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