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    はじめ

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    はじめ

    ☆quiet follow

    面あた
    鈍感な若と器用かつ察しの良いあたるくん。
    面あたってなんで一緒にいるんだろう。なんだかんだとメリットがあるから一緒にいるのかなあ。二人のこともっと知りたい。

    #面あた
    face

    埋まらない距離 放課後の教室に男が二人。
     机に突っ伏しているところに面堂がやってきて、近くにあった椅子をガタガタと引き寄せて座る。
    「――ところで諸星。お前は、金さえもらえればお前は男とでもするのか」
     至極真面目な顔で突拍子もないことを聞きやがる。
     まともに答えてやる義理はないので、瞼を閉じたまま「いくらくれんの」と尋ねた。
    「…ということは、するんだな」 
     予想不能な思考回路は、予想だにしない回答を導いたらしい。邪魔したな。やけに神妙な顔で去ろうとする面堂の腕を思わず掴んだ。
    「おい待て面堂。俺は、する、とは言っとらん。いくらくれるんだ、と聞いとるんだ」
    「それは、する、という意味ではないのか?」
    「ええい、違う。だから、つまり、お前はいくらくれるんだ、と聞いとる」
     あたるが失言に気付いたのと、面堂が返事をしたのは、ほとんど同時だった。凛々しい眉と目が視界に入り、無意識に眉を顰めた。この利発さと精悍さは、いつだってあたるの心をかき乱していく。
    「………僕?」
     呆気に取られた顔と目が合い、居た堪れない。誤魔化すように、お前じゃないのか、と聞けば、僕の話だったのか、と呆れた返事が返ってきた。
    「………じゃあ、なんで、んなこと聞いたんだよ」
    「………変な噂を聞いたもので」
     これは失敬、といつになく仰々しい態度で面堂が咳払いをするものだから、ちょっと萎えた。あ~あ、あほらし。この話は永遠に終わりにしよう。
    「…つまらんこと聞いた罰として俺に牛丼を奢れ」
     枕代わりにしていた潰れた鞄を持って立ち上がる。教室を出る頃には、空に真っ赤な夕焼けが浮かんでいた。
    「なんで僕が」
    「自分の胸に聞いてみろ」
     焦る面堂を置いて廊下を大股で駆ける。廊下に伸びる自分の影をちらほらと眺めながら、ラーメンでも良いな、と適当なことを思った。
    「ほら行くぞ。はよせんとラムに勘付かれる」
     振り返ると予想していたよりも近くに面堂がいて焦った。
    「…ラムさんがいたらだめなのか?」
     子どもが置いてけぼりをくらったかのような顔と声で聞かれた。咄嗟のことに返事に詰まる。
    「…だめじゃないのか?」
     返事が欲しいわけではないので、独り言に留めた。
     だめだと思っているのは、俺かお前か。
     さあ、どっちだろう。
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    はじめ

    DONE16面×大人あた
    翻弄したりされたりする二人が好きです。
    最初は遊ぶつもりだったけど、面堂くんがあまりにも真剣なので、後戻りできなくなったあたるくんとかいたら良いな。
    大人面には見せられない不安や繊細な心を、16面についうっかり見せちゃうあたるくん。
    答え合わせ 休日の朝、目が覚めたら隣で諸星あたるが寝ていた。
     それも少し大人になった姿で。
     そんなことって、ある?

     寝返りを打つたびに「ん」と掠れ気味の艶っぽい声がして、容赦なく面堂の鼓膜を刺激する。布団からちらちらと覗く首元に浮かぶ赤い痕の理由を理解出来ないほど面堂は子どもではなかった。
     ベッドはキングサイズはあるというのに、ちょうど中央で肩を寄せ合うようにして寝ている。すやすやと一定のリズムで刻まれる呼吸、上下する胸元。憎たらしいほど安らかな寝顔は、面堂が知っているあたるよりも、いくぶん年上に見えた。
     こいつは本当に諸星あたるなのか、はたまた他人の空似なのか。前者だとしても非常に最悪だが、後者だった場合、もっと最悪な気はした。行きずりの男とワンナイトだなんて破廉恥すぎる。せめてどうにか諸星あたるであってくれ、とおそらく金輪際願うことはないであろう不本意極まりない祈りを捧げる。
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