Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    tsuyako_13

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    tsuyako_13

    ☆quiet follow

    セリフ:いきていけない

    『オレがいないとオマエは生きていけない』なんて、オレは何を思い上がっていたのだろう――。🌾に依存する🐉の話。

    #ドマプレ

    #ドラマイ
    drabai
    #ドマプレ

    生きていけないのはオレの方『オレがいないとオマエは生きていけない』なんて、オレは何を思い上がっていたのだろう――。
    「あ……」
     浴室から出るとドライヤーをかける音がした。見れば先に風呂に入ったマイキーが髪を乾かしている。当たり前の、当たり前じゃない光景。呆然とそれを眺めている内にドライヤーは切られて、マイキーはさらりとした短い黒髪を手櫛で整える。立ち尽くすオレに気付いて緩慢に振り向いた。
    「何? ケンチン」
    「や……別に……」
    「あっそ」
     そうしてマイキーはドライヤーを置き、とっととベッドに潜り込んでしまう。オレに背を向けてこのまま一人で寝る姿勢だ。
     さっきくだらないことで喧嘩をしたのだ。きっかけは何だったかもう忘れたが、売り言葉に買い言葉で『オレが世話しなきゃ生きていけないくせに!』と口が滑って、そしたら『ケンチンなんかいなくったって生きていけるし!』と返されて今に至る。
     いつもだったら『ケンチン一緒に風呂入ろ♡』つって結局オレが洗ってやって、風呂から出れば『え〜髪乾かすのめんどくせぇ』って言うから髪を乾かしてやって、漸く自分の髪を乾かしたかと思えば『ケンチンまだ寝ねぇの? ケンチンが寝ないとオレの枕がないんだけど』とか言うくせに――。
     ああ――でも、そう、そうなのだ。マイキーが甘えてくるから当たり前に世話を焼いていたが、やろうと思えばマイキーは何だって自分でできるのだ。飯だって外食すればいい。マイキーは生きていけるのだ。オレがいなくても――。そんな当たり前のことに気付いて愕然とする。
     マイキーに必要とされなくて、オレは一体何をしたらいいのだろう――? 急にぽっかりと胸に穴が空いたようになって、当たり前のことが分からなくなる。ぼうっとマイキーの後ろ頭を眺めていたら、おずおずとその頭が振り向いた。
    「別に……ケンチンいなくても生きていけるけど、ケンチン枕の方がよく眠れるかも……」
     やっぱり枕扱いかよ! 可愛くない可愛い言い草に思わず笑ってしまった。自分が何をすべきか急に頭がはっきりとしてくる。
    「へーへー。髪乾かすからちょっと待ってろ」
    「まだぁ? 早くぅ♡」
    「ちょっと待ってろって!」
     まったくしょうがねぇなぁ、と呟きながら、オマエがいないと生きていけないのはオレの方だ、と思った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👏❤💕💗👏👏💖💖💒💯❤💞👏👏👏💗💗💗💗💗💗💖☺❤🙏❤💖💯💒💯💯💯💯💯💒💒☺☺❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    other8e

    MOURNING幸せであれ
    ※しじみ食べたことないので食感は検索してみたけど実際のところ知りません
    「嶺二」
    ぼくの名前を呼ぶ声にゆっくり目を開けると、ベッドの端に腰をかけたランランの姿があった。
    「おはよう、嶺二。やっと起きたな」
    ランランはぼくの頬をそっと撫でてふわりと微笑む。少しくすぐったい。カーテンの隙間から射し込む陽の光が、ランランのまだセットしていないふわふわの髪の毛を明るく照らしてきらきらと輝いている。
    「いまなんじ?」
    身を起こしながら聞くと、7時だと教えてくれた。ちょうどいい時間だ。
    体を起こしたものの疲労の残る体はまだ少しだるくて、ベッドの上でぼうっとしてしまう。ランランの小さく笑うような声が聞こえたかと思うと、ぎしりとベッドの軋む音と唇に優しく触れる感触。それにうっとりとする間もなくランランはぼくから離れて、物足りなさを感じて見上げるぼくの髪を大きな手でくしゃくしゃとかき乱した。
    「ちょっとー!」
    「目ぇ覚めただろ?朝飯作ってあるから早く顔洗ってこい」
    「うん」


    着替えは後回しにして、顔を洗って歯を磨いてリビングに向かうと、美味しそうな匂いがぼくを待っていた。
    「わー!すっごい!和食だ…!」
    テーブルには、お味噌汁に焼き鮭に卵焼きが並んでいて、どれもまだ白い 2846