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    踏み出す勇気は、どこから

    #司類
    TsukasaRui

    ワンライ『アニメ』『ショッピングモール』(2023/02/08) 先日リューアルオープンを果たしたショッピングモールに、司は足を運んでいた。
     参考書を購入する事が目的だが、どうせなので気分転換に歩いて見て回ろうと思ったからだ。
     あまり来ている訳では無いので、すぐさま店内マップを確認する。

    「書店、は……」
    「……つかさ、くん?」

     書店が見当たらずに苦戦していると、後ろから掛けられた声に慌てて振り向く。
     そこには、今日予定があると言っていたはずの恋人の姿があった。

    「類?どうしてここに?」
    「実は、今日の予定が両親の都合で無くなってしまってね。時間が出来てしまったので前から気になっていた本を買おうと思ったのさ」
    「言ってくれても、良かったのだぞ」
    「一度断ってしまったから…言い出しにくくて…」

     そんなに気にしなくていいというのに…さておき、類の状況が分かった以上やることは一つだった。

    「時間があると言ったな?ならば、二人で一緒にこのショッピングモールを回らないか」
    「…いいのかい」
    「いいに決まっているだろう!」

     気まずそうに視線を逸らす類の手を掴み、真っ直ぐ見つめる。
     やがて類の顔には笑顔が浮かび、店内マップの前に居る司の隣へ並び立つ。

    「…ありがとう。司くんの目的地はどこかな」
    「オレも目的地は書店なんだ。ただ、実はあまり来ていないのでどこだか分からなくてな…」
    「書店は何度か来ているから分かるよ、こっちだ」

     迷い無く歩き出した類に頼もしさを感じながら、後を追いかける。
     ゲートを抜け先に進むと、何やら人が大勢集まっていた。
     特に書店へ急いでいる訳では無いので様子を見に行くと…どうやらサイン会が行われているらしい。
    『話題のファンタジー小説、アニメ化決定記念』と書かれた看板が目に入る。
     性別問わず好まれているのか、男女偏りなく列を形成していた。
     大勢の人に見られながら、スーツを着た男性が差し出された本にサインを書き込んでいく。
     本を返されたファンは、大事そうに本を抱えながら去っていった。
     その様子を見届けた男の顔は、とても嬉しそうだった。

    ―――

     書店に辿り着くと、一先ずはそれぞれの要件を終わらせる為別々に行動することにした。
     参考書コーナーへ行き、前もって調べておいた参考書を見つけ、購入する。
     自分の要件は終わったので類の姿を探すと、彼は棚の前で複数の本に目を通していた。
     まだ時間がかかるだろう…少し書店を見て回ることにした。
     数ある本の中で、人目を引くために鮮やかなポップが散りばれられている。
     ふと、その中の『アニメ化決定』の文字が目に入った。
     この世界に存在している数多の作品の中で、選ばれた作品が得ることの出来る名誉。
     先程のスーツ姿の男性が、脳裏に浮かんだ。

    「これは、確か実話が元になったことで話題を読んだ作品、だったかな。実話が元になっていないとしても、良作とされる作品は沢山あるだろうけど」
    「例え良い作品であったとしても、必ずアニメ化するとは限らない…そのまま埋もれていく名作も沢山あっただろう」
    「たとえどんなに努力をしても、表舞台に立てるとは限らないんだ」

     いつの間にか近くに来ていた類が、件の本を手に取りながら語りかけてくる。
     役者も、必ず全ての人間が作品に参加できる訳では無い。
     実力は勿論、運やタイミングも関わってきてしまうのは確かだ。

    「…それでも、オレは…オレ自身の力をもって掴み取ってみせる!」

     先程の彼のような誇らしい表情と共に未来を掴み取る。
     そして、あのファンのような笑顔を沢山生み出してみせる。

    「………フフッ、そうだったね。すまない、あまり楽しくない話題だった」
    「気にするな!それで、お前の目的は済んだのか?」
    「ああ、購入してきたから用事は済んだよ。ここからは自由さ」

     打って変わって明るい表情になった類は書店の出口へ歩いていく。
     言葉だけではなく行動で示せるように…改めての決意を胸に、歩き出した。

    ―――

     特に目的地もなくブラブラと歩いて回っていると、大量の人が前からゆっくりと流れてきた。
     疑問に思いながら先へ進むと、どうやら映画の上映が終わったタイミングだったらしい。

    「映画か…類は何か気になるものはあるか?」
    「うーん、気になるものは既に確認済みだからね……」
    「ふむ…丁度いいタイミングの映画でも見てみるか?」
    「そうだね、たまには普段見ないようなジャンルを見てみるのも良いと思うよ」

     すっかり人が落ち着いた映画館へ入り、上映スケジュールを確認する。
     この後上映される映画は……

    「……………観る、かい」
    「…類が、嫌ではなければ」
    「……別に、嫌では無い、けれど…」

     この映画を逃すと、既に埋まっているのか次の上映まで時間が開きすぎている。
     つまり、この映画を観るか、映画を観るのを辞めるかの二択だった。

    「いらっしゃいませ。本日は何をご覧になりますか」
    「この後上映される映画を二人で、頼みたいのだが…」
    「承知致しました。現在空いているのは――」

     空いていた端の方の席を確保し、受付を離れる。
     売店で飲み物とポップコーンを買い、上映室へ向かった。
    『禁断の恋』とポスターに書かれた文字が目に留まる。
     無料配布のパンフレットを見た感じ、本来結ばれるはずの無い身分の二人が繰り広げる恋愛アニメのようだった。

    ―――

     ショッピングモールを離れ、類の家へ向かう。
     ガレージへたどり着くと、類は雑に荷物を床に落としソファへダイブした。
     流れであったとしても見なければよかった…いやでも、物語としてはとても完成度が高かった…無駄にはならない経験をさせてもらったと感じているが……

    「…類、気持ちは分からんでもないが……ソファに飛び込むのは危険だぞ……」

     類のことを叱っている司の声も、珍しく弱々しい響きをしている。
     映画の内容としては、やはりパンフレットの通りのよくある話ではあった。
     ただ一点、あの映画の特徴といえるものだろう要素として…とにかく接吻をするのだ。
     外国特有の挨拶代わりの接吻、声を出せない代わりの意思表示に接吻、そして愛を確かめ合う…為の…

    「類。その…すまなかった。年齢制限のない作品だからと少し油断していた」
    「っ、……別に、司くんのせいじゃ、ない……」

     実際、己の過剰反応でしかないのだ。
     唇を合わせる行為なら、司とも何度かやっている…そしていつかは、舌を……

    「っ~~~!」
    「類…」

     司が困惑した声色でこちらを伺っているのが分かる。
     自分は大丈夫だと伝えなければ…このまま司に迷惑をかける訳には行かない。
     体を起こし、決死の覚悟で顔を上げる。

    「…ふぅ……司くん、僕は、だいじょう…ぶ……」
    「………類」
    「…え?…んっ、…」

     司を視界に入れた途端逸らしてしまった顔に手が添えられ、唇が重なる。
     突然の事に思考が追いつく前に、司もソファに座り腰に手が添えられた。

    「…ふ、ぅんっ………ちゅか、しゃく…」
    「……ん、…ふ……」

     されるがままで受け入れていると、唇をぬるりとしたものが撫でてくる。
     思わず離れようとするが、しっかりと固定されてしまい逃れることが許されない。

    「…んぅ、……ん、…はぁっ、…まっ、て……!」
    「…んっ、…るい……」

     司の胸をトントンと叩くと唇は開放されたが、体は司に捕まったままだ。
     呼吸を整えていると、司の真剣な眼差しが向けられていることに気が付く。

    「類……いいか」
    「…………は、ずかしい…よ…」
    「嫌か?」
    「…………………っ」

     嫌なわけなんか無い。
     ただ、ただ…恥ずかしさに勝つことが出来なくて、逃げようとしてしまう自分に嫌気がさす。
     何とか視線を元に戻すと、司は変わらずこちらを見つめ続けていた。

    「……見すぎ、だよ…」
    「…ははっ、すまん。お前がここまで分かりやすく表情出してくれるのは、珍しくて…つい、な」

     きっと司は類が止めてしまうのを分かっていたから、少し強引でも先に進もうとしてくれたのだろう。
     それでも待ったを唱えればちゃんと止まってくれるのが、彼の優しさだ。

    「驚かせてすまなかったな。少しは気が紛れたか?」
    「…すまなかったね。もう、大丈夫…だよ」
    「そうか。良かった」

     さて改めて仕切り直しを…と思ったら司は離れて行こうとする。
     違う、僕の大丈夫は…そういう意味じゃない。

    「司くん」
    「類、どうし……んぅっ…」

     司の唇に自らの物を重ねる。
     意思表示として後ろに腕を回すと、伝わったのか再び手が添えられる。
     スタートは少々強引だったかもしれないが…これから先は合意の上だ。

    「…ぅん、…はぁっ、…つかさ、くん……っ」
    「…ん、ふ……る、い……っ」

     唇を舌で叩かれたので、ゆっくりと唇を開く。
     様子を伺うように、ぬるりと舌が入り込んでくる。
     思わず舌を引っ込めてしまった類を、司が引っ張り出した。
     熱が、混じり合う。

    「…ぁ……ふぁっ、…ん、……ふ、…ぅ……」
    「……ん、う……は、ぁっ、…ん、ふ…」

     部屋に、ちゅ、ちゅ、と水音が響き思考が溶かされていく。
     酸素が無くなりどちらからともなく離れると、離れ難い気持ちを銀色の糸が紡ぐ。
     必死に呼吸をしていると、司に力強く抱きしめられる。

    「…はぁ、……るい……るい…っ!」
    「…は、はっ、…ふふっ……」

     肩口で頭をぐりぐりと押し付けてくる司につい笑いがこぼれてしまう。
     胸がぽかぽかと暖かくなるのが嬉しくて、こちらからも応えるように抱きしめ返した。
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    💖💖😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭💕💗💙
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    たまぞう

    DONE先にポイピクに載せます。
    日曜になったら支部に載せます。
    将参のお話。この間のとはセカイは別になります。
    ちょっと痛いシーンがありますがそこまで酷くないです。
    寧々ちゃんが森の民として出ますが友情出演です。
    最初と最後に出ます。
    何でもいい人向けです。
    将校は参謀と同じ痛みを感じて(物理的)生きたいというよく分からないお話ですね。
    誤字脱字は見逃してください。それではどうぞ。
    将参(友情出演寧々)「ねぇ、その首の傷痕どうしたの?」
    「っ、っっ!?」

    仕事の休憩中に紅茶を飲んでいた時のこと。
    正面の窓から現れた少女に私は驚き、口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

    「っ、ごほ…っ、げほっ、ぅ………。来ていたのですか…?」
    「うん。将校に用事があって……というか呼ばれて」
    「将校殿に?」

    森の民である緑髪の少女ーーー寧々は眉を顰めながら、私の首をじっと見つめている。そこには何かに噛み千切られたような痕があった。

    あの日のことを話そうか、少し迷っている自分がいて。
    どうしようかと目線を泳がせていると、寧々が強い力で机を叩く。

    「ほら!話して!」
    「………わっ…!わかり、ました」








    あまりの気迫に押された私はぽつりと語り始めた。
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