彫刻 突然メッセージで呼び出されたため、家を出る。
慣れた様子で類のガレージへ足を向け、扉を開いた。
「できたよ司くん!司くんロボ型チョコさ!」
開口一番飛び出た言葉と光景に、言葉を失った。
いつだったか、自分そっくりな姿をしたロボットを持ってきた時の姿と重なる。あの時とは違い、全身茶色だが。
そして、あの嫌な予感のする爛々とした瞳で期待気にこちらを見ている様子に一つの確信が生まれる。
こいつ、また寝ていないな?
「それは、どうやって食べるんだ…大きすぎるだろう」
「そんな…!せっかく作ったのに食べてしまうのかい…!?」
「チョコを食べない訳にはいかんだろう!?」
類は、よよよ…と声を漏らしながら司くんロボ型チョコに抱きつく。熱で少し溶けてしまったらしいチョコが、類の頬を茶色く染めていた。
「ああこら、チョコに抱きつくんじゃあない…チョコに抱きつくとは、どういう状況なのだ…」
「後で洗えばいいよ…」
「…おまえ、なぁ……」
類は司くんロボ型チョコの頬に当たる部分を、ぺろぺろと舐めだした。今食べてしまうのかと反論してきたばかりでは無いのか。更に止まらなくなったのか今度は頬に吸い付くようにもぐもぐと口を動かす。…落ち着くんだ、これはチョコ、元にしているのはロボ…つまり相手は無機物……
「んふふ…司くんあまくておいしい…」
「……オレは、ここだぞ?類」
寝惚けていると分かっていても、何もしない訳にはいかなかった。
類をチョコから剥がし、唇を奪うとそのまま舌を絡ませる。
「…っ、……甘いな」
「……んちゅ…、ん…ぅ…」
「…そのまま寝るな、せめて顔は拭ってくれ……」
徹夜のハイな状態が終わり始めたのか、うとうとし始めた類を抱え、ソファへ横たわらせる。
ハンカチで口周りのチョコレートを拭き取ると、静かな寝息が聞こえてきた。
――司くんロボ型チョコは、正気に戻り真っ赤な顔をした類がきちんと食べられる形に戻した上で、二人で美味しく頂いたのだとか。