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    僕達に有って、僕たちに無いもの

    #司類
    TsukasaRui

    ワンライ『ごっこ遊び』(2023/03/15) 秒針が時を刻む音だけが響く類のガレージにて。
     久し振りに諸々の休みが重なった二人は、どちらからともなく共に時間を過ごすことを選んだ。特に何をするでもなく、ソファで身を寄せあい寛ぐのは存外心地が良かった。
     流れに身を任せ脱力していると、頭に温かい感触が届く。
     視線だけ動かすと、類が司の頭を撫でていた。

    「司くん、僕の事を…兄と、読んでみてくれないかい」
    「なんだ、何かの練習か?…………『兄さん』」

     確かに弟役の練習はいつかしてみたいとは感じているが…。
     突然の要求に意図が見えないまま言葉を返す。

    「…………うん、すまない。何でもないから元に戻っていいよ」
    「む?何かの練習ではないのか」
    「…その…ね、司くんを、弟のように甘やかしたいと…思ってしまって」
    「別に、類の好きなようにしてくれても構わないぞ」
    「…うん…でも、その…司くんを弟にするということは、僕が司くんと兄弟になるということに今気がついてね」

     恥ずかしそうに視線をそらされ、細々とした小さな声で真意を語られる。恋人同士なのだから、遠慮は要らないといつも伝えている筈なのだが。自分で思考し類が止めようとした理由がわかった気がした。

    「……弟のように、だからといって司くんに弟になって貰う必要はなかったよ」
    「オレは、弟のように甘やかされてみたいけどな『兄さん?』」
    「それはもう、止めてくれ…」

     バツが悪そうな表情をしている類の胸元へと飛び込む。
     そのまま二人ソファで横になると、頭を擦り付ける。
     意図が伝わったのか、ゆっくりとした速度で頭が撫でられる。

    「フフッ…そんなに擦りつけたら、髪の毛がぐしゃぐしゃになってしまうよ?」
    「髪が乱れても兄が整えてくれるという安心の表れだ」
    「なら、きちんと整えてあげないとね」

     優しい手櫛で髪の毛が梳かれていく心地良さに瞳を閉じる。
     時折小さく聞こえてくる楽しそうな息遣いに愛おしさが溢れた。この気持ちは、妹に抱くものと少しだけ違っていて。
     整え終わったのだろうか、手櫛が終わり手が離れていく。
     寂寥感に顔を上げると、引き寄せられ額に生暖かな感触が届いた。

    「んっ、…もういいのか?」
    「……うん、弟な司くんも悪くないなと思ったのだけれど…やっぱり、ね」
    「…オレも、思っていたのだ。この気持ちは…類にしか抱かない」

     体を起こし、胸元から正面まで匍匐する。
     出方を伺っているその額に口付けすると、腕が背に回される。
     どちらからともなく瞳が瞼の裏に隠れ、唇が重なる。

    「…ふ、……」
    「…んっ………フフフッ…ぼく、司くんと…恋人でよかったな」
    「…うっ、そんな、可愛いことを言うな……オレだって、類と恋人で良かったと思っているぞ…!」

     爆弾を投げられはやる気持ちをそのままに、再び唇を重ねる。
     舌で入口を撫でると、ゆっくりと迎え入れられた。

    「……ん、…ふ、…ぅん…」
    「…んぁ……は、ん……」

     時の音に混じり水音が部屋中に響き渡る。目を開き表情を盗み見ようとすると、月のような輝きを放つ双眸が姿を現した。涙で出来た薄い膜が、その瞳の輝きを引き立てていてその美しさに体が震える。訪れた酸素不足に荒い呼吸が二人を隔てている間も、視線の交差が解かれることは無かった。
     呼吸が落ち着くと、体を押されソファで横に並ぶ。ソファに倒れた衝撃をそのままに弧を描いていた唇にかぶりついた。
     互いの背に腕を回し、脚は絡み合い、舌も互いが互いを喰らわんとばかりに交じり合う。息を整えたばかりだと言うのに、脳はクラクラし目の前の事しか考えられなくなる。

    (…るい……)
    「…はぁ、ん…ぅ……んぁ、……ぁ、む、…」
    (……るいっ、……るい……っ)
    「……ん、……ちゅか、しゃく、……まっ、て……!」

     力強く背を叩かれ我に返ると、赤く染った顔で此方を見つめている類の顔が視界に映る。涙を溢れさせながら飲み込みきれなかった唾液を服で拭っている姿に、目が離せなかった。

    「……司くん…見すぎ、だよ……」
    「う、…す、すまん……」

     顔を見られたくないのか、肩口へと顔を寄せ力強く抱きついてくる。少し痛いくらいの力が込められていたが、機嫌を損ねたくないので指摘はしない。背に腕を回し、頭を優しく撫でる。

    「…好きだぞ、類」
    「………………僕も、好き……だよ。司くん」

     身を寄せ合った穏やかな時間は、夕焼けのチャイムが鳴り響くまで続いていた。
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    たまぞう

    DONE先にポイピクに載せます。
    日曜になったら支部に載せます。
    将参のお話。この間のとはセカイは別になります。
    ちょっと痛いシーンがありますがそこまで酷くないです。
    寧々ちゃんが森の民として出ますが友情出演です。
    最初と最後に出ます。
    何でもいい人向けです。
    将校は参謀と同じ痛みを感じて(物理的)生きたいというよく分からないお話ですね。
    誤字脱字は見逃してください。それではどうぞ。
    将参(友情出演寧々)「ねぇ、その首の傷痕どうしたの?」
    「っ、っっ!?」

    仕事の休憩中に紅茶を飲んでいた時のこと。
    正面の窓から現れた少女に私は驚き、口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

    「っ、ごほ…っ、げほっ、ぅ………。来ていたのですか…?」
    「うん。将校に用事があって……というか呼ばれて」
    「将校殿に?」

    森の民である緑髪の少女ーーー寧々は眉を顰めながら、私の首をじっと見つめている。そこには何かに噛み千切られたような痕があった。

    あの日のことを話そうか、少し迷っている自分がいて。
    どうしようかと目線を泳がせていると、寧々が強い力で机を叩く。

    「ほら!話して!」
    「………わっ…!わかり、ました」








    あまりの気迫に押された私はぽつりと語り始めた。
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