ウェルチに呼び出された一行はディベルの街へと向かっていた。
レイモンドは突然立ち止まり「そういえば」と呟く。それに他の者も立ち止まりレイモンドを見遣る。目線が向いたのを確認した後立ち止まった場所、レイモンドの目の前にあるとあるものを指差した。
「この献花台に供える花…あー…ヘル…なんだったか…?」
「ヘルメスリリーですね、その…ヘルメスリリーがどうしました?」
後頭部をポリポリ掻きながらレイモンドは花の名前を言おうとするも思い出せずレティシアが横から花の名を言った。そうそう!と言いながらレイモンドは献花台をじっと見る。
「そのヘルメスリリーなんだがよ、今まで見つけたことねぇよな…?」
「確かに見当たりませんね…そもそもヘルメスリリー自体が珍しいものなので見つからないのも仕方ないかもしれないですね」
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