ディベルの街で休憩となり各々アイテムの確認や好きなことをしにパーティーを解散した。
アベラルドもレティシアのお供にとついて行こうとしたがレティシアから「街の中なので大丈夫です!」と断られ渋々単独行動を承諾せざるを得なく「分かりました」と伝えその場を離れる。
実際レティシアに断られたのはアベラルドにとって自分の時間を作れる為不服ではなかった。
アベラルドは目当ての店に向かい歩き出すがそれを止める者がいた。
「いたいた、アベラルドこれやるよ」
アベラルドを止めたのはレイモンドでアベラルドに差し出す手には何かの包みを持っている。
それを見て訝しげに包みを見たあとレイモンドを見て眉を寄せ口を開く
「なんだ、貴様か。何のようだ」
「だからこれやるって、前食ってたろ?」
その包みの中には前ディベルの街で食べていた時レイモンドに見られた甘いものだった。
だがあの時は隠せてたはずだとアベラルドは内心慌てつつ「食べてない!」と怒鳴り声を上げる。
「いいから貰えるもんは貰っとけって」
そう言うとレイモンドはアベラルドの手に包みを渡して去っていった。
残されたアベラルドは包みを見て眉を下げた。
「アベラルド?こんな所にいたの?」
「姫…あいつが私にこんなものを…」
困っていた時にレティシアから声が掛かりバッと顔を上げ包みを見せた。
「ふふっ良かったじゃない。食べないの?」
「…いえ、姫食べますか?」
「アベラルドが貰ったんだから貴方が食べなきゃ意味がないと思うわ」
レティシアはレイモンドが贈り物をした意味を理解したのか頬を少し赤らめながら差し出された包みを首を横に振って断る。
理解していないアベラルドは首を傾げながら「意味がないとは…」と呟いていた。
「いつか分かる時が来るはずよ。その時は沢山お祝いさせてね」
そう言うと楽しそうに去っていった。
それを見届けながらアベラルドは包みの中身を取り出し口に放る。
「甘い、な…」
それは甘味に対してか、自分に芽生え始めたまだ分からない気持ちからなのか、それが分かるのはきっと遠くない未来なのだろう…。