lovely my kitty 主人の腕に抱かれながら、子猫はその心地よさに微睡んでいた。極力振動を与えないよう注意が払われているのか、移動中にも関わらず小さな体が大きく揺れることはない。ポカポカと暖かな陽射しも相まって、今日は絶好のお昼寝日より。だからか、主人以外の人の気配を近くに感じても子猫の意識は変わらず夢の世界を漂っていた。
そこに変化が表れたのは数分後のこと。揺れが収まったかと思えば、何かを報せるような機械音が耳に届く。それを不思議に思い、小さな両の耳を横に寝かせてピンと張っていると、扉の開く音に続けて驚いたような男の声が聞こえてきた。
「浮奇、もう越してきたのか?」
「ふーふーちゃんを驚かせたくてね、引っ越しのご挨拶に来たよ」
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