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    フィンチ

    @canaria_finch

    🔗🎭を生産したい妄想垢

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    フィンチ

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    それぞれの飼い主が🐑と🔮なわんにゃん馴れ初め

    #Sonnyban
    sonnyban

    lovely my kitty 主人の腕に抱かれながら、子猫はその心地よさに微睡んでいた。極力振動を与えないよう注意が払われているのか、移動中にも関わらず小さな体が大きく揺れることはない。ポカポカと暖かな陽射しも相まって、今日は絶好のお昼寝日より。だからか、主人以外の人の気配を近くに感じても子猫の意識は変わらず夢の世界を漂っていた。
     そこに変化が表れたのは数分後のこと。揺れが収まったかと思えば、何かを報せるような機械音が耳に届く。それを不思議に思い、小さな両の耳を横に寝かせてピンと張っていると、扉の開く音に続けて驚いたような男の声が聞こえてきた。
    「浮奇、もう越してきたのか?」
    「ふーふーちゃんを驚かせたくてね、引っ越しのご挨拶に来たよ」
     聞き覚えのない低音に応える声は愉しげで、常に穏やかな主人にしては珍しい声のトーン。
    (うき、うれしそう)
     その様子から警戒を解くと、子猫は再び主人の腕の中にもぞもぞと潜り込む。しかし、うとうとと夢現な状況に反して室内に入ってしまったのか先程までのお昼寝にうってつけの陽射しは届かなくなってしまった。せっかく気持ちよかったのにと残念そうに尻尾を垂らしていると、続けてやってきた浮遊感に子猫は驚いたように両目を開く。気付いたときにはカーペットの敷かれた床の上に降ろされてしまっており、眠りを妨げられたことよりも主人と離れた寂しさで子猫はか細い鳴き声をあげた。
    『や、うきといっしょがいい』
    「起こしてごめんねアルバーン、すぐ戻るからその子と一緒に良い子で待ってて」
     離れたくないのだと訴えてはみたものの、当然ながら人間には伝わらない。ただ一緒にいたいだけなのに。子猫―アルバーンがしょんぼりと下を向いていると、不意に何かの動く気配を感じ、ハッとして視線を向ける。すると、そこには小さな子猫とは比べ物にならないほど立派な身体を持つ大型犬が横たわっていた。
    「それじゃあサニー、少しの間任せたぞ」
     男の声に鳴き声をあげるでもなく、ただ小さく頷いて応える様は随分と落ち着いて見える。何よりその美しい毛並みだ。太陽を浴びている訳でもないのに輝くブロンドに、アルバーンは思わず目を奪われた。
    『ふたりが戻るまで大人しくしててくれよ』
     明らかに言葉を向けられているというのに、無邪気な子猫の意識はある一点に集中していて全く耳に入っている様子はない。それにサニーも気付いてるのか、重ねて言うでもなく大人しくしていてくれればそれでいいと半ば諦め気味。ようは主の命さえ守れればいいのだ。想定外があったとすれば、幼い好奇心がどう働くかまで考え及ばなかったことにだろう。可愛らしいオッドアイを輝かせ、誘われるようにてとてとと近寄ってきたかと思えば目の前の柔らかな毛皮にアルバーンはぽふりと倒れ込んだ。
    『っ?!』
    『きらきら…ふわふわ…』
     嬉しそうに顔を埋めて間もなく、今度はすぴすぴと小さな寝息が夢の世界に旅立ってしまったことを知らせてくる。なんてこった、これでは動けない。満足げなアルバーンとは打って変わって、サニーはこの展開に困り果てていた。
    『まいったな』
     体格差は一目瞭然であるから動こうと思えば動けるのだが、この小さな子の眠りを妨げてまでする気にはならない。重くもないのだし、主達が戻ってくるまでの束の間のこと。それくらいなら子供の毛布がわりにくらいなってやろう。そう自分を納得させると、サニーは体を伏せて主の帰りを待つことにした。


     それから数分ほどで人間達は戻ってきたものの、余程深く寝入っているのかアルバーンが目を覚ます気配はない。名前を呼びかけても、うみゃ、と返事とも判断しがたい声を出すばかり。もう少し寝かせておいてやれと言い出したのはサニーの主だったか。体の良い口実に使われた気はしないでもないが、傍らで眠る姿を見ていると離れがたいような気持ちが湧きあがる。それに、興味のあるものにしか意識が向かない子猫はサニーの毛皮しか見ていないのだ。きっと名前だって覚えちゃいない。それはなんだかとても面白くないことのように思えた。
     時間が経てば経つほど複雑な感情が生まれてくるサニーをよそに、無防備に毛皮に埋もれるアルバーンのなんとのんきな事。それが悪いとは言わないが、起こすのは忍びないと感じる一方で早く目を覚まさないかとも考えてしまう。子猫とはいえもう十分寝ただろう。主達も食事の準備に取り掛かるような時間だ。もうそろそろ、少しくらいあのオッドアイを見せてくれても…
     そう思いかけたところで、大人しく眠っていたはずのアルバーンが大きく伸びをして目を覚ました。
    『…ぅみ……う…き?』
     寝ぼけた様子で顔をあげ、真っ先に口にしたのは主人の名前。だが、サニーはそれをやんわりと否定し話しかける。
    『違うよ、俺はサニー』
    『さ、にぃ?』
     こてんと首を傾げて発せられたのはなんとも拙いもの。だが、その響きはサニーの心を大きく震わせた。今までに感じたことのない感覚に動揺し動けないでいると、アルバーンは小さく一度欠伸をしたかと思うと今度はぱっちりと両目を開く。そうしてサニーをじぃと見上げると、今度は楽し気にその名を口にした。
    『さーにぃ、さーにぃ♪』
     何がそんなに楽しいのか、などと悠長に考えている余裕などない。自分の名前を無邪気に呼びながらじゃれついてくる子猫の存在は、サニーの心に追い打ちをかけるように衝撃を与えてくる。なんだこの生き物は。なんだこの症状は。なんだこの状況は。冷静になろうにも、そうしている間にも毛並みを堪能しようと顔を埋めてくるものだからまさにお手上げと言っていい。
     制御しきれぬ感情の動きにとてつもない疲労感を覚えていると、今度は呼びかけるような響きがサニーのぺたりと倒した耳に届いた。
    『さーにぃ?』
     向けられるオッドアイは好奇心に満ちていて、まるで心の内まで覗き込まれているような不思議な感覚を覚える。今度はいったい何を言いだすつもりだろうか。奇妙な緊張感に包まれたまま次の言葉を待っていると、アルバーンはまるでサニーの顔に触れようとするかのように小さな両足を懸命に伸ばしてきた。
    『めもきらきら』
     真っ直ぐに向けられた視線から目が逸らせない。そのオッドアイの方が余程キラキラと輝いているというのに。
    『さーにぃ』
     名前を呼ばれる度に鼓動が早くなっていく。
    『きれい、すき』
     うっとりと告げられた言葉に、サニーは何かが落ちる音を聞いた。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    【アルバーン】
    生後2か月程度のキラキラしたものが大好きな子猫
    飼い主は浮奇


    【サニー】
    1歳半の普段は主に忠実な成犬
    飼い主はファルガー


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    (いざ帰るとなった時に自分の体でアルバーンを隠して阻止しようとするサニーとファルガーの攻防、そしてそれを面白がっている浮奇)


    「サニー、離れがたいのは分かったから隠すんじゃない」
    「随分と仲良しになったみたいだね。そんなに一緒にいたいならせっかくだし泊まっていこうかな」
    「思ってもないことを言うな浮奇、そろそろ帰らないとって言ったのはどの口だ?」
    「本当につれない、せっかくのチャンスなのに」
    「イイ子で帰るんだな、Baby」
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    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
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