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    ParAI_t

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    ParAI_t

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    ※死ネタ
    継がれるべきは / 三柱

    なんとなく興が乗ったので、キバコさんが昨日続き見たいって言ってたと思しき話の候補全部書いてみたよシリーズその①
    元ネタの影響で私にしては珍しくビス殿が死んでる話になります。今回のシリーズだと二番目に暗いお話かなぁ。
    初めて書く三柱の話これでいいのかしらん、てなったけどそういや大昔にクリスマス書いてたから何も問題ないな←

    ##三柱

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    第三次グランロット攻防戦。
    長きに渡る戦いは、ある黒魔道士の死をもって一応の終結を迎えていた。
    葬儀は国を挙げてしめやかに行われ。
    空いた席は生前目にかけていた者が座る事が決まり。
    そうして、彼の掲げた理想は日常と同化しつつある。
    苦楽を共にした二人の時を、あの日に置き去りにしたままで。

    「次の魔道士長は、どんな人になるのだろうね」
    「そうですねー。穏やかな人柄だとは聞いていますがー」

    リーンハルトとサシャは、この部屋の次の主を話題にしつつ、遺品の整理を続ける。元々私物の少ないクロービスの元執務室は、手をつけてしまえばあっさりと片付いていった。部屋に差し込む日の高さは、つい先ほど数ヶ月振りに入った時とそう変わってはいない。

    「あっ、これはレジェンドラの遺跡で発見した石版ですねー」
    「興味ないって言っていたのに取っていたのか」
    「確か魔法薬の付け置きには使えそうだ、と言っていた気がしますー」
    「これはサシャが引き取るかい?」
    「そうですねー。リーンハルトにはティーセット一式がありますし。僕が貰ってもいいですかー?」
    「構わないよ。因みにそれ、なんて書いてあるんだい?」
    「あー、それは、ですねー」

    懐かしげに記憶を辿っていたサシャが、ふいに続く言葉を発せずに言い淀む。日の光が遮られてちょうど影に染まった顔は、三人が初めて出会った時を思わせるような暗さを纏っていた。
    内容を察してリーンハルトが先を紡ぐのを制するより早く、在りし日の祈りが一人足りない空間に放たれる。

    「ずっと一緒にいられますように、ですね」
    「そう、なんだ」

    それを機にぱたり、と会話がなくなってしまう。騒がしいと制する声があった頃には、見られなかった光景だった。

    訪れた沈黙は、まざまざと欠けているものを浮き彫りにする。
    書庫の本と取り寄せた資料が詰まった本棚は、すっかり空になり木目が見えていて。
    飾り気が少なく格調高い執務机には、山と積まれた書類は一枚たりとてなく。
    なにより、眉間にシワを寄せ、人々の幸福を願った者が不在だった。

    このぽっかりと空いた穴は塞がれる日が来るのだろうか。何度となく繰り返した思考に囚われそうになったリーンハルトは、最期の光景を思い返す。その痛みは、あの日託された未来の形を取り戻すには十分に効いた。

    「……こんな事じゃ、あいつに叱られてしまうね」
    「そう、ですねー。僕たちは恒久の平和の続きを任されてますから」

    二柱は潤んだ目を誤魔化すように、微笑み合った。
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    🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏✨✨💗💗✨✨
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    ParAI_t

    MOURNING11月のカレンダー没案です。
    クリスタニア編でリーン様が不穏なこと言ってた印象が濃い辺りの頃に書いたので、今思うと「とにかく無事に終われ!?」みたいなノリをひしひしと感じる←
    アプリ版だと第一部のラクリモッサでしばらく三柱でお茶会してないみたいな話があったので、こんな風な日常に戻ってたらいいよねぇみたいな願いを込めてます。
    いやぁ、今週のクリスタニア編も楽しみですね☺️
    11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
    季節になったんですねー、としみじみとして
    サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
     本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
    鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
    外気での冷却も計算に入れてあるから、
    ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
    なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
    と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
    空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
    これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
    とサシャはゆるりと目を細める。
    「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
    「年の変わり目も近いですからねー。魔道
    交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
     そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
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    ParAI_t

    DONEドロライ参加作品です。お題は「いい夫婦の日」。
    モブ秘書がクロアス夫婦+子供を観察してる謎の話になります。需要は私にある(澄んだ瞳)
    キャラスト3話で父さん母さん呼びしてたのに、なんか今は父上母上呼びしてるから、つまり結婚後はこんなんじゃない?みたいなノリで書きました。
    いずれ職場で「パパは〜」とか言っちゃう話も書きたい。結婚後でなくても天惺獣関係ならスレイヤー全員やらかせる余地はあるしな…!←
    困惑メラビアン−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−































     どうも直属の上司は厳しい人柄、らしい。風の噂でそんな評判を聞きつけて、グランロット王国宮廷魔道士長、クロービス・ノア付となった新任秘書は、緊張に身を固くして部屋の扉を叩いていた。出迎えた予想と違わぬ鋭い眼光に気圧されつつも、準備をしていた甲斐もあり用件は滞りなく進んでいく。
     魔王との長きにわたる戦いを終えたグランスレイヤーともなればこの威厳も当然か。多方面に渡る業務内容を迅速かつ正確無比にこなしていく姿に、秘書は自分なりに答えを得て、一礼し退出しようとする。そうして顔を上げた刹那、廊下からかすかに幼子の声が聞こえてきた。
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    ParAI_t

    DONE※いつも以上に原作の行間にクロアスをねじ込んでいます
    ※※特に本筋ではないのですが、若干ガレル・パレル編のネタバレを含みます

    オトメ勇者初恋Webアンソロジー寄稿作品になります
    ほぼほぼ謎の青年C(AとBがないのが作為的とか言わない)が活躍しているクロアス(?)な雰囲気ですが、お楽しみいただければ幸いです
    今週のクリスタニア編と矛盾しないといいなあ…(直し入るとめんどいなという顔)
    キャンディタフトは甘やかに揺れる / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
















     その名の通りに飴で出来ているかのように、小さな白い花は甘く香っていた。

    「クロービスさん。頼まれてたもの持ってきましたけど、どこに置いておきますか?」
    「ああ、机に空きがあるだろう。そこに頼む」
    「はーい」

     年代物の深緑の図鑑から目を上げ指示を出したクロービスは、すぐに意識を机に戻すとリストへチェックを入れる。本日この時間のクロービスの業務は、実験室での魔法薬の調合だった。王城に併設された植物園から運んできた花の色と香りに、何かを思い出したアステルはなんの気なしに口にする。
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    ParAI_t

    DONE※オトメ勇者最新話(第57話)ネタバレ
    お題は「神無月」です
    今週もまたすごい展開でしたねえ
    推しの心情深掘り第2弾ということで、今週の展開を踏まえた今回もまるで先行きが明るくはないお話です
    毎週のお題に合わせて可能な限り続けていきたいけど、多分そのうち矛盾すると思う(確信)
    書いてて思ったけど、メインストがトゥルー爆走してるなあと思うと同時に箸休め回をくれ…!
    イチャコラさせる暇がないんだよなあ
    裁きの光は虚ろにて / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



















     勇者は、死んだ。エルドアの淡々とした発言を聞いたクロービスは、しばし呆然と立ち尽くしていた。六天魔という異常事態を片付けねばならない、と理性が警告を発しているものの、目の前の光景はとうに現実味を感じられなくなっている。
     いつかの悪夢のように魔物に命を狙われたとしても、守ってやれるはずだった。それがこの現状はどうだろう。女神の声を聴く者は、これほどに呆気なく希望の光を握りつぶし平然としている。傷つき悩み、憂い惑い、それでも譲れないもののために何度でも立ち上がって剣を振るっていた少女を切り捨てる事が、この聖なる地の正義だった。
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