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    ParAI_t

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    ParAI_t

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    第三回ドロライ参加作品です。お題は「ジューンブライド」「流れ星」。
    流れ星と聞いた瞬間にデートスピしか頭に浮かばず、じゃあ全てが終わった後の幸せなノア家書くかーってなってこんな感じになりました。
    因みに話の中の家庭菜園は当初は作るつもりなかったけど、アステルちゃんがあまりに楽しそうに話すもんだから「庭の隅なら許可しよう」つって作られた経緯があります。多分この後なんやかんやでスペース拡大してくやつ。

    ##クロアス
    ##ドロライ
    ##ノア家

    eternal starlight / クロアス--------------------------------------------------------------------------------------------------------






























     遠い日に約束された普通の幸せは、今も続いている。
     風に揺れる鈴蘭が、永遠の愛を誓い合った季節の到来を告げていた。魔法薬に使う植物が生い茂る庭の片隅の、小さな畑へ水やりを終えたアステルは満足そうに頷く。夏に赤く甘い実をつける苗は順調に育っている。この分なら豊作は間違いないし、一度に多く消費できるレシピを探しておいた方が良いだろう。また一つ明日への楽しみを増やしたアステルは、道具を片付けて家の中へと入った。

     本棚から料理本を数冊手に取り、ぱらぱらとめくる。今度こそ「悪くない」ではなく一番に「美味しい」と言わせてみせる、と意気込むものの、中々ピンとくる料理は載っていなかった。チルダ婆ちゃんからもらったお祝いにそういう本がなかったっけ、とふと思い立ったアステルはおもむろに収納用のチェストを開ける。目的の物を探し視線を彷徨わせていると、奥の方に見慣れない箱があることに気が付いた。

    「なんだろう、この箱」

     なんのラベルも貼られていないそれを引き出すと、紙の擦れ合うような乾いた音が聞こえた。迷いつつも見てはいけない書類ならそうと書いてあるよね、と最終的には結論付けて、アステルは好奇心に従い蓋をぱかりと開ける。
     箱の中には自分の筆跡で宛名が書かれた手紙が入っていた。形に残る物に興味はないという言葉とは裏腹に、几帳面な彼らしく綺麗に開けられた封筒に至るまできっちりと保存されている。何度も読み返したのか開け口が柔らかくなっていることに顔をほころばせ、アステルは一つ一つ中身を確認していった。これは遠征の時、これは誕生日の時、と紙束をより分けていくと、当時の思い出が鮮明に蘇っていく。最初の頃は怖くてちょっと苦手だったな、あっまだこの頃は緊張してたんだ、この時のお返事嬉しかったな、と文面を見返していると、現在まで繋がる愛おしさに自然と温かな笑い声が漏れた。そして、一番底へ隠されていた古びたカードを見つけたところで、帰宅を知らせるベルが鳴り響く。
     中身を戻した箱を元の場所へと慌ただしく戻し、アステルは玄関へと駆け出した。そうしてドアを開けた先の人物に飛び付けば、恒例となったやり取りが今日も繰り返される。

    「おかえりなさい!」
    「……まったく、君はいつになったら落ち着きというものを覚えるのだ」

     小言とため息を零しながらも、抱きとめた腕はアステルを離す様子はなく。うしろ手で扉を閉めたクロービスは、アステルに顔を上げるよう促すと、向けられた唇へと口づけた。

     奥底へと大切に仕舞われた星々は、変わらぬ光を黒い三角帽子の雪だるまへと降り注いでいる。
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    ParAI_t

    MOURNING11月のカレンダー没案です。
    クリスタニア編でリーン様が不穏なこと言ってた印象が濃い辺りの頃に書いたので、今思うと「とにかく無事に終われ!?」みたいなノリをひしひしと感じる←
    アプリ版だと第一部のラクリモッサでしばらく三柱でお茶会してないみたいな話があったので、こんな風な日常に戻ってたらいいよねぇみたいな願いを込めてます。
    いやぁ、今週のクリスタニア編も楽しみですね☺️
    11月カレンダー没案(サシャ・リーンハルト) ほう、とついた息が白く漂う。もうそんな
    季節になったんですねー、としみじみとして
    サシャは陶器の音をテーブルに響かせた。
     本日の茶会は鮮やかに色付いた秋を
    鑑賞しようと屋外で行うことになっている。
    外気での冷却も計算に入れてあるから、
    ティーポットの中身はそろそろ飲みごろに
    なるはずだ。あとは二人を待つだけですね、
    と視線を上げれば、はらりと赤や黄が高い
    空に散っていた。かつての戦いと同じ季節が
    これほどまでに穏やかに過ごせているのだ、
    とサシャはゆるりと目を細める。
    「おや、あいつはまだ書類と格闘中かな」
    「年の変わり目も近いですからねー。魔道
    交信ではもうすぐ来ると言ってましたがー」
     そうしてさらりと金の髪を揺らす赤い鎧も、
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    ParAI_t

    DONEドロライ参加作品です。お題は「いい夫婦の日」。
    モブ秘書がクロアス夫婦+子供を観察してる謎の話になります。需要は私にある(澄んだ瞳)
    キャラスト3話で父さん母さん呼びしてたのに、なんか今は父上母上呼びしてるから、つまり結婚後はこんなんじゃない?みたいなノリで書きました。
    いずれ職場で「パパは〜」とか言っちゃう話も書きたい。結婚後でなくても天惺獣関係ならスレイヤー全員やらかせる余地はあるしな…!←
    困惑メラビアン−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−































     どうも直属の上司は厳しい人柄、らしい。風の噂でそんな評判を聞きつけて、グランロット王国宮廷魔道士長、クロービス・ノア付となった新任秘書は、緊張に身を固くして部屋の扉を叩いていた。出迎えた予想と違わぬ鋭い眼光に気圧されつつも、準備をしていた甲斐もあり用件は滞りなく進んでいく。
     魔王との長きにわたる戦いを終えたグランスレイヤーともなればこの威厳も当然か。多方面に渡る業務内容を迅速かつ正確無比にこなしていく姿に、秘書は自分なりに答えを得て、一礼し退出しようとする。そうして顔を上げた刹那、廊下からかすかに幼子の声が聞こえてきた。
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    ParAI_t

    DONE※いつも以上に原作の行間にクロアスをねじ込んでいます
    ※※特に本筋ではないのですが、若干ガレル・パレル編のネタバレを含みます

    オトメ勇者初恋Webアンソロジー寄稿作品になります
    ほぼほぼ謎の青年C(AとBがないのが作為的とか言わない)が活躍しているクロアス(?)な雰囲気ですが、お楽しみいただければ幸いです
    今週のクリスタニア編と矛盾しないといいなあ…(直し入るとめんどいなという顔)
    キャンディタフトは甘やかに揺れる / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
















     その名の通りに飴で出来ているかのように、小さな白い花は甘く香っていた。

    「クロービスさん。頼まれてたもの持ってきましたけど、どこに置いておきますか?」
    「ああ、机に空きがあるだろう。そこに頼む」
    「はーい」

     年代物の深緑の図鑑から目を上げ指示を出したクロービスは、すぐに意識を机に戻すとリストへチェックを入れる。本日この時間のクロービスの業務は、実験室での魔法薬の調合だった。王城に併設された植物園から運んできた花の色と香りに、何かを思い出したアステルはなんの気なしに口にする。
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    ParAI_t

    DONE※オトメ勇者最新話(第57話)ネタバレ
    お題は「神無月」です
    今週もまたすごい展開でしたねえ
    推しの心情深掘り第2弾ということで、今週の展開を踏まえた今回もまるで先行きが明るくはないお話です
    毎週のお題に合わせて可能な限り続けていきたいけど、多分そのうち矛盾すると思う(確信)
    書いてて思ったけど、メインストがトゥルー爆走してるなあと思うと同時に箸休め回をくれ…!
    イチャコラさせる暇がないんだよなあ
    裁きの光は虚ろにて / クロアス----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



















     勇者は、死んだ。エルドアの淡々とした発言を聞いたクロービスは、しばし呆然と立ち尽くしていた。六天魔という異常事態を片付けねばならない、と理性が警告を発しているものの、目の前の光景はとうに現実味を感じられなくなっている。
     いつかの悪夢のように魔物に命を狙われたとしても、守ってやれるはずだった。それがこの現状はどうだろう。女神の声を聴く者は、これほどに呆気なく希望の光を握りつぶし平然としている。傷つき悩み、憂い惑い、それでも譲れないもののために何度でも立ち上がって剣を振るっていた少女を切り捨てる事が、この聖なる地の正義だった。
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