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    hikari_63xxx

    @hikari_63xxx

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    ローサン。
    🍊さんと💐ちゃんのショッピングに一緒に連れて行かれてあれこれ世話を焼かれた🕒くんが、当日🐯に焦らされていつの間にか思惑どおりの誕生日プレゼントに仕上がっちゃったって話。

    恋人同士のミラクルハッピーローサンです♡

    --------

    🐯お誕生日おめでとう!

    --------

    2024.10.6

    .

    #ローサン
    low-sun

    どうぞおいしく召し上がれ♡.

    1.



    「ねえ、サンジ君。このあと少しだけ、ショッピングに付き合ってくれない?」

    カウンターでオレンジジュースを飲んでいたナミさんが、グラスの中身が空になったタイミングでそう言った。こてんと首を傾げて上目遣いにおねだりするナミさんはとってもキュートだ。

    断る理由なんてひとつもない。
    むしろ、おれの方からお願いしたいくらいだ。

    「もっちろんだよぉ♡荷物持ちならおれに任せてっ!」
    「ふふ、楽しみね」

    ナミさんの隣に座っていたロビンちゃんも、ちょうどアイスティーを飲み終わったところだった。
    溶けかけの氷だけになったふたつのグラスを回収する。ロビンちゃんはテーブルに両肘をついて自分の頬を挟むようにしながら、おれとナミさんのやりとりを見てにこにこと微笑んでいる。

    レディたちのショッピングに付き添えるうえに、荷物持ちもさせてもらえるなんて最高だ!
    鼻歌でも歌い出したい気分で泡だらけになったグラスをジャブジャブと水で流す。

    ナミさんとロビンちゃんはその愛らしいお顔を寄せ合うようにして、何やら楽しげな様子でヒソヒソと話し込んでいた。
    愛すべき女神たちが楽しそうにしていると、おれまで嬉しくなっちまう。目の保養だ〜♡とか思いながらいそいそと洗い物を終えたおれは、ふたりと一緒に島に降りて、ショッピングのお供をすることになった。





    立ち寄ったその島には、補給をするのに困らない程度の規模の大きな街があった。
    港から真っ直ぐに伸びた大通りの両側には、日用品から高級品まで様々な店が立ち並んでいる。

    ナミさんが好きそうな服や、ロビンちゃんに似合いそうな靴を売っている店なんかもたくさんあったのに、そういう店には見向きもせずに、ふたりはどんどん先へと進んでいってしまう。
    最初から目的の店が決まっているのかもしれない。

    楽しそうにお話ししてるふたりの邪魔にならねえように、煙草をぷかぷかとふかしつつ、二、三歩離れた後ろをついて歩いていたおれは、アンティークショップの看板に気がついた。

    ——そういや、プレゼントどうすっか。

    ふと思い出して足を止める。

    外から覗いて見える範囲では、雑貨というより家具を中心に取り扱っている店のようだった。
    木目の美しいダイニングテーブル。猫脚のキャビネット。革張りの重厚なソファに、ベルベット生地のロッキングチェアなんかも置いてある。

    アンティークの店とはいえ、ここには記念コインみたいなもんは置いていなさそうだ。

    「どうしたの?」

    その店の前で立ち止まっていたおれに気づいたレディたちが振り返った。
    おっと、レディを待たせちゃならねえ。
    何でもないよ、と笑って首を横に振ってから、少しだけ足を速めてふたりに追いつく。


    「ねえロビン、あの店にしましょ」
    「あら、いいわね」

    ウフフッと笑い合ったふたりがおれの顔を見て満面の笑みを浮かべた。

    「……?」

    あの店ってのがどの店なのか見当もつかないが、それがどこであろうと、ふたりがそこへ行きたいと言うならおれに異論はない。

    ないんだけど——。


    「…………ここ?」

    連れて行かれた先は、どう見てもランジェリーショップだった。

    ショーウィンドウに飾られたマネキンが着せられているベビードールは、かわいらしいピンク色をしているのに、おっぱいの部分が他よりスケスケで、かなり際どい感じのデザインだ。

    こんなえっちなのを着てくれるレディがいるんだなと思うと、にまにまと口元がゆるんじまう。

    ハッ!待てよ。
    ってことは、ナミさんとロビンちゃんは、この店で下着を買うつもりなのか!?

    頭の中でそれを想像するだけで鼻血が出そうになったおれは、慌てて上を向いて堪える。
    こんなところで鼻血を吹き出しちまったら、さすがに目も当てられねえもんな。

    入口でそんなことを考えているうちに、いつの間にかおれは、その場にひとり取り残されていた。

    「あれ?」

    キョロキョロと辺りを見回していると「こっちよ」と、ロビンちゃんが店の奥から顔を出して手招きしてくれる。

    なんてやさしいんだ!

    「すぐ行くね〜♡」

    そう答えてふたりの元に駆け寄ったおれの目の前。

    「ねえ、サンジ君。これなんてどう?」

    ナミさんが手に持っていたのは、黒色のシンプルなデザインだったけど、前の部分だけ三角形のやたら布の面積が少ない下着だった。

    「後ろがね、すっごくかわいいの!」

    ひらりと後ろ側を見せられる。
    三角形の裏は、大粒のパールみたいなのが縦に連なってTバック状になっていた。
    タイトな服を着たときに下着のラインが出ないようにするってのはわかる気もするけど、こんなん履いてたら、尻の穴が擦れちまわねえのか?

    「……ええと、」

    かわいいって何だっけ。
    いや、もちろんナミさんはかわいいけど。

    「こっちも素敵よ」

    そう言ってロビンちゃんが持って来たのは、真っ白なレース生地の清楚な下着に見える。
    でも、よく見りゃこれも清楚とは程遠い。
    だって、股間のところがぱっくり開いてて、後ろ側にもスリットみたいなのが入っている。

    「……あの、」

    ロビンちゃんは素敵だ。
    でも、この下着が素敵なのかどうか、おれには理解不能だ。こんなん履いたら大事な部分がほとんど丸見えになっちまうってことだよな?

    この店のコンセプトなのか、どちらもセクシーな下着であるのに間違いはない。

    おれだってナミさんとロビンちゃんが履くというなら喜んで選ぶし、履いたところを見たい。

    ぜひとも見せていただきたい!

    だけど、悲しいかな。
    おれの女神たちが熱心に選んでいたのは、女性用のランジェリーじゃなかった。

    「…………これって、男性用、だよね?」

    男が履くためのセクシーなランジェリー。

    どういう需要で売られてんのかおれにはまったくわかんねえけど。そもそも何でそんなものをナミさんとロビンちゃんが選んでいるのだろうか。

    「サンジ君も、こういうの履きたい!っていうのがあったら、ちゃんと言うのよ。金額はまあ、私たちからのプレゼントってことで。少しくらいなら善処してあげるわ」

    パチンとかわいらしくウインクをしたナミさんに持っていた下着を手渡される。
    イミテーションだからなのか、パール部分の人工的な質感が妙に生々しい。

    おれが履くの?
    こんなのを??

    一体、何でそんなことになったんだ。
    渡された下着を握って困惑するおれを他所に、ナミさんは、店の中を歩き回りながらあれやこれやと、はしゃいだ様子で下着の物色を始めている。

    「あのぉ、ナミさん?」

    どうしよう。どうすればいい。
    この状況でどうするのが正しいのか。
    オロオロとしていたおれの肩に、白魚のような手がそっと乗せられる。

    「ロビンちゃぁん……」

    何とかしてくれるのかもって。
    藁にも縋る思いで見上げたおれに、ロビンちゃんはわかっているとばかりにコクリと頷いた。

    「せっかくトラ男くんのお誕生日に会えるんだもの。サンジにとっても特別な夜にしなくちゃね」
    「…………?」

    プレゼント。
    誕生日。
    特別な、夜。

    「えええっ!?」

    ふたりが男性用の下着ばかり物色していた理由に、おれはようやく気がついた。

    誕生日におれがその下着を身につけて会うのを想定して、選んでくれているのだと。

    それも、とびっきりいやらしいやつを。

    「あの。待って、おれ…そんな……」

    そりゃ確かにおれたちは恋人同士だってことをお互いのクルーに隠しちゃいねえ。
    会えばえっちなことだってしてるわけだけど。

    それはそれとして、だ。

    麗しいレディたちが見せる謎の気合いに、羞恥で顔が熱くなっていく。

    「サンジくーん!見て!こんなのもあるわよっ」

    最早ナニを隠す気がないどころか、いっそ履いてないのと同じじゃねえか、って思う。
    それ、紐だよね?としか答えられないような下着を両手で掲げているナミさんは、お宝を見つけたときみたいにキラキラと目を輝かせて心底楽しそうだ。

    「……うわぁ、すごくいいね」

    ほとんどヤケクソで言ったおれは多分、涙目だ。
    でも、もしおれがああいう下着を履いてたら、ローはどういう反応をするんだろうか。

    ドン引き——は、絶対しないと思う。
    あんなん履いたことないからわかんねえけど、いつもより興奮してくれるかもしれない。

    いろんな可能性を悶々と考えていたおれの髪をやさしく撫でたロビンちゃんは「お尻、壊れちゃわないといいけれど」なんて恐ろしいことを言いながら、にっこりと笑っていた。




    2.


    それから半月後。
    おれたちの船はハートの海賊団と落ち合う島に到着していた。
    滞在はログが溜まるまでの一週間。
    最終日には、ローの誕生日を祝うという名目の宴をすることになっている。


    「それにしても、着て行く服の指定までするなんて、ほんっと独占欲の強い男よね」

    やたらいい香りがするヘアオイルをおれの髪につけて、毛先を指でくるくると弄って整えながら、ナミさんが呆れたような声を出した。

    おれが今着ている服は、数日前にローから届いたものだ。わずかに光沢がある黒のドレスシャツは、滑らかで肌触りもいい。
    着心地のよさもからも感じたけど、めちゃくちゃ高いんだろうなってことは、箱を開けたときのナミさんの目を見ればわかった。

    丸いかたちをした黒に近い深いブルーの螺鈿ボタンの、上からふたつめだけが、よく見ればハートのかたちになっている。

    どうやら、全部オーダーメイドらしい。

    シャツと同じ素材の生地で作られた、白地に細かい黄色のドット模様が入った細身のネクタイをロビンちゃんが手に取った。

    「ふふっ…こうするとまるでサンジ自身がプレゼントに見えるわね」

    おれの首に巻きつけたネクタイをリボンみたいに結んだロビンちゃんが微笑むと「でもどうせ、会ったらすぐに脱がされちゃうんでしょ?」と、髪のセットを終えたナミさんが悪戯っぽく笑う。

    「そう、かなぁ」

    確かにそうかもしれない。
    だって、会うのも久しぶりだし。
    もうすぐローに会えるっていう実感と、美女たちに囲まれながら、あれこれとお世話されている状況も嬉しくて、ふにゃふにゃと顔がゆるんでしまう。

    「こらっ!だらしない顔しないのっ!」

    細い指でやわらかくおれの頬をつねったナミさんに「はーい」と元気よく返事をしながら、胸の内で恋人へと想いを馳せていた。





    会ってすぐに抱き寄せられて、腰が抜けそうなほどのキスをされる。
    首に結んだリボンがゆっくりと解かれて——。

    なんて。
    おれもそんなこと思っちゃってたけどさ。




    「黒足屋」

    ゆるやかに弧を描いたくちびるがおれを呼ぶ。
    半年ぶりに会うおれの恋人。
    実際に会ったトラファルガー・ローは、おれの姿を見るなり世界中の幸せを全部かき集めたみたいな顔を見せた。

    直視したら失神しちまうんじゃねえかってくらいの破壊力を持ったその表情をすれ違いざまに見ちまったレディたちは、かわいらしいほっぺを林檎みたいに真っ赤に染めながら、うっとりとした眼差しをローに向けていた。

    なんつー罪作りな野郎だ。

    でも、ごめんね。
    こいつはおれの男なんです!
    心の中でこっそりとレディたちに謝っておく。


    「服、似合ってるな」
    「そりゃそうだろ。どっかの色男がおれに似合うように仕立ててくれた服だもんな」

    にんまりと笑って言ってやれば、おれに似合う服を選べたことにローは満足そうだ。

    人の服装はわざわざ指定したくせに、ローの方はいつも通りのタンクトップとデニムを着ていた。

    しかし、こいつは普段着だってのに。
    惚れた欲目を抜きにしたって、おれの恋人めちゃくちゃかっこよくねえか?
    白のタンクトップがこんなに似合うやつ、ローの他に見たことない。
    まあ、他の男のことなんか覚えちゃいねぇけど。

    そんなことを考えていたおれの頬をタトゥーの入った手がやわらかく撫で下ろす。
    その手でおれの横髪を掬って耳を露出させると、ローは少し身を屈めるようして顔を近づけた。

    「デートでもするか?」

    溶けちまうほど甘い声が、耳に吹き込まれる。

    「…………デート?」

    ナミさんたちに散々揶揄われたせいもあるし、おれ自身もきっとすぐ宿に直行するんだろうなとか思っていたから、なんつーか、正直ほんのちょっとだけ拍子抜けしちまった。

    デートって、デートだよな?

    当たり前のことを頭の中で自問自答する。
    そりゃ、一緒にいられんのは嬉しいけど。

    「や、おまえの誕生日だし……その、今日は何でも言うこと聞いてやるけど…?」

    本当にすぐに宿に行かなくていいんだよなって意味を込めて、聞いてみる。

    「ああ。だから俺と、デートしてくれ」

    改めて言い直したローがおれの手を握り、指先にちいさくキスを落として「ダメか?」と低く囁いた。

    がっしりと逞しい長身に、いろんなとこにバチクソにタトゥーが入ってて、大太刀なんかも携えてるような、雄々しさ全開の男がだ。

    こんな気障な仕草も似合うのって反則じゃね?

    「わかったよ!おれがエスコートしてやらぁ!」
    「頼もしいな」

    くくっと喉の奥で笑ったローが、おれの腰に腕を回して抱き寄せる。歩きにくいんだよって思うのに、おれはそれを止めなかった。

    まあ、誕生日だし。
    好きにさせといてやろうって。
    本当に、ただそんだけ。
    見せつけようとか、そんなつもりはねえ。
    全然、本当に違う。

    「この時間だと夕飯には早ぇし…あっそうだ。ジェラート食わね?」
    「ジェラート?」
    「そ。この街の名物なんだってさ。特に島の特産品のフルーツを使ってるのが美味いらしい。今だとブドウなのかな。パンフレットにおすすめの店も載ってたぜ」
    「へえ、じゃあそこに行くか」

    こんな顔してっけど、ローは意外と甘いものが好きだったりする。
    ジェラートならサッパリしてるし、夕食の前に軽く食べたところで問題ないだろう。

    「黒足屋の髪、いつもと少し違うな。ふわふわで甘い匂いがする」
    「ナミさんがヘアオイルを付けてセットしてくださったんだ。どうだ、羨ましいだろ」

    隣に並んで歩きながら答えると、ふーんと少しも興味なさそうな相槌が頭上から降ってくる。
    代わりにおれの頭のてっぺんに鼻先を埋めたローは「髪色と同じ、蜂蜜の香りだ」なんて言いながら、おれを覗き込むようにしてやわらかく目を細めた。

    「う、ぐ……」

    だから何だってそんな顔すんだ!
    慌ててローから視線を逸らしたおれの耳元で「食っちまいてェ」なんて、耳に口をくっつけるみたいにして、蜂蜜よりも甘ったるく囁かれる。


    そんなん言うなら、宿に行きゃよかったんだ。
    おれは、さっきからずっと。
    何なら会った瞬間から、ずーっとだ。

    早くふたりっきりになりたいって思ってるのに。


    そんなおれの気も知らず、ローはもういつもとおんなじ顔をしてやがる。
    腰に回ったローの手のぬくもりがシャツ越しに伝わる感覚だけで、シャツの下の素肌がじんわりと汗ばんでいく。
    それを気づかれないように、ほうっと吐き出した息は、思ったより熱っぽかった。

    「ジェラートといえば、黒足屋が前に作ってくれたレモンとミントリキュールを使ったやつ。あれは美味かったな」
    「ありゃ、ジェラートじゃなくて、ソルベっつーんだけどな。気に入ったのか?」
    「ああ、そうだな。口の中でやわらかく溶けて、少し垂れちまったのも全部舐めて。甘酸っぱくて、舌によく絡んで…どうした?」
    「……てめえ、それ、わざと言ってんのか!」

    ソルベの話をしているようにも聞こえたが、今、ローが言っているのは、どう考えても別のことだ。

    おれには、わかる。
    むしろ、おれだからわかる。

    ふるふると羞恥に震えるおれを見て、ローは、ふっと意地悪く口角を上げた。

    「お前が応えてくれたキス。たどたどしくて、下手くそで、かわいかったな」

    思ったとおり。
    おれがローと初めてキスをしたときのことを言っていたのだ。

    「……っ!」

    ローの手がシャツの裾から入り込んで、直に肌に触れた手のひらが、スルッとおれの腰骨を撫でた。びくっと大袈裟なほど反応しちまったのがローにも伝わったのだろう。

    「脚、上げられねェんだよなァ?」
    「何で、それを……」

    おれが早く宿に行きたいと思ってた理由も。
    脚を上げることを一瞬躊躇しちまった理由も。

    もしかして、最初から全部わかってたっつーのか。


    「っ、誕生日だから、何でも言うこと聞くって言ってやったのに、こんなっ、わざと焦らす必要もねぇだろうが!」


    ずっと期待してたのは、おれの方だ。
    毎回じゃないけど、時間があれば街をぶらついたり、デートみたいなことだってしてたのに。
    頭からすっぽり抜けちまうくらい、おれがローにそういうコトをされたかったんだって。


    「………ううっ、なんだよ、くそやろう…さっさとおれを抱けってんだ……ばか……」
    「かわいい顔して泣くなよ。俺も我慢してんだ。
    それに、お前が言ったんだろ。そのまま食っても美味いが、少し時間を置いてから食うと、もっと美味くなるって」
    「は?おれが?」
    「前にそう言ってたじゃねェか」
    「………………?そりゃ、クッキーの話だっ!」


    あれは、ドレスローザに向かう船の中のことだ。
    騒がしい甲板から逃れるように、ローがキッチンにやって来た。ちょうどオーブンから取り出したばかりのクッキーの甘い香りがふわりと漂って、つられたようにおれの手元を見たローに、焼き立てを一枚摘んで差し出してやったんだ。

    まだ少しやわらかさの残るそれが珍しかったのか、少し眉を上げて「美味い」と言ってくれたローに「焼き立てでも味は悪かねえんだけどさ。少し置いてから食った方が、もっと美味くなるんだぜ」って。

    おれは、確かそんなふうに言ったはずだ。

    怒ってやろうと思ったのに、何となく話したのをローが覚えててくれてたことに、おれはちょっと、いや、かなりキュンとしちまった。

    こいつ本当におれのこと大好きじゃん!


    「それに俺は、黒足屋に言うことを聞かせたいんじゃねェ。お前が自分から、俺を欲しがってくれるところが見たかった」
    「……んだよ、それ」
    「服を贈る意味くらい、お前も知ってるよな?」

    ローから贈られた服を着ているおれを銀灰色の瞳が意味ありげに見つめている。

    「……てことは、ナミさんたちも」

    どんな手を使って彼女たちに頼んだのか知らねえけど、あんな店に連れてかれたってことは、こいつと共犯だった可能性が高い。
    そうやってまんまと据え膳に仕立て上げられたおれは、デートだなんだとローからも焦らされて、ひとりで勝手にこんなふうになっちまってたのかよ。


    「最高のプレゼントをありがとう、黒足屋」

    ニヤリと確信犯の笑みを浮かべたローにキスで口を塞がれて、あっという間に景色が変わる。


    気づけばおれは、ふかふかの広いベッドの上に横たわってローを見上げていた。

    「ところで、祝ってくれねェのか?」

    嬉しそうな顔をしているローの首に回した腕をこちらに引き寄せて「おめでとう」って、誕生日を祝う言葉と一緒に、下手くそなんて言わせねえキスをくれてやった。





    --------


    結論を言っちまえば、おれたちはそのあとも街の名物のジェラートを食べることはなかった。

    でも、その代わり。
    めちゃくちゃ甘くて濃厚な時間をふたりでたっぷり過ごせたってわけだ。

    おれがスラックスの下に何を履いていたのかは、ローだけが、全部知っている。








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