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    エース

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    エース

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    ムンナ ジェステ+マクステ ⚠マクとジェはマジモンのネコチャンだよ! にゃんにゃんにゃん!🐈🐈

    通い猫、家猫になる 俺の名前はジェイク。黒い美しい毛並みを持った猫。家はその日気に入った場所、この街ならどこでもそう。
     片方の目が赤く、黒と赤のオッドアイをしているせいで縄張りにしている範囲の人間達からはよく覚えられている。連中は俺を撫でたり餌をくれたりして懐柔しようとしてくるが、俺はそこまで安くない。それに俺の名前も碌に呼べないような人間は気分で相手してやることもあるがそこまでだ。
     
     そんなプライドが高いと言って過言ではない俺だが唯一、唯一メロメロになっていると言っていい人間がいる。俺は今日もそんな可愛い人に会いにいくため昨日寝床にしていた場所からせっせと目的地に向かう。途中虫を追いかけるのに夢中になったり、観光客らしき人間にパンの欠片を貰ったり、それでお腹いっぱいになったのでちょっとだけ昼寝してみたりもしたが何とか太陽が真ん中を少し過ぎたあたりで目的地に着くことが出来た。本当はもう少し早い時間に着く予定だったのだがついあれこれ寄り道をしてしまった。
     でもまぁ俺は猫だから。気まぐれなのは性分だ。仕方ないね。
     
     そんな猫の気まぐれを体現していると言って良い俺だが何とここへは殆ど毎日通っている。来ない日はここに人間が来ない日と、それから雨が酷い日だけ。それ以外はせっせと通って、お目当ての人物に会えるまで人間の邪魔もお構いなしにここの玄関マットにコロコロ寝そべる。
     大抵の人間は俺を見て「可愛い~」だとか「綺麗な子~」だとか言って俺のことを子猫ちゃんだとか――俺は子猫ではない――黒猫ちゃんだとか適当に呼びながら俺を撫でさする。機嫌さえ悪くなければそのまま撫でさせてやり、早々いないが下手な撫で方をする人間にはフーッと威嚇したりする。そうして俺がご飯を食べるより少し長いくらいの時間コロコロしながら待っていると奥からお目当ての人間がやってくる。
     
    「やぁこんにちはジェイク。今日も来てくれたんだね」
     そういって俺の頭をヨシヨシと撫でてくれるのはこの場所で働いているらしいスティーヴンだ。ここの事は中に入れてもらえないので良く知らないが確か絵がたくさん飾ってある場所だ。スティーヴンはここで働いていて、俺がやって来ると出てきて少しの間相手をしてくれる。頭や腹を撫でたり、時には抱っこしてくれたり。

     ついこの間は初めてスティーヴンが猫用のおやつをくれたものだから舞い上がってしまい、スティーヴンの家まで着いて行ってしまった。その日スティーヴンは内緒だよ、静かにしててねと言って一晩だけ泊めてくれた。あの一晩は本当に魅力的で。大嫌いなシャワーは浴びせられたけれどもスティーヴンのベッドに上げて貰って、スティーヴンの首元で丸まってスティーヴンと同じシーツを肩まで引っかけて貰いスティーヴンの体温を感じながら眠った。あの夜のことは忘れられない。

     それでも俺は野良猫だから。朝になったらスティーヴンが家を出るのに合わせて外へ出された。それは酷く名残惜しい事ではあったけれども俺はスティーヴンの家の子じゃないから仕方がない。本当はスティーヴンの家の子になっても良いのだけれど、切っ掛けが無いし自由気ままな外での生活を捨てられなかった。
     
     スティーヴンは本当にいい奴で、初めは他の人間みたいに俺を色んな呼び方で呼んだ。でもそのうち俺がスティーヴンの撫でのテクニックを気に入って何となく通うようになると今度は名前を当てるみたいに色んな名前で俺の事を呼び出した。Aから順番に始まって、D、Eと進んでいき最後にジョン、ジャック、ジェイクと来たのでジェイクのところでニャーンと鳴いてやった。

     するとスティーヴンは「君、ジェイクっていうのかな?」と言ってその日から俺の事をジェイクと呼ぶようになった。俺たちは野良でも自分で決めたり、誰かに決めて貰ったりでそれぞれ呼び名がある。でもそれは人間は当然知る方法何て無いのにスティーヴンは面倒にも片っ端から名前を上げて行って、ついには俺の名前を当てるところまでたどり着いた。
     だから俺は俺のことをジェイクと呼ぶスティーヴンの事を気に入っている。俺の事を他にジェイクと呼ぶ人間はいないから。それに撫でるのがとびきり上手いから。

     さて、そんな大好きなスティーヴンだが今日はまだ出てきてくれないのでクシクシと前足で顔を洗って毛並みを整えておく。俺はいつだって男前だけど、逢引きする時は特に身だしなみには気を付けないとな。ペ、ペと両足も舐めて綺麗にして準備バッチリになったところでスティーヴンが現れた。
    「こんにちはジェイク。今日も元気?」
     勿論元気さ、と傍にしゃがみこんだスティーヴンの手が頭に折りてきたのでそれにスリ、と擦り寄ってふと嗅いだことのない匂いに気が付いた。知らない、他所の猫の匂いがする。スン、スンと鼻を近づけてよく匂いを確認する。
    「なぁに?くすぐったいよ」
     俺の鼻息が手のひらに当たってくすぐったいのかケラケラ笑うスティーヴンに気にせず何度も嗅いで確認するが、やっぱり間違いない。嘘だろそんなまさかという思いから慌てて立ち上がり、しゃがんでいるスティーヴンの膝の上に飛び乗り体を伸ばして首元に顔を寄せる。スンスン、クンクン確かめるが、やっぱり知らない猫の匂いがする。
    「ちょ、ちょっとジェイク危ないよ。どうしたの?」
     急に増えた俺の分の体重にバランスを崩しそうになりながらもスティーヴンは膝を地面につけて俺の体を支えてくれた。でもこんなにハッキリと匂いが体全部に移るということは、それはつまり。
    「スティーヴンッッ!!この浮気者めっ!!」
     俺はスティーヴンの肩にひっしとしがみ付いたままフシャーッとスティーヴンを威嚇した。折角綺麗に揃えた毛並みが逆立ったがこの際関係ない。

     絶対に俺とスティーヴンは想い合っていた筈なのに、いつの間に寝取られたというのか。これ程しっかり匂いが付くとなるとちょっと道端で出会って撫でて来たなんてレベルじゃない。確かにスティーヴンに会うのは二回寝た振りなので、月が二回昇る間に誰かがスティーヴンの家に転がり込んだに違いなかった。
     毛を逆立てて怒る俺に面食らったスティーヴンは目を丸くして俺の脇の下に手を回して体を離そうとしてきたがそうはさせない。俺は離されはしないぞとウニャウニャ暴れてスティーヴンの手から逃れるとピョイとスティーヴンの体を駆け上がった。それからスティーヴンの肩にしっかりと腕を引っかけスティーヴンが着ていたパーカーのフードに入り込んだ。

    「ちょ、ちょっと!そんなとこ入っちゃ駄目だよ」
     スティーヴンは当然俺を下ろそうと躍起になった。だが俺だって下ろされてやる訳にはいかない。体をつかまれ引きずり降ろされそうになるとスティーヴンの肩の服に全力で爪を引っかけて力いっぱい抵抗した。
     二人でウゴウゴしながら下ろす下ろさないを繰り広げていたのだがやがてスティーヴンは仕事場に戻らないといけない時間になったらしい。玄関の所から他の人間を呼んで助けを求めていたが俺のあまりの必死っぷりに恐れをなしたのか、はたまた俺の可愛さが勝ったのかは分からないが最終的に俺はスティーヴンのフードの中で過ごす事を許された。

    「頼むから大人しくしててよ~?」
     俺の体重でフードが締まるのか時折襟元を引っ張って位置を調整するのに合わせて大人しくしておくように度々声を掛けられた。勿論俺は言われた通り大人しく過ごしながら半日スティーヴンの仕事場のアイドルを勤めた。俺が半日もの間大人しく過ごしたのは一つはスティーヴンに俺の匂いを付けるため。もう一つはこのまま家まで連れ帰ってもらうためだ。

     仕事が終わってスティーヴンは何度か帰らないのかと尋ねて来たが俺はその全てを無視してフードに居座った。俺がそうまでしてスティーヴンの家に行くことに固執したのは当然スティーヴンの家にいるだろう浮気相手に目にもの見せてやるつもりだったからだ。
     スティーヴンの家まで運ばれながら、一体どうやって追い出してやろうかと考える。俺は喧嘩が強いから、ちょっと引っ掻いて上に乗っかって、それから大きく口でも開けてやればビビって出ていくかもしれない。もしもそれが無理でも家のそいつよりも俺の方が断然良い猫だという事をスティーヴンに思い知らせてやらなければならない。俺がそうして気合十分になっている間にスティーヴンの家に着いた。
    「ううん……頼むから喧嘩しないでくれよ」
     スティーヴンはそう言って少しの戸惑いをみせた後玄関を開いた。

     二度目の訪問となる部屋入り、ピョイとフードから飛び降りる。だが前回来た時と随分部屋の様子が様変わりしていた。物が多いのは相変わらずだったがなるだけ棚に仕舞われているし、何より机の上が大分すっきりしている。そして一番大きな違いが部屋の隅に置かれたゲージとトイレだ。明らかに、明らかに何かがスティーヴンと一緒に暮らしている!
     俺がショックでブワワッと毛を膨らませているとトトンと軽い着地音がして、棚から何かが降りて来た。
    「スティーヴン、帰ったのか」
     にゃーう、と鳴いてスティーヴンの足に擦り寄るそいつは俺と同じくらいの大きさをした、そっくりな色をした黒猫だった。毛並みはそいつも野良だったらしく少しボサついているし少し後ろ足を引きずるようにしているが目立った怪我の様子はない。瞳の色こそ俺と違い揃いのダークブラウンをしているが、姿かたちがそっくりなので人間からしたら兄弟に見えるかもしれなかった。
     
    「ただいま~マーク。今日はお客さんが来てるから、仲良くね」
     スティーヴンはそう言い足元に擦り寄っていたソイツを抱き上げるとほらこの子だよ、と俺の事を紹介した。俺そっくりな黒猫に優しく声を掛けるスティーヴンに呆然としている俺を見て抱き上げられているソイツはハンッと勝ち誇ったように鼻で笑いやがった。そんな余裕しゃくしゃくな態度のソイツに我慢ならなくなってフシャーッ!と尻尾まで逆立てて怒りを露にした。
    「スティーヴン!誰だコイツ!」
    「それはこっちの台詞だ。何なんだお前」
    「なぁに?もう、喧嘩しないでよ~」
     ヴヴヴ、と唸り声を上げる俺を他所にスティーヴンにその背を撫で上げられている家猫野郎はすりすりとスティーヴンの首筋に擦り寄っている。
     キーーッ!!と今まで生きて来た中で上げたことないような金切声を上げる俺を流石に可哀想に思ってくれたのか、スティーヴンは反対の腕で俺を抱え上げてくれた。成猫を二匹も抱えたスティーヴンはどこか覚束ない姿勢で抱える腕はまるで安定していなかったが俺たちは二匹とも決してスティーヴンの腕から降りようとはしなかった。

    「この子はマークって言うんだ。マーク、こっちはジェイク」
     そう言いながらスティーヴンは顔を家猫に向け、次は俺の方を向きと自己紹介をさせあった。
    「……ふん」
    「ハンッ」
     だが当然仲良くしようなんて気はお互い持つ筈も無く、俺たちは互いにそっぽを向いた。スティーヴンはそんな俺たちの様子を猫の気まぐれと受け取ったのか、はたまたスティーヴンのお喋り気質なせいか気にした様子は無く一人で続きを話した。
    「マークはね、うちの裏で弱ってるのを見つけたんだ。今は保護してあげてるとこ」
    「間抜け」
    「何だと?」
     俺は事実を言っただけだ。外で、一人で生きていくには賢くなけりゃ生きてはいけない。
    「でも……もう随分元気になってきたし……。そろそろ里親を探してあげなきゃね」
     その言葉に家猫はピンと耳を立たせ、スティーヴンを振り返った。
    「すてぃ、すてぃーゔん……?俺のこと捨てるのか……?」
     どうやら家猫も聞かされていなかったらしく、呆然としている様子だ。
     家猫の耳は次第にしおしおと垂れ下がり、スティーヴンに擦り寄りながらうにゃうにゃと下手くそな親猫に甘えるみたいな声を上げている。
    「ザマァみろ!」
     俺はそんな家猫を見て気分が良くなった。何せコイツは俺が何をするまでも無くスティーヴンの家を追い出されるのだから!

    「そうだ。そろそろ君たちにご飯を上げないとね」
     スティーヴンは甘える家猫を適当に揺すってあやしながらエサが置かれているらしい棚へと向かった。スティーヴンは俺たちをそれぞれ床に降ろすと二匹分のエサを用意してくれた。
     俺たちは餌が用意されるまでの間微妙に距離を取り、スティーヴンの足の周りを周りをグルグル回る形で互いを警戒し合った。
    「ほら、どうぞ。お食べ」
     そう言って差し出された二枚の皿にはエサが山盛り乗せられている。何時だって満足するまで食事が出来る訳じゃない生活をしている俺にとってはご馳走そのものだった。だから一旦家猫野郎の事は放っておいて、先に腹を満たそう。家猫の方も野良の時期が長かったのか、エサを出されたら一先ずそちらを優先した。

     スティーヴンは俺と家猫の間にしゃがみ込むとガツガツとエサを掻き込む俺の頭をゆっくりと撫でてくれた。スティーヴンの手は何時だって心地良い。
    「ジェイクも、今日は泊まっていっても良いけど……明日には帰るんだよ?」
     だがスティーヴンにそう言われ、ピタリと食事を止めた。
    「えっ」
     俺は当たり前の事なのに何故か驚きの声を上げてしまった。
    「君が野良なのは知ってるけど……うちは本当は動物を飼っちゃ駄目なんだよ」
    「じゃ、じゃあなんでコイツは飼ってやってるんだよ……」
     俺は食事を中断して、しゃがみ込むスティーヴンの膝に前足を掛け必死に訴えた。
    「ハンッ!ザマァみろ!」
    「お前だって里子に出されるんだろーが!」
     俺が負け惜しみで言った発言に家猫はハッと思い出したらしく、ピタリと食事を止めた。
    「スティーヴン、スティーヴン……俺ここの子になりたい……」
    「す、すてぃーゔん……俺ずっとここにいたい……」
    「わっ、なぁに?二人して……食事はもういいの?」
     俺たちは必死にスティーヴンの膝に縋りつきメウメウ、ミャウミャウ言って訴えた。だがスティーヴンに俺たちの言葉が通じる筈もなく……何てことにはならなかった。

     俺は持ち前の強引さと、それからマークの――コイツとは同じ家に住む家族になったので名前で呼ぶことにした――執念深さのお陰でスティーヴンの飼い猫の座に落ち着くことに成功した。
     勿論そこに至るまで波乱万丈な物語があるのだが……それはまた別の話だ。

    「ただいま、二人共。今日もお利口さんにしてたかな?」
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    エース

    DOODLEムンナ マク♀ステ 仮面舞踏会パロ
    あめさんとのお喋りで盛り上がったやつ。何かちょっと書きたかったのと違うんだけど、一旦これで。
    この後無事二人は再会し、お喋りに興じるがジェがマクの仮面を借りてステに会いに行きジェステも始まる。三人が顔見知りに(顔は知らない)になった頃漸く名乗り合うマクステと、出会って速攻名乗るジェイク。
    マスカレード! 仮面舞踏会。それは一時身分やしがらみを忘れ、享楽に耽ける場。表向きは日々の憂さ晴らしや拙い秘密の遊戯と言った所だがその実、密通や淫行が蔓延る会もそれなりにあった。
     俺はそもそも舞踏会というものに興味が無く、それは仮面を被っていても同じ事だった。寧ろ相手が誰か分からない分厄介な事も多い。そしてそんな俺がこの仮面舞踏会に参加している理由は、単に兄弟のお目付け役だった。いや、半分がお目付け役、半分が兄弟に無理矢理引き摺られて来たせいだ。
     俺の双子の兄弟であるジェイクはこういった華やかな場が好きで、好んで顔を出す。そして俺なんかより遥かに上手に様々な思惑に満ちた、この見掛けばかり豪華な生け簀を泳ぐ。今日も俺を連れ出すだけ連れ出して、自分はサッサと舞台の中央に躍り出てしまっている。
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    エース

    DONEムンナ マクステTOS天使疾患パロ。三人の誰でパロディするか悩みに悩んで、結局マクステだなとなりました。理由としては、TOSの公式CPはロイコレだと思っているので、それならば三つ子でやるならマクステしかなかろう、と。
    配役の方は〝何かと契約して人で無くなる〟ならそれはマークだし、〝普段は抜けてるのに大事な人の事はちゃんと見てる〟のはステだろう、と思ったから。なのでロイコレからのマクステ解釈です。
    消えた涙 ぼんやりとベッドボードに背を預け窓の外を眺める。明るすぎる都会の空ではろくに星も見えないが、こうして朝まで時間を潰すのにも随分と慣れた。ただ静かに息をして、隣で眠るスティーヴンを起こさない様に気を付けていれば良いだけだ。
     窓の外を眺めるのに飽きたら今度は隣のスティーヴンを見る。それを繰り返していれば、朝までそう時間も掛からない。
     今日もやっと日付が変わった所だ。朝までのあと六時間くらいを、いつものように窓の外とスティーヴンとを往復しながら過ごそうかと思った時、隣の塊がゴソリと動いた。
    「マァク……、眠れないの?」
    「スティーヴン……悪い、起こしたか」
     窓から振り返るとスティーヴンが眠たそうにしながら目を擦っていた。静かにしていたつもりだったが、やはり隣で体を起こしているべきでは無かったのだろう。いっそベッドから離れて、そのままソファで過ごすべきだったと後悔した。
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