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    たまぞう

    @5tamasan2

    小説(時々絵)を載せます。
    🔞パスワードは鍵垢に記載してあります。
    皆さんいつも見てくださってありがとうございます。
    絵文字や温かいメッセージに救われております。
    エアスケブ一時的に停止中。

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    たまぞう

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    エアスケブありがとうございました🙌💖💖
    お待たせしました〜😌😌
    高校生🌟と中学生🎈のお話になります✨✨
    全年齢になります🙌✨!
    🌟が🎈を可愛がるお話です☺️☺️
    🎈が🌟のことを「天馬さん」呼びしてます🥰💕
    途中と最後にそういう描写があります💪💪
    少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです😚💕

    #腐ロセカ
    BL prsk
    #司類
    TsukasaRui

    過去も未来も、きみと。「おっ………お、おお…!?」

    変な声を上げながら、オレはタイムマシンから顔を出して、辺りを見渡す。
    前方には見覚えのある家が一軒。
    それは間違いなく神代類の家だった。
    無事に過去へ辿り着いたのか少々不安になったが、弱気になってはならないと首を横に振る。

    ………とにかくこの時代の恋人を探さなければ!
    果たさなければならない目的がある!

    そう思い、オレは庭へと出る。
    目的の人物以外に会わないよう、慎重に歩き始めた時だった。

    「だ、誰…!?」
    「っ、!」

    聞き覚えのある声に反応して、思わず後ろを振り向く。
    そこには自分のよく知る人物、神代類が、立っていた。

    ただ少しだけ、違う点もあって。
    それは現代と比較して、身長が低く、髪が結んである、という点だった。

    しかし声はさほど変わっておらず、瞳や髪の色も全く同じで。
    とにかく、まずは第一段階をクリアだ!と、脳内で喜んでいると、類が低い声で問いかけてきた。
     
    「もしかして…変質者………」
    「な……!?ち、違うぞ!決して怪しいものでは…」
    「…………………」

    ………あれ?これはまず気が…………いや、確実にまずい。
    大変よくない展開だ。
    類が敵意むき出しでこちらを睨んでいる。
    ここまで険しい顔をした類を、オレは見たことがなく、どうすればいいのか困っていた。
    もし家の人を呼ばれて、通報されたりでもしたら…!と、混乱していると、ある"モノ"が視界に入る。

    オレは気づけば類に駆け寄り、彼の両肩を掴んでいた。

    「そのドローン!」
    「え、っ、…な、なに……っ、?」
    「もしやショーで使うためのものか!?」
    「!!」

    "ショー"という言葉を聞いた瞬間、類の顔が驚きに変わり、表情が穏やかになる。
    恋人が『中学生の頃もショーに興味があった』と言っていたのを思い出した。
    類はドローンをぎゅ、と大事そうに抱えて、こちらの様子を覗っている。

    (うぐ……っ……!いつもより幼いせいなのか、可愛い…!)

    何気ない仕草に、心臓の鼓動が速くなる。
    類は期待の眼差しでオレを見つめ、恐る恐る口を開いた。

    「き………あ……あなた、も、ショーをするのかい…?」
    「あ、ああ!そうだ!オレは類と…ー………っ、っ…!」
    「………………?…僕………?」

    出かかっていた言葉を、慌てて飲み込む。
    ここに来る前、類からの忠告が脳裏をよぎった。
    『過去の人間には未来の出来事を教えてはならない』と口を酸っぱくして言われたのだ。
    タイムパラドックス、だったか?

    未来が変わってしまう可能性があるため、オレとショーをしていることは絶対に口にしてはならない。

    一応、最悪の事態になった時の対策法………は聞いているのだが、あまりにも内容がアレなので、それだけは避けたかった。
    急いで話を逸らそうと、オレは誤魔化すようにして、声を張り上げる。

    「そ、それよりも自己紹介がまだだったな!天翔けるペガサスと書き、天馬! 世界を司ると書き、司! その名も、天馬司!未来のスターだ!!」
    「………未来のスター…変な自己紹介だね」
    「なぬっ!?」
    「でも、変質者が大きな声で自己紹介なんて、しないよね」

    類がふにゃ…と柔らかな笑顔を浮かべた。
    言葉も先程のような刺々しさはなくなり、優しい声色へと変わっている。
    ひとまず警戒心は薄れたようだ。

    「ああ、…、へ、変質者では………」
    「えっと………天馬…さん…?でいいのかな?僕は神代類…漢字は……、」
    「ぐ、!?」
    「天馬さん!大丈夫!?」

    首をこてんと傾げながら、類に『天馬さん』と呼ばれ、心臓を鷲掴みにされる。
    脚の力が抜け落ちて、ガクッと地面に膝をついた。

    (とんでもない破壊力だ……!!)

    オレは自分自身を落ち着かせようとして、すぅう………と深く息を吸い、はぁ………と長く息を吐く。

    (なんだ、この…可愛い生き物は…!今の類も可愛いが、中学生の類も十分可愛すぎる!!)

    今すぐにでも抱き締めたい衝動に駆られるが、ここで不審な動きをしてしまえば、本当に変質者にされてしまう。 
    なので、ひたすら耐えるしかなかった。
    それにある目的を達成しなければ、オレは現代に帰れない。
    自分の欲を抑えながら、ゆっくりと立ち上がった。

    「す…っ………すまん。もう、大丈夫、だ」
    「よかった。どこか具合が悪くなったのかと思ってびっくりしたよ」
    「心配してくれたのか?」
    「え………あ、ま、まあ…僕の家の庭で、知らない人が倒れた、なんて、嫌だし………。天馬さんは僕のことを知ってるみたいだけど…」
    「あー、ま、まあ少し、だな。……心配してくれてありがとう」

    ぽん、と類の頭に手を置き、優しく髪を撫でる。
    見た目はぼさぼさだが、髪質は艶やかで、触り心地はとても気持ちがいい。
    オレの類は髪を撫でると嬉しそうにするので、てっきり、というか、うっかりして、いつもの癖で撫でてしまった。

    「………!?、………!…!?」
    「は、!」

    壊れたロボットのように固まってしまった類に、オレは『やってしまった…!』と後悔する。今日出会ったばかりの、しかも見ず知らずの人間に頭を撫でられるのはきっと不快だろう。
    オレの場合は類を知っているから抵抗感がないものの、この時代の類にとっては、オレが天馬司であること以外は何も知らない、赤の他人だ。
    そのことを忘れて、手を動かしていた。

    自分はこの後、どうすべきか。
    もしここで誤った選択をした場合、警察に突き出されてしまうかもしれない。

    次の行動に頭を悩ませていると、固まっていた筈の類が、ゆっくり口を動かした。

    「……、…あの………、これは、どういう……」
    「いや、その…、つい……類が、可愛くてだな………」
    「え…な、か、かわいい………?」

    (あーーー!!!なっ、ま、…!?オ、オレは何を言ってるんだ!!!)

    今すぐにでも、自分の口を塞ぎたい。
    天馬司、鎮まれ、落ち着いてくれ。
    目の前にいる類は、オレの愛する類の、過去の姿で。
    誰よりも可愛い。
    それは当然だ。異論は認めない。
    だがしかし。
    今の発言、類からは変質者そのもの。
    通報されても文句は言えない。
    確実に選択肢を間違えた!と心の中で叫んでいたが、類の方は頬を真っ赤にしていた。

    「あっ……あ、……か、かわ………、…っ、」
    「…る、類…………?」
    「………っ、……かわいい、なんて、言われたの、初めて………だから、その…どうしていいのか、分からない」

    類は頬を赤く染めたまま、こちらをじっと凝視する。
    その瞳には嫌悪や不快は感じられず、少しの戸惑いと羞恥が覗えた。

    もしかしたら、類はこの時から、押しに弱かったのかもしれない。

    だからチャンスだと思った。……ある目的を達成する為の。
    オレは頭に置いていた手を、類のふっくらとした頬へと移動させる。

    「…………類。よく、聞いてくれ。まずは、お前に伝えたいことがある」
    「へ……?」
    「何があってもオレは類の味方、ということだ」
    「、!?」

    類の澄んだ瞳がゆらりと揺れた。
    この時代の恋人は、周りからその在り方を受け入れてもらえず、長い時間独りの日々を過ごしてきた。
    そしてそれはまだ、しばらく続く。
    高校に入学しても、すぐには変わらない。
    だからせめて、心のどこかにオレの存在が刻まれたら。
    この時代の類に"天馬司"という男の証を、何かしらの形でもいいから残したい。
    傍から見たら、独占欲の強い男だと思われるかもしれないが、オレは類の全てを愛しているし、自分のモノにして染め上げたい。
    我ながら考えることは恐ろしいと、思わず苦笑いを浮かべた。

    「急にそんなこと言われても………そもそも天馬さんと僕は一体どんな関係なの…?」
    「それは答えられない……、あ!あと類は宇宙一可愛くて、ショーが大好きな、心優しい子だということを、オレは知っている!!それも伝えたい!!」
    「…だ、誰に………?」
    「もちろん類!お前自身にだ!」
    「うわっ!?!」

    戸惑い、立ち尽くす類の身体を、オレは両腕を広げて、勢いよく抱き締める。
    どさ、と鈍い音が響いた。
    どうやら類がこちらの行動に驚いて、ドローンを芝生の上に落としたようだ。
    『悪いな、類』と心の中で謝罪しつつも、本能に従って言葉を発する。

    「類は可愛い」
    「ひ…ぁ!、…やめ、っ、天馬さん、何を…っ……?」
    「笑顔が一番可愛い」
    「え、あ…!?、は……!?!…ぼ、僕はかわいくな、っ、」
    「可愛いぞ。類、可愛い、好きだ…」
    「は……、すっ、好き!?ま、っ!な、な、なに…」
    「照れた顔も可愛い…怒った顔も、不審そうにオレを見ていた時の顔も……全てが…」
    「〜〜〜〜〜〜っ、や、やめ…!く、……、!!」

    力強く抱き締めたまま、耳元で甘く囁き続ける。
    この時の類はオレと同じぐらいの背丈だから、背伸びする必要もなく、そのまま唇を耳へ近づけるだけ。
    類は迷惑そうにしながらも、顔は林檎のように真っ赤になっているため、本気で嫌がっている訳ではなさそうだ(勝手な推測にはなるが)
    オレの腕から逃れようと、身体を捻らせるが、力で勝てる筈もなく。
    それからしばらくして類は観念したのか、大人しく腕の中におさまっていた。

    「あの、本当に、何が、目的なの、…?」
    「仕方がない…教えてやろう!つまり!オレは!可愛い類を見たい!!その為にここへ来た!!」
    「……………天馬さんって、やっぱり変な人…変質者………警察…」
    「なっ!?まて、違うぞ!!」
    「………じゃあ…、」

    腕の中にいる類が、オレの肩に頭を押しつけながら、ぼそりと呟く。

    「………つ………通報、されたく、なかった、ら、………僕のお願い、聞いてくれる……?」
    「…………!!!」

    ちら…とこちらを見つめる類に、胸がドキッと高鳴った。

    何故だろうか。
    この時代の類は、オレの類と同じ存在なのに、どことなくあどけなさを感じる。
    確かに高校生と中学生では、体格はもちろんのこと、精神的な強さ(年齢)も変わってくることだろう。
    ………ただ、何と言っていいのか分からないが、過去の類はまるで迷い子のようだ。
    だが、それでも。

    (……………類の、さっきの、言葉は、)

    今、この瞬間。
    それは間違いなく、愛する人の心からの願い。
    勇気を振り絞って、言ってくれたのだろう。
    声に出してくれたことが、すごく嬉しい。

    可愛い類のお願いを断るなど言語道断。
    オレは常に全力で応えるまで。

    「ふむ……いいぞ!お前の願いなら、何でも叶えてやろう!」
    「何でも…?」
    「あ…!た、ただ、あまり目立たない演出にしてくれ。他の人に見られる訳には…ー…………、」
    「…………ど…………どうして、僕が…演出をつける、と、思ったの…?」
    「ん………?何を言っ…………はっ…………!!」

    天馬司。再び、選択肢を誤る。
    しまった。大馬鹿者だ。
    ついうっかり、を発動してしまった。
    類のお願いはほとんどがショーに関わることなので、気づけば条件反射で答えていた。
    考えるまでもなく、そう答えるべきだと、脳にインプットされているのだ。

    「ああ……、……やっぱり………天馬さんは、……、…」

    類は何かを悟ったのか、オレの腕からするりと抜け出した。

    「類……っ!?」
    「………何も聞いてない…、ことにするね。その代わり、天馬さんには僕の部屋に来てほしい」
    「はへっ!?類の部屋にか…?」
    「うん。この時間帯、家には僕しかいないから……。こっちに来て」
    「うおあっ!?」

    類は落としていたドローンを拾い上げると、オレの腕を引っ張って、家の中へと連れ込む。
    玄関に靴を乱雑に脱ぎ捨てて、廊下を小走りで移動した。
    家の中に誰もいない、というのは事実のようだが、もし類の家族と鉢合わせでもしたら…?と、冷や汗が止まらない。
    それに家の庭には類が作ったタイムマシンがあるため、誰かに見つかってしまう可能性もある。
    あまりタイムマシンから離れたくない。しかしここで類を拒絶することもできない。
    オレが類を拒絶することは、あり得ないのだ。
    とりあえず類の行動に合わせて、それからまた考えればいいか、と彼の後ろをついていった。

    (おお…あまり変わってない、な…)

    よく、というか、かなりの頻度で類の家に行くことがあるのだが、家の中もオレのいる時代と比較して、ほとんど変化はないようだ。

    ………ただ、類だけが、いつもと違っていた。

    「ここが、僕の部屋」
    「……、あっ!、ああ、そうな、のか…」
    「で、そこに座って?」
    「いや、類、急にどうしたんだ…!?」
    「いいから…、す、座ってくれないと…通報…………」
    「座る!今すぐ座るぞ!!」

    類の部屋に案内されると、彼の脅し文句に焦って、オレは慌ててその場に座る。
    念の為、初めて来たような態度をとったが、彼の反応から『もしかしたら薄々勘づいているのではないか…?』と思ってしまった。
    しかしオレも類もお互い深くは触れないまま、やり取りを続ける。
    オレの周りにはたくさんの紙や、ロボット、そして、小道具が散らばっていた。
    部屋を掃除したい衝動に襲われるが、今はそれどころではない。
    類がオレを自身のテリトリーに招き入れた理由は何だろう?
    彼から見た自分は不思議な人で、本来ならば通報されてもおかしくないというのに。

    「はい、これ」
    「あ…こ、れ…………は、…ーっ、!」

    何十枚にもなる紙の束を手渡され、一枚一枚を丁寧に捲っていく。
    そこにはたくさんの設計図、演出案、台詞等、どれもショーに関係するものばかり。
    見たことのない初めての内容に、オレは興奮して声が大きくなった。

    「す、すごいぞ!!これ、全部一人で!?」
    「うん………あ、この演出とか、天馬さんは、どう、思う…?」
    「これ…………、………、…お、おお…っ!、す、素晴らしいぞ!!!流石だな、類!!」
    「ふふ…………、ん…、」
    「…………る…………る、い………?」

    首を動かして、こちらへ頭を向ける類に、オレは数回瞬きをする。
    彼は頬を紅く染めながら、潤んだ瞳で見上げ、口を開いた。

    「……っ、…………頭、撫でてほしい……」
    「!?!!?」
    「外だと、誰か、に、見られて、しまうかも、しれないから…」

    服の袖を控えめに掴まれ、口からはく、…と吐息が漏れる。
    もしや褒めてほしくて、自分の部屋に呼んだというのか?
    そして誰にも知られたくない、と。
    だとしたらそれは、あまりにも可愛すぎる。
    だが、類は気づいていない。
    今の自身の行動があまりにも危険、ということに。

    (…………、抑えろ。駄目だ、手を出すな、オレ………)

    こちらの心情を知る由もない類が、じっと待っている。
    オレは心の中にいる獣を必死に制御しつつ、すり………と優しい手つきで類の頬を撫でた。

    「…そう………だ、な、」
    「…………?天馬さ……ん……?」

    オレは頬を撫で続ける。
    頭を撫でられると思っていた類は、最初こそ驚いていたものの、抵抗することなく気持ちよさそうに受け入れていた。

    「類は、やっぱり、すごいな」
    「あ、あり、がと、…う…。急にごめん…、驚いたよね……」
    「まあ、何かと思ったが、可愛い類が見れたので大満足だ!」
    「そう…?周りからはよく何を考えてるのか分からない、不気味だって言われるよ。それに………、」

    類の表情に、陰りが。
    色々なことを思い出しているのだろうか。
    辛いこと、苦しいこと、悲しいこと。
    そんな顔、させたくないというのに。
    これではいけない。オレがここに来た意味がない。

    「それは類の魅力に気づいていない、ということだが、…………」
    「え…………」

    オレは類をそのまま押し倒し、彼が逃げられないよう覆い被さった。

    「天馬さん………どうし、…、」
    「本当のことを言うと、オレは類が好きで、」
    「う、うん…………」
    「悲しい顔ではなく、笑顔のお前が見たくて、でも…、」

    類は理解できていないのか、きょとんとした顔をしている。
    本当に彼はかわい、……今日は可愛いしか言っていない(思っていない)ような気がする。
    いや、類が可愛いのは真実なので、どうしようもないのだが。
    だから、ちょっとだけ、意地悪をしても許されるだろう。

    オレは、熱を孕んだ瞳で、類を見つめた。

    「それと同時に、」
    「あ、あ、あ、あの…、待って、えと……、あ、」

    ギリギリのライン、下腹部のところに手を添え、トン…と叩く。

    「乱れて啼くお前も、見たい」
    「………、っ…、っ…………!?!」

    言葉を失う類に、自分の言いたいことが伝わっているのだと、ほくそ笑む。
    悲しい顔をしていた彼は、ぷるぷると身体を震わせていた。
    "そういう意味"だと察したのだろう。
    だが、ここで手を出したら、未来が変わるかもしれないため、欲に塗れた自分を引っ込めた。

    「…………と、まあ、オレの戯れ言だと思ってくれ!」

    下腹部に当てていた手をぱっと離す。
    彼に対して何もしないことを示すため、両手を軽く上げて降参のポーズをとった。

    「かっ、からかう、のは、やめて…!」

    類は声を荒げて、上半身を起こす。
    此方を涙目で睨みつけるが、まるで警戒心の強い猫に見えて、非常に可愛い。

    「類が悲しそうな顔をしていたから、何とかして元気づけようとしたんだが…」
    「な…っ………!?今のは、駄目……、違う意味で、よくない」
    「違う意味、とは?」
    「………っ、いや、だ。言いたくない。分かってるくせに…」

    拗ねているのだろう。
    類がふい、と顔を背けた。
    その仕草さえも愛おしいし、誰にも見せたくない。
    類の全てはオレだけが知っていればいいのに、と心のどこかで思ってしまう。
    もっと過去の類のことを知りたいし、可愛がってやりたい。
    でも。そろそろ、戻らなくては。
    あまりこちらに留まってはいけない。してはいけない。
    長ければ長いほど、未来に影響を及ぼすだろうから。
    まだここにいたいと願うが、終わりは近づいていた。

    「なあ、類、」
    「……何?もう騙されな、…ー……」
    「お前がショーを大好きだということを、オレは誰よりも知っている」
    「………………、え、」

    目を閉じて思い浮かべるのは、大切な人。
    オレたちの演出家として、全てに真剣に取り組む姿。
    きっと過去の経験があったからこそ、現在へと繋がっているのだ。

    それに未来のお前は、独りではない。
    オレがいる。

    「…………この先も楽しいことばかりではないだろう。でも、きっと。類にとって、大切なものが見つかる」
    「大切な、もの……」
    「すまない。上手く、伝えられない…」
    「………ううん。何となく伝わってるよ。未来には、天馬さんがいてくれるんでしょう…?」
    「!!!気づいて、」
    「誰でも気づくと思うけど…」
    「ぬわーーーーー!!!」

    何ということだろう。
    さすがは中学生の類だ。
    完全にバレていた…、そもそも自分が色々とやらかしていたのが原因なのだが。
    嘘をつくのは苦手だ。それが類相手なら尚更。
    類からは『きみと僕の関係が知られてしまったら、何でもいいから気絶させて夢だと思わせてね』と言われていたのだ。
    それだけは、避けたい。

    「いや、そのだな!ううーーん…駄目だ……!類に酷いことは…、」
    「……………、酷いこと…って、こういう意味?」
    「なん、んッ!?」

    類がオレの手を掴み、自身の下半身へと持っていく。
    ぐっ、ぐっ、とオレの手にソレを押しつけながら、はぁ…と吐息を洩らした。

    「おっ、おま…お!」
    「ん…は……ぁ、………違うの?」
    「ちがくな…ッ…………いや違う!違うぞ!」
    「やっぱりその反応…。天馬さん意外と顔に出やすいから、すぐに分かっちゃう」
    「ぐぬぬ………ッ、!」

    すまん、類。
    無理だ。気絶させるなんて、オレにはできない。
    帰ってどんな罰でも受けるから許してほしい。

    (いや、それよりも未来が変わっていて、類がいなかったら………)

    最悪の未来を想像してゾッとする。
    そうなるとやはり気絶させて、夢だったと思わせるしかないのか?と一人であれこれ考えていた。

    「……酷いことしても、いいよ」
    「なにを、」
    「まだ誰も帰ってこないし………。それに未来ではもう、そういうことしてる…よね?」
    「ーーー!、」

    全てを見透かした目に、オレは言葉に詰まる。
    それを肯定と受け取った類が、たどたどしく言葉を紡いだ。

    「あと、ちょっと…天馬さんの、こと、気になってる……。未来の自分と、どういう風にしてるんだろう、って…」
    「類、な、」
    「………………ごめん…嫌なら、別に………あっ!」

    下半身にある手が、自分の意志とは関係なく動く。
    予想していなかったのか、類は大きく身体を揺らし、ビクッ…と小刻みに四肢を震わせていた。
    可愛くて、もう、我慢ができない。
    どろどろに啼かせてやりたい。
    類の忠告が一気に頭から消え、手の動きが次第に激しくなる。

    「っ、…ひぁ、……や、っ、……、な、なに、……っ…ふ、…」
    「嫌じゃない。むしろたくさん可愛がらせてくれないか…?」

    もう片方の腕で、類の身体を抱き寄せる。
    手加減しなければ、壊してしまいそうだ。
    丁寧に、優しく、触れなければ。

    「う、うん……初めて、だから…その、色々と下手かも…」
    「大丈夫だ。類はただ、オレに身を委ねればいい」
    「あ……………」

    オレは何も知らない無垢な類へ、欲望の手を伸ばした。

    「類…」
    「天馬、さ…ん……………」























    「おかえりなさい、司くん」

    タイムマシンから降りると、目の前には類が立っていた。
    高身長、癖っ毛はあるが整った髪、大人びた雰囲気。
    いつもの類だと、オレは未来が変わっていないことに安堵した。

    「類!今、帰ったぞ!!」
    「中学生の僕はどうだった?」
    「可愛かった!特に、」
    「『特にオレの下で啼くお前は可愛かった』とか?」
    「そ…………っ、!?!」

    一歩、踏み出そうとしていた足の動きが止まる。
    どうやら類は、自分と何をしたのか覚えているようだ。
    それはつまり、オレが彼の忠告を守ることができなかった、という意味を表す。

    あれだけ何度も言われていたというのに。
    結局、最後は本能に負けて、中学生の類と身体を繋げてしまった。

    「しっかりと覚えているのか…?」
    「うーん、………司くんに似たような人と、身体を重ねたなあ…って」
    「あっ……あ、す、すまん!!」

    本当の本当に、手を出すつもりはなかった。
    オレは慌てて、頭を下げる。

    『過去の類を、もっと知りたい』と。

    中学時代のアルバムを見せてもらった時に、何気なく呟いたのが始まり。
    つまらなさそうな顔をした類、寂しそうな顔をした類…、今の類とは随分かけ離れていて、オレは胸が締めつけられた。

    類曰く『中学生の時は一部の人を除いて、僕のことを変な目で見ていたから』と。

    その発言が心のどこかで引っかかり、最終的に『過去の類に会いたい』と頼んだのだ。

    短い時間なら、タイムマシンを使って行くことができる、そして、類の忠告を必ず守ることを条件として過去へと飛んだ。

    もちろん『類も一緒に行くか?』と誘ったが、彼は『ここで待ってるよ』と首を横に振った。
    その時点で、類には何が起こったのか、覚えていたのだろう。

    「謝らないで、怒ってないから。顔を上げて」
    「だ、だが…………」

    そう言われ、申し訳ないと思いつつも、オレは顔を上げる。

    類は目を細めて、ふふ…と声を漏らした。
    …………その顔は何度も見たことがある。
    何かを企んでいる時の、顔だ。

    「司くんのおかげで、あの時は楽しかったし、幸せだった。それに僕の忠告を守ろうとしても、きみの素直な性格から恐らく難しいだろうな、って思ってたし」
    「うぐ…返す言葉もない…!」
    「ただ、」

    類が服の袖を掴み、くい、と引く。
    今の類と、過去の類の姿が、重なった。
    羞恥心で頬を真っ赤にしていた、あの類と。
    ズク…ン…、と、下半身が熱く、そして、疼き始める。

    「ちょっと、だけ、嫉妬してる、かな。僕も可愛がってほしい…」
    「類…、…………!!!」
    「ねぇ、司くん……」

    彼の唇が綺麗な弧を描く。
    その表情はどこか色っぽく、頬もうっすらと紅い。
    そして、恥ずかしそうに微笑んでいた、昔の頃とは違う、蠱惑的な瞳で、

    「僕のお部屋に来てくれるよね……♡?」

    ……………ー…オレに、微笑んだ。

    訂正しよう。
    ああ。今の類は、可愛いというよりも、煽情的だった。




















    続きを読みますか?





















    「………もう少ししたら、大切な人が、ここへ」

    暗闇の中で、佇む男が急に話しかけてくる。
    まさか本物の人間とは思わず、自分の幻覚かと思っていたので、僕は気にすることもなく作業を進めていた。
    ぴた………と手を止めて、暗闇へと目線を動かす。

    「大切な、人……」
    「きみが未来で、とても大切にしている人」

    男の声はとても幸せそうで。
    今の自分からは想像もできなくて。
    ……なんて羨ましい。
    僕も、いつか、そんな優しい声が出せるのかな?
    しかし何故、自分に伝えてきたのだろう。
    何か理由があるのではないか。
    僕は暗闇の男に尋ねた。

    「…何をしたら、いいの?」
    「そうだね。何もしなくていいよ。ただ、どうするかは、きみ次第、とだけ」
    「僕、次第…………」

    男が踵を返す。
    もう用は済んだららしい。

    「……………楽しみにしててね?」

    その声を最後に、何も聞こえなくなった。
    これは、未来のスターが来る、前日譚。
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    たまぞう

    DONE先にポイピクに載せます。
    日曜になったら支部に載せます。
    将参のお話。この間のとはセカイは別になります。
    ちょっと痛いシーンがありますがそこまで酷くないです。
    寧々ちゃんが森の民として出ますが友情出演です。
    最初と最後に出ます。
    何でもいい人向けです。
    将校は参謀と同じ痛みを感じて(物理的)生きたいというよく分からないお話ですね。
    誤字脱字は見逃してください。それではどうぞ。
    将参(友情出演寧々)「ねぇ、その首の傷痕どうしたの?」
    「っ、っっ!?」

    仕事の休憩中に紅茶を飲んでいた時のこと。
    正面の窓から現れた少女に私は驚き、口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

    「っ、ごほ…っ、げほっ、ぅ………。来ていたのですか…?」
    「うん。将校に用事があって……というか呼ばれて」
    「将校殿に?」

    森の民である緑髪の少女ーーー寧々は眉を顰めながら、私の首をじっと見つめている。そこには何かに噛み千切られたような痕があった。

    あの日のことを話そうか、少し迷っている自分がいて。
    どうしようかと目線を泳がせていると、寧々が強い力で机を叩く。

    「ほら!話して!」
    「………わっ…!わかり、ました」








    あまりの気迫に押された私はぽつりと語り始めた。
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